記事登録:2012/03/29 11:54(3884字)
←民主統合党の19代総選挙比例代表候補3番であるウン・スミ前労働研究院研究委員。写真キム・ジョンチョル記者
社労盟出身ウン・スミ前労働研究院研究委員
「民主党に対する躊躇はない…大企業遵法経営 法根拠作るつもり
全く税金を払えない人 40.3%、このような状態は福祉ではダメ」"
「福祉は金持ち増税だけではダメで、公正な労働、良い働き口があってこそ可能だ。」「アカ論争は現在を生きながら未来を夢見る私たちには似合わない。 時代錯誤的だ。」
民主統合党の19代総選挙比例代表候補3番であるウン・スミ(48)前労働研究院研究委員は熱く若い時期を過した人間らしくなく終始物静かだった。 その一方で非正規職問題など‘労働’を語る時には強い情熱が感じられた。 彼女は1990年代初めに非合法運動団体であった社労盟(南韓社会主義労働者同盟)活動で6年間の獄中生活をした後、一歩遅れて学校に戻り学者になった労働問題専門家だ。 その間準備ができていないとして言論インタビューを一切敬遠してきたウン・スミ博士をかろうじて説得し、28日ソウル、汝矣島(ヨイド)の国会で会った。
-民主党が電撃的に迎え入れたと聞いたが?
"去る15日、16日頃、公認審査委で推薦したとして突然民主党から連絡がきた。 非正規労働者など労働問題が大変重要だから政策専門家が出てほしいと言った。 周辺の人々と急いで相談すると皆そうするのが良いと助言をしてくれたので受諾した。 労働研究院にはすぐに辞表を出した。 内部規定上ではあえて辞職しなくても良いのだが、政治活動をしながら研究者の地位を維持することは適切でないと考えて辞めた。"
-政治をするつもりは普段からあったか?
"なかった。その間監獄から生きて戻って来れたことに感謝したし、それで+αとして生きている感じだった。 政治を頭の中で思い出す暇もなかった。 ただし、労働問題解決のための調査や政策設計、立案および調整過程は労・使・政および多様な人に会って疎通する過程だ。 それが外形上、政治的行為と似ているように見えたのか、研究者だけでなく政治家として労働問題を解きほぐすこともできるという話を聞くことはあった。 多分そのためであっただろう。 最終決定をしなければならなかった瞬間に、労働問題解決のために研究者だけでなく政治家として私が必要で力になれるなら応じるのが当然な道理という気がした。 今は最善を尽くして努力するということしか言えない。"
-進歩的な学者として民主党に対する躊躇はなかったか?
"なかった。福祉国家イシューに同意するし、正しい労働、尊重される労働作りに関心があって実践意志もあるならば、私には大差ないためだ。 問題は実際そのようにするかだ。 民主党とその間非正規職労働者対策を協議しながら直ちにできるものは実践してほしいとお願いしたことがある。 民主党出身団体長がいる地方自治体ででも公共部門非正規職の正規職転換を党次元で全面的にできることではないかという意味だった。 すでに一部の地方自治体では始まっていたが、それを受け入れた。 その程度であれば一緒にできると判断した。"
彼女は2005年に母校であるソウル大で‘韓国労働運動の政治勢力化類型研究’で博士学位を受けた。 その年から政府の外郭機関である労働研究院研究委員として労働現場に対する実証的な調査や研究だけでなく、具体的な労働政策を設計し立案する仕事をしてきた。 その過程で政府だけでなく与野党各政党関係者たちとも額を突き合わせた非正規職労働専門家だ。
-非正規職労働者問題は何だと見るか?
"非正規職問題の核心は差別だという。 だが、韓国の非正規職問題は差別問題だけではない。 社会の存立が不可能だという一種の叫び。 1980年代の時代精神が独裁を越えた民主主義確立だとすれば、2000年代には非正規職を越えた福祉国家の確立だ。 福祉国家を成し遂げるためには必ず解決しなければならない課題だ。"
-具体的にどのように解かなければならないのか?
