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天安(チョナン)艦の逆説…陸軍戦力を抜き出して西海5島 要塞化

原文入力:2012/03/25 22:35(1974字)

‘国防戦略’どのように変わったか
国軍目標‘危機管理’から‘局地戦勝利’へ
‘挑発された見合いで報復→十分な報復’変化
全面戦争へ飛び火する可能性 いつにも増して拡大

2010年3月26日夜9時22分
海軍2艦隊司令部所属哨戒艦である天安(チョナン)艦がペクリョン島近隣海域で真っ二つになった。 46人の若者の命を奪い去ったこの事件を契機に韓国社会と韓半島情勢は大きな渦に陥った。原因糾明過程で南の葛藤が深刻化され、南北関係には新冷戦期が到来した。 この事件は韓国軍国防戦略の枠組みも完全に覆し、その新たな枠組みを巡る種々の問題点が指摘されている。

■戦争抑止から戦争勝利へ

自主国防ネットワーク シン・インギュン代表は「天安艦事態の後、軍事的な面での最も大きな変化として‘比例性の原則’に代えて‘充分性の原則’が採択された点」と語った。 敵が挑発した見合いで懲らしめることから充分と判断されるまで報復する側に変わったのだ。 実際、天安艦と延坪島(ヨンピョンド)事態を体験した後、軍内部には‘二度とやらせない。できるものならやってみろ’という情緒が広まっている。 キム・クァンジン国防長官も「敵が挑発する場合、挑発原点はもちろん支援勢力まで懲らしめろ」と何回も強調した。 韓国軍の目標が危機管理から局地戦勝利に変わった形だが、軍事専門紙<ディフェンス21+>キム・ジョンデ編集長はこれを‘トルーマン方式’と‘マッカーサー方式’と説明する。 韓国戦争当時、マッカーサー司令官は中国本土爆撃を主張して3次世界大戦も辞さないと主張した反面、トルーマン大統領は前線を膠着させてもより大きな戦争は防止しなければならないと判断した。 韓国軍の軍事戦略がトルーマン式からマッカーサー式へ変わったが、その結果、局地戦が全面戦争へ拡散する可能性がいつにも増して大きくなった。

■武器体系不均衡も深化

天安艦・延坪島事態の後‘西北5島要塞化’作業が推進された。 K-9自走砲と多連装ロケット九龍(クリョン)、対砲兵レーダーと音響標的探知装備など先端武器が大挙配置された。 西北諸島防衛司令部が創設され海兵隊兵力も増強された。 ところが当時補充された装備の相当数は既存陸軍が運用中のものなどなので、この過程で合同参謀本部と陸軍本部が深刻な葛藤を生じさせもした。‘下の石を抜いて上石を積む’展示式戦力増強がなされたのだ。 更に局地戦に備えた最先端武器補充などが優先視され、既存在来式戦力運用に必要な武器供給が遅れたり取り消しになった。

 優先視された戦力補強の内容を調べれば憂慮はより一層大きくなる。 天安艦・延坪島事態の後、大統領府特命事業で推進された稲妻事業が代表的だ。 稲妻事業は既存運用中の多連装砲などに衛星航法装置(GPS)と地上基盤航法システム(GBNS)等を装着して北の長射程砲を精密打撃する構想で、大統領府が直接所要を提起した。 現在、国防科学研究所主導で開発が進行中だが、かく乱が容易な商業用衛星航法装置の使用などで不良論難が起き監査院も問題点を指摘したほどだ。 大統領府が所要を提起したこの事業を巡り軍内部でも 「そのように簡単に長射程砲を無力化できるなら今までなぜしなかったのか」 という冷笑的な反応が出てきている。

■漂流する‘合同性強化’

政府は天安艦事件1ヶ月余後、大統領直属で国家安保総括点検会議(委員長 イ・サンウ)を発足させた。 ここで15ヶの改善課題を出し、7月には国防部傘下から大統領直属に転換された国防先進化推進委員会(委員長 イ・サンウ)がこれを譲り受けて検討し、70ヶ余りの課題に細分化し、その年12月6日李大統領に報告した。 その核心は積極的抑制戦略向上と合同性強化であった。 ‘挑発が確実視される場合、あらかじめ措置する’積極的抑制戦略の流れで北核基地爆撃のためのステルス機の必要性が強調されたし、その結果として次期戦闘機(F-X)事業がはずみをつけた。 また、合同性強化を前面に出して合同軍司令官傘下に陸・海・空軍総長を配置する軍指揮構造改革案が提示され、合同参謀議長を合同軍司令官とする方案が確定した。 だが、軍上部指揮構造改革案はまだ国会を通過できずにいる。 海・空軍と予備役などの反対が激しかったためだ。 結局 "報復" の声は強まったが、実際に報復を後押しする戦力効率化や軍システム整備は道がまだ遠いわけだ。

イ・スニョク記者 hyuk@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/525183.html 訳J.S