原文入力:2008-12-16午後08:44:31
チョ・グク ソウル大学,法科大教授
第18代国会にハンナラ党議員たちが提出した集会および示威に関する法律改正法律案中、ソン・ユンファン,シン・ジホ,イ・ジョンヒョク議員がそれぞれ代表発議した内容を見ると、集会・デモの主催者および参加者が身元確認を難しくする仮面・覆面・マスクなどの道具を“所持・携帯・着用”することを禁止し処罰する条項を新設した。
しかしこういう集示法改正法案は、第一に覆面着用集会・デモに対する無理解や偏見を基礎にしている。例えば以上の法案に従うことになれば同性愛者や売春女性など社会的少数者や弱者が自身の権益を主張する集会・デモを行う時、自身の身元を隠すために顔を隠せば処罰されることになる。私たちの社会でしばしば行われるデモ様式である非暴力‘沈黙デモ’もマスクを用いて行われる場合が多いが、これまた処罰対象となる。また反戦集会・デモで骸骨マスクを使ったり批判の対象になる公的人物を表現する仮面をかぶり集会・デモに参加する場合も処罰対象になる。
スキー用マスク等の覆面を用いた集会・デモ参加者をすぐに過激暴力分子と連結させることも問題だ。スキー用マスクは酷寒に野外集会・デモを行う際に使われる事もあり集会・デモ参加者の強力な決意を表わす表現手段でもある。例えば2006年慶南(キョンナム),密陽市(ミリャンシ),丹場面(タンジャンミョン)カンムル里のミネラルウォーター工場許可に反対して村民たちが目と鼻だけ出した覆面を使ってデモを行ったが、この住民たちを過激暴力分子と規定することはあまりに無理がある。
第二に、2003年憲法裁判所が集会の自由の保障内容を説示して「参加者は参加の形態と程度,服装を自由に決めることができる」と明らかにした経緯があり、上記法案はこういう憲法裁判所の決定にも反する。この法案が通過することになれば覆面着用の集会・デモ禁止の不当性を公論化するためにわざと覆面を着用して平和的な集会・デモを行い裁判過程でこの条項の違憲を争うことが予想される。
弟三に、刑法理論の見地から覆面などを着用するのはもちろん所持・携帯することだけでまさに犯罪になるということは‘過剰犯罪化’そのものだ。現行集会示威法が暴力的集会・デモとその宣伝・扇動,禁止された屋外集会・デモなどをすでに処罰しており覆面の所持・携帯・着用自体を処罰する必要性は少ない。
第四に、ドイツ・オーストリア・スイス・米国などで覆面集会・デモを禁止する法例を発見できることは事実だ。しかし過度な規制により不法集会・デモを量産する私たちの集示法とは異なり、これらの国では集会・デモの自由がはるかに広く保障されており、これを前提に覆面集会・デモを制限的に禁止しているからこそ、実際覆面集会・デモの処罰は珍しく成り立っている。米国の場合、覆面集会・デモ禁止法規は主に人種差別的犯罪として悪名高いK.K.K.団の集団行動を規制するために作られたもので多くの州裁判所は覆面集会・デモを禁止する法規が表現の自由を侵害したりまたはその文言が曖昧だという理由により違憲決定を下したことがある。
要するに覆面集会・デモを処罰する集示法改正案は、集会・デモの自由が政治的反対者や社会・経済的弱者の意思表現手段だという点を没却しており「覆面着用=不法暴力」という図式に捕われ覆面が多様な意思表現の方式であることを無視したものであり、直ちに廃棄されなければならない。集会・デモに対する違憲的で過度な禁止・規制を導入しようとするこの改正案が通過するならば‘不法’集会・デモとこれに対する強硬鎮圧が激突する悪循環はむしろ拡大再生産されるだろう。
ショ・グクソウル大学法科大教授