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10万人徴用・賠償は0ウォン…三菱の逃げ口上に今度はくさび?

原文入力:2012/05/29 22:19(2261字)

朝鮮人の賃金を最も多くピンはねした‘筆頭戦犯企業’
"戦前企業とは別会社" 言い逃れ…広報には "100年の歴史"
交渉団、連係性認めた大法院(最高裁)判決で圧迫を計画

 日本に向かった父の痕跡は死亡証明書になって戻って来た。 1910年6月慶南(キョンナム)固城(コソン)で生まれたピョ・サンマン氏は1940年長男が生まれた後、日本に強制徴用された。 日本、長崎県、三菱鉱業(株)高島鉱業所で働いたピョ氏は故国に帰ることはできなかった。 ピョ氏の家族は1971年6月に‘ピョ氏が1942年落盤事故で亡くなった’という死亡証明書を受け取った。 三菱側は朝鮮人強制動員被害調査をしていた日本の市民団体がしつこく要求するとようやくピョ氏の死亡を認めた。

 高島には三菱が所有する海底炭鉱があった。 地下数百mを掘り下げて採掘する海底炭鉱は人権死角地帯で‘おばけ島’(地獄島)と呼ばれた。 三菱は戦争時に造船所と航空機製作所などを経営した代表的な軍需企業であった。 日本人学者 竹内康人が書いた‘三菱財閥による強制連行、戦時労働奴隷制について’(2004年)によれば、三菱は1939年以後だけで朝鮮人を少なくとも10万人強制徴用した‘筆頭戦犯企業’に挙げられる。 三菱は日帝時に日本だけでなく韓半島と東南アジア、ミクロネシアとサハリンなどに作業場を125ヶ所置いていた。 朝鮮総督府は1938年4月、国家総動員法により徴用令を制定し、朝鮮人を三菱など日本戦犯企業の作業場に配置した。 朝鮮人労務者ははした金を賃金として受け取り重労働と殴打などに苦しめられ、事故や病気などで多くが亡くなった。

←日本、長崎県三菱炭鉱(株)高島鉱業所が1971年6月10日に発行した朝鮮人強制徴用者ピョ・サンマン氏の死亡証明書。 高島鉱業所は朝鮮人強制動員被害実態調査を始めた日本市民団体の要求により、ピョ氏が1942年落盤事故で死亡したという証明書を遅まきながら発行した。 日帝強制占領下 強制動員被害真相究明委員会提供

 日本国立公文書館つくば分館に保管された‘労働省調査 朝鮮人に対する賃金未払い債務調’(1950年10月6日)文書によれば、朝鮮人労務者などに対する未払い賃金を供託形態で日本法務局に預けた企業の中で、三菱が1万935人で最も多かった。 三菱重工業長崎造船所は朝鮮人406名分の給与・退職金など85万9770円を供託した。 この金は現在日本銀行に預置されている。

 三菱造船所があった広島と長崎に1945年8月原子爆弾が投下され朝鮮人居住者7万人の内約4万人が被害をこうむった。 当時朝鮮人は三菱造船所に4700人、高島炭鉱に3500人がいたが、正確な死亡実態はまだ明らかになっていない。

 しかし三菱は‘戦争前の会社とは別の会社’であり‘1965年韓日協定で個人請求権は消滅した’という論理で謝罪および被害補償要求を無視してきた。 ヤン・クムドク(83・光州(クァンジュ)広域市、西区良洞)氏ら三菱名古屋航空製作所で働いたが賃金を受け取れなかった‘朝鮮女子勤労挺身隊’ハルモニが損害賠償請求訴訟を起こし勤務事実を証明するために1998年日帝時厚生省に出した年金記録の確認を要請し、三菱は11年後の2009年9月にヤン氏らの勤務事実を認めた。 三菱重工業は日本厚生省がヤン氏ら8人に厚生年金脱退手当てとしてわずか99円(1250ウォン)を支給し国民的怒りを招く端緒を提供した企業だ。 三菱重工業は昨年11月から‘勤労挺身隊三菱共同交渉団’の要求により損害賠償交渉の場に出てきながらも従来の態度を固執している。

←三菱重工業で強制労働をしたヤン・クムドク ハルモニが2009年光州(クァンジュ)広域市三菱自動車展示場前で売り場開設に抗議して泣き叫んでいる。 <ハンギョレ>資料写真

 三菱は米軍政時に解体されたが1952年サンフランシスコ講和条約で企業らを再合同した。 今回の大法院判決は‘個人請求権は消滅しておらず、戦争前後で三菱は連係性がある’と判示した。 勤労挺身隊三菱共同交渉団韓国側共同代表であるイ・サンガプ弁護士は「来月5日の交渉でも三菱重工業が知らぬフリをするならば、結局韓国の法廷で訴訟を通じて損害賠償をせざるを得ない状況に直面するだろう」と話した。

 三菱グループの中核は三菱重工業と銀行などだ。 三菱重工業は車両・船舶・タービン・発電機などを製造する大型企業だ。 従業員は系列会社まで含めて6万2000人で、売上は4兆4000億円に及ぶ(2008年基準)。また、三菱は韓-日近現代史歪曲で知られた‘新しい歴史教科書をつくる会’に後援支援金を与えたことが分かった。

 国務総理所属‘対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等支援委員会’のチョン・ヘギョン調査2課長は「ドイツのフォルクスワーゲンのような戦犯企業は政府の損害賠償とは別に周辺国労働者160万人に614億600万ユーロ(2003年)を個別補償した」として「三菱もドイツ企業らの前例を参考にして過去を清算して行かなければならない」と話した。

光州/チョン・デハ記者 daeha@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/535152.html 訳J.S