原文入力:2012/03/16 21:09(3846字)
‘海賊’表現 キム・ジユン氏 膨大な量の抗議手紙が来た
←‘海賊’発言の後、海軍戦友会がEメールを会員に配布して抗議を組織的に行うなど保守の標的になったが、キム・ジユンの表情は明るかった。 写真ホ・ジェヒョン記者
"99%のスピーカーになる"
両親は "怖気づくな" 応援
統合進歩党青年比例代表選挙に出馬して「済州(チェジュ)海賊基地に反対する」という認証写真をツイッターに上げて議論になったキム・ジユン(28)氏に去る14日ソウル、麻浦区(マポグ)、孔徳洞(コンドクトン)のハンギョレ新聞社で会った。
キム氏はがっしりした体格の男性同僚と一緒にきた。 彼は「身辺の危険に備えるために」と話した。「海賊基地」発言で保守勢力の袋叩きに遭った後キム氏にはばく大な量の抗議手紙が届いた。 自身を海兵隊531期だと明らかにした一人の男はキム氏に「遊説にくれば石を投げるから気を付ける」という脅しも加えた。
「以前、学校で教籍剥奪されて抗議籠城した時も同じような脅しをたくさん受けましたよ。 保守団体が統合進歩党舎に押し寄せて抗議示威もしているので万一に備えて男性同僚とともに動いています。」
海軍戦友会はキム氏の連絡先を会員らに配布して抗議を組織したと見られる。 ある転役海軍軍人は去る13日キム氏にEメールを送って「海軍戦友会が会員たちにあなたのEメール住所とツイッターIDを送っている。 私も受け取った」と知らせた。
実際、キム氏に海軍出身と見られる男たちからばく大な量の抗議メールが届いている。
それでもキム氏の表情は明るかった。インタビューを通してニコニコと笑っていた。 持って生まれた雄弁家ながらも、おもしろい冗談を投げかければ少女のようにきゃっきゃっと笑ったりもした。
"江汀マウルに行って5日後にソウルに上がってきたが、そちらの住民たちが私にたくさん応援してくれました。 かえって私が力をたくさんもらって上がってきました。」 キム氏は去る8日から12日まで済州江汀マウルで住民たちと共に過ごした。
キム氏は海軍参謀総長が海軍に対する名誉毀損の疑いで自身を告訴したことに対して 「表現の自由を萎縮させ海軍基地反対運動に対する弾圧」としながら「堂々と対応する」と話した。 彼女はまた「海賊基地という表現は江汀マウル住民が実際に使っている表現で、彼らの言語で彼らの受けた傷を世の中に知らせたくて‘海賊基地反対’という言葉を使った」と説明した。
"(海軍基地建設過程で警察と海軍が行った人権蹂躪内容を扱った) ‘ニュース打破’を見て驚いたが、江汀マウルに行って分かった人権蹂躪状況にはもっと驚きました。 住民たちも実際に海軍を海賊と呼ぶのには理由があるようだったんですよ。ところで住民たちが海軍をそう思っているということが殆ど知られていませんでした。 私は住民たちの心境に共感して‘海賊基地’という表現を使いました。 よほどでなければそのような表現を使うかと不憫に思う気持ちもあったし。 住民たちが使う言語で住民たちの受けた傷を世の中に知らせたかったのです。 そしたら告訴されました。 初めはちょっと慌てました。 でも、この告訴は海軍が表現の自由と海軍基地反対運動に対する弾圧をする意図だと考えるので‘怖気’づいたりはしませんよ。」
キム・ジユン氏と軽く論争してみた。「統合進歩党は海軍を海賊とは規定していない。 自然人キム・ジユンと統合進歩党青年比例代表予備候補としての表現は違わなければならないのではないか」と尋ねた。 キム氏は「政治家が使う言葉は住民たちの言葉と同じでなければならない」という所信を明らかにした。
「私の公約が‘99%の声、99%のスピーカーになる’でした。国会議員はいつも礼儀正しく格式をもって話さなければなりませんか。 弾圧されて苦痛を受けている人々の言葉をそのまま伝えるのが自分の役割だと思いました。 国会議員の目ではなく江汀マウル住民の目で見て、普通の人の言語で話すことが進歩政党の政治家がしなければならないことだと考えました。 もし私が政治家の言語で穏やかに江汀マウルの住民たちに話すならば、もっと乖離感が生まれると考えました。」
