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‘103年の歴史’晋州(チンジュ)医療院…門を閉めたホン・ジュンピョ、傍観した朴槿恵(パク・クネ)

登録:2013-05-29 22:34 修正:2013-05-30 06:17
晋州医療院廃業‘政府責任論’
チン・ヨン長官 "業務開始命令は困難"
朴大統領も暗黙的同調したもよう
慶南道(キョンナムド)が晋州(チンジュ)医療院の廃業を発表した29日、警察官と慶南道の公務員らが慶南晋州市、草田洞(チョジョンドン)の晋州医療院前で出入りを統制している。 晋州/パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr

34ヶの地方医療院 平均負債 151億ウォン
経済論理のみで言えば安心できる所はない
公共医療 崩壊 信号弾 憂慮

 103年の歴史を持つ公共医療病院が就任13ヶ月にもならない道知事に押し倒され、その門を閉めた。‘地域拠点公共病院活性化’を公約した大統領が傍観している間に、地域住民の苦痛を治癒してきた公共病院の生きた歴史が幕を下ろした。

 1910年、日帝が国権を侵奪した直後に晋州医療院の前身である晋州慈恵院が設立された。 針・灸等で病気を治療していた時期だった。 そのような地域に初めて洋式の病院ができた。 1925年慶南道立晋州病院と名前を変えた。 植民地時代、医療院の煙突は晋州市内で最も高く地域の名物であり自尊心だったと伝えられる。 医療院の名前は変わったが、今日に至るまで晋州・泗川(サチョン)・居昌(コチャン)・山清(サンチョン)・河東(ハドン)など西部慶南庶民の傷を癒す地域拠点公共医療院の役割は変わりなかった。

 晋州医療院の103年が地域公共医療の生きている歴史だとすれば、29日の晋州医療院廃業決定は‘大韓民国公共医療の崩壊’というまた別の歴史の信号弾になり得る。 保健医療市民団体らと関連専門家たちは今回の廃業事態が他の地方医療院を含む公共病院全体に広がる可能性を憂慮している。 一言で言えば‘晋州医療院の廃業論理に従うならば地方医療院の中で生き残れる所はない’ということだ。

 2011年基準で地方医療院の負債は晋州医療院が253億ウォン程度だが、全北(チョンブク)、群山(クンサン)医療院は416億ウォン、釜山(プサン)医療院は368億ウォン、ソウル医療院は315億ウォンなどで、更に多額の負債を負っている所もあるためだ。 チョン・ベククン慶尚大医学専門大学院教授は「2011年基準で34ヶの地方医療院のうちで、借金がない所はなく、平均負債が151億ウォン程度だ。 また、晋州医療院のように300病床以上の地方医療院の負債は平均261億ウォンにもなる。 晋州医療院の廃業論理に従えば、これらの医療院も安心できない」と指摘した。 当期収益もやはり7ヶの医療院だけが黒字を出し、34ヶの医療院の平均は19億ウォン程度の赤字だ。 チョン教授は「晋州医療院のように地方自治体が医療院を閉鎖した事例が先例になって、経営状況が苦しい他の医療院にドミノ現象が現れかねない」と心配した。

ホン・ジュンピョ慶南道知事が29日午後、慶南道庁会議室で晋州医療院廃業談話文発表後、ネクタイをなでつけながら発表会場を出ている。 昌原(チャンウォン)/イ・ジョンア記者 leej@hani.co.kr

 朴槿恵(パク・クネ)政府は地方医療院など公共医療の拡充を公約したが、今回の晋州医療院廃業のようにむしろ公共医療が縮小されるのではないかという憂慮も出ている。 朴大統領は候補時期「農漁村地域の公共保険医療インフラを拡充し、地方医療院をはじめとする地域拠点公共病院を活性化する」と公約した。 だが、地域拠点公共病院の代表格である晋州医療院が廃業をむかえるまで朴大統領は「道民の意に従わなければならない」という曖昧な返事を出しただけだ。

 ウ・ソッキュン保健医療団体連合政策室長は 「晋州医療院の廃業事態は朴槿恵政府の公共医療政策を調べてみる試験台と見ることができた。 結局は地方自治体に廃業可否を預けておいて中央政府がいかなる役割も果たさなかった。 すなわち朴槿恵政府は公共医療を拡充することができないばかりか縮小させることに同調するのではないか。 チン・ヨン福祉部長官は直ちに業務開始命令を下さなければならない」と要求した。

 晋州医療院の廃業は来る6月4日大統領就任100日と6月臨時国会を控えて政治争点に浮上している。 民主党指導部が‘朴槿恵政府の福祉公約後退’を批判し、大統領府と政府・与党を正照準しているためだ。

 キム・ハンギル民主党代表はこの日午前、ソウル永登浦(ヨンドンポ)の党事務所で開かれた最高委員会議で「公共医療拡大を公約した朴槿恵大統領が、就任100日をむかえて国民にあたえる贈り物が晋州医療院の廃業」とし 「政府とセヌリ党は深刻な国民抵抗に直面するだろう」と話した。 イ・オンジュ院内スポークスマンもブリーフィングで「地方公共医療院廃業決定視福祉部長官と事前協議するようにした地方医療院法改正案が国会保健福祉委を通過したが、法司委でセヌリ党の反対で足かせをかけられた」と指摘した。

 これに対しチン・ヨン保健福祉部長官は「民間病院が公共医療領域の代わりをすると言っても、できない部分があるので公共医療はさらに強化されるのが正しい。 晋州医療院の廃業は非常に残念だ」と話した。 だが、福祉部長官が医療機関に下せる業務命令を通じて、晋州医療院を正常化させなければならないのではないかという問いに対しては「福祉部長官が自治体長に命令することは医療法上の対象ではなく行政的に難しい」と一歩引いた。 チン長官は「残念だが、長官の立場で最善を尽くす以外には別に法的に強制する方法も、法的根拠もない」と話した。

 慶南道の強引な決定の前に福祉部がどれほど無力なのかを象徴的に見せる事件もあった。 慶南道が福祉部に廃業決定事実を知らせるに際し、公文書や電話通知ではなく携帯メール一通を送っただけだった。 この日午前7時50分、慶南道ユン・ソンヘ福祉保健局長が福祉部担当政策官宛に携帯メールを送ってきた。 内容は‘2時間後に廃業する’とのことだった。 福祉部担当官だけでなくチン・ヨン長官にも電話一通ないのは同様だった。

ソン・ジュンヒョン記者、キム・ヤンジュン医療専門記者 dust@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/589620.html 韓国語原文入力:2013/05/29 21:25
訳J.S(2675字)

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