チェ・ドンウク(54)検察総長の辞意表明後、一線検事の不満がファン・ギョアン(56)法務部長官へ向けられている。 史上類例のない‘検察総長に対する監察’を指示したことによってチェ総長を追い出すのに‘直接的な役割’を果たしたためだ。
最高検察庁幹部が14日、検察内部通信網‘イプロス’にあげた2つの文は全てファン長官を直接ねらっている。 キム・ユンサン(44)最高検察庁監察1課長は "後輩の所信を守るために職を賭ける勇気のなかった醜い長官と、それなりにやさしい心を持った彼を悪魔の道に誘引した寝業師に地位を哀願することはできない" としてファン長官と背後勢力に直撃弾を飛ばした。 パク・ウンジェ(46)最高検察庁未来企画団長もファン長官宛に公開手紙を出し、 "検察の職務独立性き損問題がそんなに軽く見えたか。 検察総長監察は唐突だ" としてファン長官を非難した。
ファン長官は13日、チェ総長が辞意を表明した直後、高等検察庁長に "検事たちが動揺しないよう組織安定のために努力してほしい" と電話をかけたことが確認された。 また、当日午後6時頃には検事全員に‘論難の早期終息のために真相調査を指示したが、総長が辞退して残念だ’という内容の電子メールを送るなど組織掌握に乗り出した。
だが、一線検事たちの批判がファン長官に向けられているだけに、ファン長官が法務部長官職を長く遂行することは難しいという展望が出ている。 ソウルに勤めるある平検事は15日 「ファン長官に仕えてみたが悪い方ではない。 検察内ではそれでも信望がある方なのに、その上に名誉を守るには今辞表を出さなければならないというのが周辺検事たちの意見」と話した。 ある最高検察庁幹部も「時期が重要なだけにファン長官の辞退は既定事実」と話した。 13日チェ総長が辞意を表明し最高検察庁を去った後、検察内外では‘ファン長官も一緒に辞退する’という話が広がりもした。
ファン長官が辞退するのは困難という話もある。 ある検事は「ファン長官が辞表を出せば、このすべての仕事が大統領府の責任になりかねない。 それでファン長官は辞表を出しにくく、大統領府もそれを阻むだろう」と話した。 また別の検事は「法務部長官は大統領の参謀だが、大統領の意に逆らうこともできず、またそうしてもならない。 辞表を出すことは組織をさらに揺さぶることだ。 むしろ無責任と言える」と話した。
法務部はファン長官がチェ総長に辞退を勧めた事実は全くないと主張している。 法務部はチェ総長に対する監察指示について「法務部長官が独自に決めたこと」と話した。 法務部は14日「(婚外子疑惑を提起した)マスコミの報道後、検察に‘公信力を担保できる客観的方法で迅速且つ自主的に真相を糾明しなさい’と薦めたが、検察は‘現在の状況ではそれは難しい’という立場を伝えてきた。 その間に時間が経過して真相確認をこれ以上先送りできないと判断した」と話した。 さらに続けて「第三者的立場で早く真相を糾明して論議を終息させるには法務部監察官室が真相を糾明するべきだと見た」と付け加えた。
だが、チェ総長の辞退当日のファン長官の歩みを見れば、このような主張は説得力に欠けるという指摘がある。 ファン長官は13日午後2時に参加が予定された行事を10分前になって取り消したと言う。 法務部で監察業務を受け持っている検事たちでさえ言論を通じてチェ総長に対する監察指示の消息を聞いた。 法務部関係者は「長官が突然午後の日程を全て取り消した。 法務部内の正常系統を踏んでなされた指示ではなく‘上層部ライン’の意だと見られる」と話した。
キム・ウォンチョル記者 wonchul@hani.co.kr