正修奨学会が所有する株式の売却を議論した秘密会合を報道した<ハンギョレ>チェ・ソンジン記者に、裁判所が対話内容を録音して報道したことは無罪、対話を聴取したことは有罪と判断した。
ソウル中央地裁刑事5単独イ・ソンヨン判事は20日、チェ・フィリプ正修奨学会理事長とイ・ジンスク前文化放送企画広報本部長、イ・サンオク戦略企画部長など3人の対話内容を録音し報道し、通信秘密保護法違反容疑で起訴されたチェ記者に対して懲役4ヶ月、資格停止1年の宣告を猶予した。
イ判事は「3人の対話聴取を始める時には対話内容を認識できなかったし、報道価値があるかを探索するために聴いた。 報道内容に公的価値があるとしても聴取の動機と目的の正当性は認められない」と判断した。
反面、チェ記者がチェ・フィリプ理事長との対話を録音している最中に対話が続き、自然に録音が進行された部分に関してイ判事は「他人との対話ではあるが、積極的録音行為とは見られない」と前提にした後、「消極的に録音を中断しなかったからとして通秘法で禁止する録音行為をしたことと同等には見られない。 録音行為が適法なので報道もやはり不法行為と見られない」と話した。
イ判事は「聴取は有罪だが、録音・報道は無罪であり、被告人が罰金刑の他に特別な前科がない事情などを参酌した」として刑の宣告を猶予した。 イ・ギョンミ記者 kmlee@hani.co.kr
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"国民の知る権利 積極的に勘案し無罪判決すべき"
‘正修奨学会報道’チェ・ソンジン記者 1審宣告 | 言論団体・学者たちの反応
裁判所がチェ・ソンジン<ハンギョレ>記者に宣告猶予判決を下したことに対して、言論学者と言論団体の人々は主に「残念だ」という反応を示した。 彼らは裁判所が正修奨学会が保有している<文化放送>(MBC)株式売却密室議論に関する報道の公的価値を積極的に判断しなかったと指摘した。
韓国放送学会長であるカン・サンヒョン延世(ヨンセ)大教授は「国民の知る権利次元で見る時、チェ・ソンジン記者は積極的な取材と報道で言論の基本義務を果たしたが、裁判所がこれにもう少し前向きな判断をできなかったのが残念だ」と明らかにした。 彼は 「意図的盗聴であれば問題の素地がありえるが、チェ記者の場合には正常な取材活動をした過程で偶然に情報を得た。 宣告を猶予したとは言え、‘聴取’部分に有罪判決したことには物足りなさが残る」と話した。
韓国言論情報学会長であるキム・ソジュン聖公会(ソンゴンフェ)大教授は 「裁判所が(一部無罪判断で)言論の報道の公的価値を認めた努力は伺える」としつつも「法的な論理構成に弱点がある」と指摘した。 彼は「チェ記者がたとえ実定法に違反したと判断されても、言論報道の公益的側面を勘案してその違法性を阻却して無罪を宣告することが妥当ではないかと考える」と明らかにした。
パク・ジョンニュル韓国記者協会長もやはり「‘報道の公益的理由がある’と認めるなど、積極的に言論の自由を伸ばす趣旨の判決が下されるべきであった」と物足りなさを表わした。 彼は「裁判所に苦心した痕跡が見え、検察の起訴が無理だったことを立証したという点で評価できる点はあるが、あえて聴取・録音・報道を別々に分離して判断したことは、国民の知る権利の充足と言論の自由の価値を消極的に解釈した結果と思われる」と指摘した。 記者協会で現職記者305人を対象に実施した世論調査では、回答者の69%が「自分がチェ・ソンジン記者ならば、正修奨学会関連内容を記事化する」と明らかにした。
カン・ソンナム全国言論労組委員長は「検察の無理な起訴自体が問題であった」と前提にした後 「判決で正修奨学会関連報道が国民の知る権利を満たすための、公的価値を持った重要な懸案であったということを明確に提示しなかったという点で物足りなさがある」と明らかにした。 彼は「最近<韓国放送>が‘ユン・チャンジュン報道指針’内容を報道した<ハンギョレ>と<京郷新聞>に訴訟を提起するなど、言論の報道に対して告訴や告発で対応する事例が増加していて、そのために言論の取材活動が全般的に萎縮する傾向がある」と憂慮した。 キム・ソジュン教授も裁判所が聴取行為を有罪と判断したのは「今後に判例として残り、言論の取材活動を全般的に萎縮させる効果を持たらしかねない」と憂慮した。
チェ・ウォンヒョン記者 circle@hani.co.kr