京畿道(キョンギド)が現代史専攻でない保守性向の学者に任せて作った『京畿道現代史』を来月から京畿道公務員教育用教材として使うことにした。 公務員に「偏向した歴史認識を強要するのではないか」という批判が出ている。
チョン・テクチン京畿道スポークスマンは21日、「偏向的歴史教育を正し、正しい歴史認識をもって公務員が愛国心を感じられるよう教材を発刊した」と話した。 キム・ムンス京畿道知事は昨年6月「我が国の国史が誤っているので、京畿道公務員教科書を別に書いて出版するつもりだ」と話したことがある。(<ハンギョレ> 2012年6月19日付14面)
368ページ分量のこの本は、京畿道が2010年に4600万ウォンで委託し最近発行した。 京畿道は今年の新入公務員など1480人の教育用教材として使う計画だと明らかにした。
しかし本の内容と執筆陣の構成から偏向性論議が起きている。 執筆者のイ・ヨンフン ソウル大教授(経済学)はニューライト系の『代案教科書韓国近現代史』を出した教科書フォーラムの共同代表だ。 諮問を務めたアン・ビョンジク ソウル大名誉教授(経済学)は教科書フォーラムの顧問でありセヌリ党汝矣島(ヨイド)研究所理事長を務めた人物。リュ・グニル<朝鮮日報>主筆理事と西洋史専攻のカン・ギュヒョン明知(ミョンジ)大教授は「第2の教科書フォーラム」と呼ばれる現代史学会所属だ。また、リュ・ソクチュン延世(ヨンセ)大教授はハンナラ党の真の政治本部共同本部長を務めるなど、諮問団7人が保守一色だ。
イ・グンス京畿(キョンギ)大名誉教授(史学)は「論議の多い現代史叙述において執筆者と諮問団に最小限の左右均衡もそろえられないまま教材を作っておいて公務員にそのままついてこいというのか」と批判した。
教材の随所に偏向的な歴史叙述が発見される。 済州(チェジュ)4・3事件については「済州島の共産主義勢力が大韓民国建国に抵抗して起こした武装反乱だった」と記述し、158ページでは独裁者と認識される 李承晩 (イ・スンマン)元大統領が低く評価されている責任を国民のせいにした。 特に5・16軍事クーデターについては「5・16は国家経済の蔵を満たし… 5・16が起きるや大多数の国民は来るべきものが来たとしてそれを暗黙的に支持した」と叙述している。
延世(ヨンセ)大のワン・ヒョンジョン教授(歴史文化学)は「日帝の植民地化が韓国の近代化に寄与したという植民地近代化論自体が論難状態にあるのに、李承晩-朴正熙と続く支配層の開発中心的アプローチは、独裁権力に対抗した民主主義勢力の大切な価値から目をそむけ『主流の歴史だけが正当な歴史』という誤った歴史認識を植えつける恐れがある」と憂慮した。
水原/ホン・ヨンドク記者 ydhong@hani.co.kr