バレオマンドの労働者たちが去る9日午後、慶北(キョンブク)慶州(キョンジュ)にある労働組合事務室に入った。 会社が強制閉鎖して3年5ヶ月ぶりだった。 窓は鉄格子で遮られ、備品や什器は全て消えた状態であった。 労組事務室から食堂や工場の生産現場に通じる通路も封鎖されていた。 2階の労組事務室から行ける所は1階の出入口だけだった。 2010年2月、会社の部分職場閉鎖で組合事務室を奪われた労組が、裁判所の判決を受けて取り戻したところは完全に孤立した空間だった。 会社側はこの日午後8時頃、事務室に通じていた電気と水道も切った。 非常灯は消え、事務室横のトイレは悪臭が立ち込めた。 会社側は2日後じ管理職、企業親和的労組員など200人余りと1トン トラックを動員して労組事務室前芝生に集っていた労組員に向けて容赦なく農薬を散布した。 常駐していた警察は傍観していた。
バレオマンドは2010年初め、警備業務の外注化過程で会社に抗議する全国金属労組支会組合員を大量解雇し、労組事務室を閉鎖した。 以後会社には企業親和労組ばかりが2つできた。 この過程で‘労組つぶし’専門労務法人の創造コンサルティングが介入した事実が昨年明らかになった。
チョン・ヨンジェ金属労組バレオマンド支会長が怒りをこめて話した。 「解雇が不当だという高裁判決も去る5月30日に出されました。 それはさておきこれまで二回も出てきた裁判所決定により労組事務室だけでも自由に利用できるようにしてほしいということです。このように法が無視されてもいいのでしょうか。 労働部に法執行を要請したところ、浦項(ポハン)(労働)支庁長自らも(会社が指示を無視して)恥ずかしいと言いました。」 会社は金属労組組合員との法廷攻防40件余りの内、ただ1件を除いて1審または2審で負けたのに、法履行措置はなかった。 3審まで争うということだ。
去る3月、労組が出した‘労組活動妨害禁止仮処分’申請でも、慶州支所は労組の手をあげた。 1年3ヶ月ぶりの福音だった。 裁判所は 「最高裁確定判決前までは解雇者も組合員として認定するという団体協約(2008年)もある。 バレオマンド支会組合員は労組事務室に出入りする権利があり、会社はこの出入りを妨害しない義務がある」と話した。
一時621人だった組合員が41人(解雇争い29人含む)で減った支会を相手に、会社はすぐに仮処分異議申請を出した。 裁判所は去る5月13日に棄却した。 会社が掲げた滅茶苦茶な労組事務室出入り条件(人的事項記載後に出入りするものの09~18時のみ可能)も 「理由がない」 と判断した。 半月後の30日、ソウル高裁は15人の解雇、11人の停職が不当だと判決した。
だが、その間に労働者の監視が目的と見られる防犯カメラ(CCTV)は20台ほどに増えた。 金属労組組合員は企業親和労組側が受け取った昨年の成果給1500万ウォンだけでなく、学資金も受け取れずにいるなど差別が日常化した。 それこそ無法地帯であるわけだ。
組合員たちは15日、国家人権委に人権侵害陳情を出しながら緊急救済制度も共に申請した。 彼らはこの日記者会見を行って「11日農薬散布で5人が病院に移送され、その渦中で4人が暴行を受けて負傷した。 生命権、人格権が侵害を受けている」と訴えた。 会社側は 「(控訴・上告を通じて)最後まで争い、この国に法が生きているということを見せる」という宣伝放送を社内に流しているという。
金属労組は不当労働行為を理由に昨年10月バレオマンドとともに労働界が‘複数労組悪徳企業’として挙げる柳成企業・ボッシュ電装・サンシンブレーキを告訴したが、検察は9ヵ月にわたって補強捜査指揮を下しただけだ。(<ハンギョレ> 7月4日付9面)<ハンギョレ>は説明を聞くためにバレオマンド人事担当常務・部長に数回電話したが電話はつながらなかった。
イム・インテク記者 imit@hani.co.kr