米国 警察、ユン・チャンジュン公式捜査…‘犯罪人引き渡し’請求するか 注目
ワシントン警察、現場状況 把握
‘懲役・禁固 1年以上’判断すれば
ユン前スポークスマン 引き渡し請求が可能
まず‘刑事司法共助条約’活用
国内捜査機関 資料協力 受け入れる展望
嫌疑が小さければ欠席裁判も可能
韓国では告訴なければ捜査できない
米国の捜査当局が8日(現地時間)ユン・チャンジュン前大統領府報道官のセクハラ事件と関連して、被害女性の申告を受けて公式捜査に入った。 ところがユン前スポークスマンが逃げるように帰国したため今後の捜査がどのように進行されるのかに関心が集っている。
ワシントン メトロポリタン警察局のクェンドリン クロムプ公報局長は<ウォールストリートジャーナル>に 「私たちはセクハラ(misdemeanor sexual abuse)申告について調査をしている。 この時点で追加コメントはできない」と話した。 警察は被害女性から電話で申告を受けた後、現場に出動して状況を把握したと言う。 すなわち被害者とホテル関係者などを相手に事実関係を把握するものと見られる。
問題はユン前スポークスマンが韓国にいるため加害者に対する調査が当面は難しいという点だ。 ユン前スポークスマンが自ら米国に行き調査を受けない場合、米国の捜査機関は犯罪者引き渡し請求制度を活用できる。 韓・米両国では‘1年以上の懲役・禁固刑’に相当する犯罪を犯した場合には引き渡しの対象になる。 米国捜査機関が今回の事件の具体的な事実関係をどのように把握するかが重要な理由だ。 米国警察当局の申告書を見れば、被害者は「無断で尻を‘握りしめた’(grabbed)」と述べた。 ある米国弁護士は 「この程度が行為の全てならば、犯罪者引渡し請求をする犯罪ではなさそうだ。 ただし米国内世論が否定的な場合には請求することもありうる」と話した。 米国の請求でわが国の法務部がユン前スポークスマンの引き渡し決定を下せば、裁判所の審査を経て最終決定される。
米国の捜査機関が刑事司法共助条約を活用する可能性が高い。 条約締結国間には身柄引き渡しを除き、犯罪と関連した殆どすべての資料をやり取りできるようになっている。 この条約を通じて韓国捜査機関が米国捜査機関の代わりにユン前スポークスマンの陳述を受け取ることができるわけだ。
ユン前スポークスマンが米国に行かなくとも欠席で裁判を進行することもできる。 パク・ギョンシン高麗(コリョ)大法学専門大学院教授は「米国で被告人は公訴事実を認めるのか否認するのかを尋ねる‘公訴事実認否手続き’(arraignment)を通じて自分がどんな罪で起訴されたかを告知されなければならない。 その手続きのため、以後は法廷に出なくてもかまわない。 だが、最高1年の刑以下である罪を称する‘ミスディミノ’(misdemeanor 軽犯罪)で起訴されれば容疑に対する公式告知がなくとも欠席裁判が可能だ。 連邦刑事手続きには書面で欠席裁判の同意を受けられる規定もある」と話した。 ユン前スポークスマンがいなくても米国で裁判が可能だという意だ。
ユン前スポークスマンが米国に自ら出向き警察の調査を受けるという展望も出ている。 大統領随行団の一員として米国を訪問しただけに、その身分を維持したまま米国で調査を受ける状況を避けるため急いで韓国に戻り、今は民間人身分なので米国に行って調査を受けても外交的負担が相対的に少ないという話だ。
ユン前スポークスマンが韓国にそのまま留まれば、今後の米国入国は難しくなる展望だ。 北韓のチャン・ギョンナム体操協会書記長は1996年アトランタ オリンピックの時に北韓選手団を率いて米国にいる間「可愛い」と言って男子の性器をもてあそんだ疑いで拘束起訴された。 チャン書記長は「頭を撫でただけ」と抗弁し、裁判所は保釈金5万ドルでチャン書記長を解放した。 チャン書記長は裁判を控えて北韓に出国した。 以後、公判は無期限延期され保釈金没収、米国入国不許可措置などが下されたと言う。
韓国捜査機関が先に立ってユン前スポークスマンのセクハラ疑惑を調査することもできるが、そうするためには被害女性が直接告訴しなければならない。 強制わいせつ・性暴行罪などは被害者の告訴があって初めて処罰できる親告罪だ。 最近、親告罪条項が廃止されたが、改正法が施行されるのは来月19日からだ。
キム・ウォンチョル記者、ワシントン/パク・ヒョン特派員 wonchul＠hani.co.kr
訳J.S(2055字)