"先ず、大企業が遵法経営できる法根拠を作らなければならない。最高裁判例を企業が認めて守るようにしなければならない。 現代自動車の社内下請け問題を解決すれば非正規職問題全体の30~40%が解決される。 300人以上の大企業2社に1社が社内下請けを使い、そのうちの相当数は現在の最高裁判例に照らしてみる場合、不法である可能性がある。 したがって法的根拠を作って企業が遵法経営をするならば非正規職の数字がそれだけ減るだろう。
また、ガソリンスタンドやコーヒー専門店などのアルバイト生の最低賃金を改善して未払い賃金をなくすなど、基本的な勤労基準を確立しなければならない。それは法の改善以前に政府の意志さえあれば可能だ。
第三に外形上は自営業者だが実際には労働者であるレミコン労働者や学習誌教師のような人々にも憲法上の労働三権を付与しなければならない。 これを通じて労使が自律的規律でできる能力が作られるならば不必要な葛藤が減るだろう。"
-その間労働と資本の区分が明確でない側に社会は発展してきたが、なぜ今労働が重要なのか?
"労働は人間社会と共同体の基本概念だ。 人間が地球上に存在したまさにその瞬間から生きてゆくための労働は人間の条件だった。 資本ではなく労働が先だったではないか。 そんなことを別にしても、多くの人が希望する福祉国家を作るためにも労働は必須だ。 今、議論されている半額授業料や無償給食などは公正な労働をする人々が税金を払ってこそ可能だ。 ところが非正規職など最初から税金を払えない人(免税点以下)が40.3%にもなるのに、このような状態では福祉はできない。 福祉を必要とする人は多いが、税金を払える人が少ないならば福祉は不可能だ。 福祉は金持ち増税だけではできず、公正な労働、良い働き口があってこそ可能だ。 すなわち、福祉社会のためにも労働の正義が至急必要だ。"
彼女は社会主義的制度での社会変革を夢見た社労盟で政策室長および中央委員として、ペク・テウン ハワイ大ロースクール教授、パク・ノヘ詩人などと共に活動した。 1992年に検挙され国家保安法違反容疑で6年間服役した後1997年に出所した。
-過去の社労盟活動に対してはどう思うか?
"1980年代と90年代初めは20代の若者たちが焼けるような憧れで民主主義を望み命を絶つほど厳酷だった時期だ。 だから今見れば行き過ぎと見えるほどに最大限に翼を広げてみた。 押さえ込まれるほど反発が強まり切実なほど夢が大きくなる。
ただし、個人的にはその名前が何になろうが私は現在のユートピアの夢を見ない。いや見れない。 私の器がそれだけ大きくないせいだが、月80万ウォンを受け取り清掃する労働者の給与を月120万ウォンに上げることがあたかも絶壁を跳び越えるほどに難しく感じられるためだ。 社労盟活動をした情熱と同じくらい、あるいはそれ以上を注がなければならず、今私にはこのことが重要だ。"
-監獄で遵法誓約書を書けという懐柔があったが受け入れなかったと聞いた。
"私が苦しがっていると見て聖公会の神父が当局に嘆願を何回もした。私がマタイ信仰人であるためだが、今もとても有難く考えている。 当局ではそれを口実に私に反省文や遵法誓約書を書けば早く釈放することを考慮してみるという話をした。 だが拒否した。 理念のためではない。 司法的判決を経てすでに獄中生活をしている人に、再び遵法誓約書を持ち出すのは人間として持つ最小限の尊厳性まで否定するように思えた。 私は大韓民国国民で人間でいたかっただけだ。 犬豚の取り扱いはすでに拷問を通じて十分に経験したが、再びモチを一つ投げてよこすようで受け入れなかった。"
-保守言論とセヌリ党などで選挙を控えて一部野党候補などに対して再びアカ論争を持ち出している。この問題はどう思うか?
"大韓民国は国土も小さく特別な資源もなく世界的にも珍しい分断国家だ。だからほとんど唯一の資源は多様な好みと色合いを持つ人々だ。 色が多様なことを尊重し社会発展の力にする未来指向的な思考が必要だ。 これ以上過去に縛られていれば発展はない。 そうした点でアカ論争は現在に生きながら未来を夢見る私たちには似合わない。 時代錯誤的だ。 政治をする人や世論主導層が成熟して欲しい。"
-収監生活の間にひどい目にあったというが健康は大丈夫なのか?
"健康体質なのに収監生活がゆるくなかったようだ。1992年に安全企画部でひどい拷問を受け、その後遺症で小腸と大腸を50センチメートル切除する手術を受け、結核が喉頭に広がりしばらくは話もできなかった。 死んでも出て行ってから死のうという思いで持ちこたえた。 幸い1997年出獄の後、健康を回復して、学校(ソウル大社会学科)に復帰した後、修士、博士学位まで受けた。 一言で言って幸運だ。 色々な人に心より感謝申し上げる。"
キム・ジョンチョル先任記者 phillkim@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/525834.html 訳J.S