原文入力:2012/08/12 20:28(2520字)
韓-日関係専門家たちはどのように見るか
去る10日に突然行われた李明博大統領の独島(ドクト)訪問は過去と現在が幾重にも絡まり混じった韓-日関係をより一層複雑微妙にさせている。 李大統領の訪問背景と今後の韓-日関係展望に対する専門家たちの分析と評価も交錯している。 韓-日関係専門家4人の見解を聞いてみた。
ムン・ジョンイン延世(ヨンセ)大教授
レイムダックを打開しようと使った衝撃療法
基本的な外交慣行を壊した
第一に李明博大統領の今回の独島訪問は国内政治の局面転換用だ。 大統領や側近は現在のレイムダックが持続することを望まないために、国民多数の支持を得るための衝撃療法を使ったのだ。 この間、李政府は外交政策は価値同盟だと主張してきたが、結局は状況論理に沿って行ったのだ。 第二には李大統領が日本と軍事秘密情報保護協定まで結ぼうとしていた人だが、恐らく日本政府の態度に失望したようだ。 李大統領は韓-日情報協定を推進して軍需支援協定も検討していたが、日本は今回も防衛白書に独島問題を入れるなど誠意ある態度を見せなかった。
互いに友好的な国家間で最も望ましくない状況はびっくりショーのようなことで、そのために常に主要懸案を協議し予測できるように管理しているわけだ。 ところが今回の李大統領の行動はこのような基本的な外交慣行を破った。 日本は衝撃を受けただろう。 韓国は周辺国との外交が重要だが、日本との関係はさらに難しくなることになった。 日本民主党政府が大使を召還するが、今後は自民党が更に進めるだろう。 韓-日間軍事情報協定は水泡に帰し、3ヶ国共助を追求してきた米国にとっても負担になるだろう。
ソン・ミンスン前外交通商部長官
独島-千島列島 厳格に違うのに
日本は同様な状況として利用するだろう
李明博大統領の独島訪問はドミトリー・メドベージェフ ロシア前大統領の北方島嶼訪問をベンチマーキングしたものという評価が出ている。 これは国際情勢と歴史的事実を理解していない話だ。 北方4島は日本とロシア間ですでに紛争地域であることを両者ともに認めている地域だ。 一時、ロシアが4個の島の内、南側の2島を日本に渡すことができるという意志を表明した経緯もある。
しかし独島は東島と西島のどの一つでも渡すことができる地域でない。 独島は日本が強占侵奪したものを私たちが取り戻した私たちの領土だ。 市民団体が行って独島領有権を主張する日本を糾弾する主張を繰り広げることは可能だ。 だが、今大統領が独島を訪ねて行くことによって自ら私たちの領土である独島を北方島嶼と同じ状態の紛争地域にしている。
日本は当然これを利用しようとするだろう。 「韓国大統領まで出てきてこうするのを見なさい。北方島嶼や尖閣列島と同じ状況」として国際社会に自分たちの領有権主張の正当性を強弁する根拠として活用しようとするだろう。 国内の政治的意味合いを離れて歴史的視野と外交的観点で独島問題を扱う冷静さが必要だ。
チン・チャンス世宗研 日本研究センター長
計画も持たずにとても大きな刀を抜いて
日本は今後、対応強度を上げるだろう
李明博大統領の独島訪問に対して情緒的に反対する国民は誰もいない。 しかし外交戦略の側面で問題がある。 まず実質的な効果もなく日本を刺激して韓国に対する批判世論を沸き立たせる必要がない。 必要ならば冷静な計画をたてて一連の対応をしていくことが必要だが、あまりに早く大きな刀を抜いた。 大統領の独島訪問は最終的カードとしての性格がある。 ところが蚊を見て牛刀を抜いたも同然だ。 時期も疑問だ。 大統領の任期が6ヶ月しか残っていない状況でこのように外交的波紋が大きな問題を起こす必要があるのかと思う。 任期中に解決しにくい問題を起こし、次政権に負担を与えることになった。
今後、日本は対応強度を高めるだろう。 自分たちが動員できる多くの方法を検討するだろう。 すでに国際司法裁判所提訴を検討しているではないか。 日本右翼の立場からは今回のように独島問題をイシュー化しやすい機会がまたとあるだろうか。 今後の韓-日関係管理が重要だが、直ちに解決することは容易ではなく見える。 慰安婦や徴用者問題などにも影響を及ぼす恐れがある。 日本が柔軟に出てくることがさらに難しくなるだろう。 当分は冷却期間が避けられない。
木宮正史 東京大教授
シャトル外交ができなくなったことが残念
長引けば両者に得にならない
韓国では最近1年余り日本軍慰安婦問題などにより日本に否定的な世論が強まった。 李大統領は日本に解決を期待したが日本がこれに対し応しられなかった。 結局‘韓-日友好関係’がそれほど重要ではなく、日本を殴っても損にはならないという判断の下、任期末に政権支持率を浮揚するためのカードとして使ったようだ。 日本は国際司法裁判所提訴カードを取り出したが、韓国が応じないことをよく知っている。 日本の目的は‘韓国が国際司法裁判所の裁判を拒否するのは、自分たちの主張が正当でないと言うこと’だとして国際社会世論に訴えようとすることだ。 日本としては今それ以上のこれといったカードがない。
韓-日シャトル外交ができなくなったことは惜しい。 誰が大統領なるかによって影響されるだろうが、セヌリ党朴槿恵候補も独島に行くという立場であり、依然として葛藤の素地はある。 しかし韓-日共に両国関係が大きく悪化することを願ってはいない。 表面的には葛藤するが、長く引っ張ることはお互いに得にならない。 しばらくはこの状況が続くだろうが、韓国政府も時間を置いてこの事態を乗り越える機会を探すだろうと見る。
キム・キュウォン、ソン・ウォンジェ記者、東京/チョン・ナムグ特派員 che@hani.co.kr
原文: 訳J.S