「それでもユ・シミン共同代表は‘不適切な表現’だと明らかにした」と再び尋ねた。「海軍は私が公人なので問題にしたと言いますが、私は公人の役割をもう一度考えるべきだと思います。進歩政治人は99%の人々の側で彼らの声とならなければなりません。 所信を守るにはどんな弾圧にも屈してはならないと思います。 ユ・シミン代表は以前に控訴理由書を書きながら所信を持って原則ある姿を見せて多くの若者にインスピレーションを与えました。そのような原則を政党政治人が失ってはいけません。」
キム・ジユン氏の“海賊基地”発言はユ代表だけでなく、進歩陣営のいろいろな所からも批判を多く受けた。「総選挙を控えて野党圏が逆攻勢に遭う口実を与えた」という批判が続いた。 これに対してどう思うか尋ねた。
“事実、選挙は勝利自体も重要だが内容も重要です。 済州海軍基地は進歩陣営が皆団結して反対しなければならない問題だと考えます。 こうしたことを契機により多くの方々が、海軍が済州で行っている蛮行に一緒に戦ったらと思います。 済州道民の心情をもっと共感するところから選挙運動を始めなければなりません。」
キム氏は自身の意を曲げなかった。 ただし、このような海賊基地関連論議は、討論する問題であって国家機関が告訴・告発で解決する問題ではないと明らかにした。 それと共に統合進歩党に表現の自由を侵害しようとする海軍に対抗して何らの防御の動きも見られないことは少し意外だったという心境を明らかにした。 代わりに民主社会のための弁護士会が共同弁護団を設けてキム氏の弁護を引き受けることにした。 国際的な碩学ノーム・チョムスキー教授は13日声明を出して「キム・ジユン魔女狩り反対、告訴撤回要求」声明を出した。
統合進歩党の有力青年比例代表候補として議論されたキム・ジユン氏は去る12日の最終投票で脱落した。 最終5人に圧縮された後、計2万人余りの選挙人団が参加して行った最後の投票でキム氏は2095票(10.6%)の得票に終わって4位に留まった。 (当選したキム・ジェヨン氏は9180票、2位チョ・ソンジュ氏は3341票、3位イ・ユンホ氏は3411票、5位ユ・スンジェ氏は1493票)言論はキム・ジェヨン候補の当選と共にキム・ジユン氏の脱落の便りも大きく伝えた。
キム氏は「海賊基地論議の影響もあったとは見るが、根本的には組織票対決で敗れたようだ」と分析した。
「比例代表最終的に選ばれればうれしいが、難しいだろうとは思っていました。 事実、私は党内に組織力がありません。 最終候補5人にもギリギリで滑り込んだんですよ。組織力の面でキム・ジェヨン当選者に大きく遅れをとりました。 2位から5位候補を全部合わせてやっとキム当選者の票と同じくらいです。キム当選者は2011年に韓国大学生連合執行委員長を引き受けて党内に支持勢力が多かったのです。 でも、海賊基論議もある程度は影響があったでしょう。こんなに遅れを取るとは思っていませんでした。」
キム氏は当選が目標ではなかったので比例代表挑戦に後悔はないと話した。
「99%は何を思っているか直接体験して多くのことを学びました。 江汀マウルであるおじいさんが私に‘国会に必ず入って済州海軍基地特検’をしてほしいといわれました。それと同時に軍がおじいさんにどんな嘘をついたのか詳細に教えてくれました。私がそちらに行かなければ分からない話だったんですよ。それで‘99%のスピーカーになるというのはこういうことだ’と感じました。 私がなぜ海軍基地反対運動に連帯しなければならないのかが分かりました。 多くを学んだということでしょう。 比例代表選挙のことは後悔していません。」
今後何をするかを尋ねた。 キム氏は青年比例代表に最終的に選ばれなかったけれど「今後も統合進歩党内で何かできることがあればします」と語った。
「ある報道機関が私の写真を広くばら撒かれたおかげで就職は難しいと思いますね。総選挙を控えて統合進歩党内で今後も私が何をすることができるか探して力になりたいと思います。 江汀マウルにもまた行って海軍基地反対運動を続けるつもりです。 選挙広報のために行ったわけじゃないですから。」
キム・ジユン氏の両親はキム氏に「私たちのジユン。怖気づくな」と携帯メールを送ってきた。 ある報道機関の1面の娘の姿が否定的に描かれた写真を見た時、キム氏の両親はとても当惑したが、済州海軍基地建設過程の問題点を知った後には全面的に娘を応援すると言った。 この話をしながらキム氏の目には涙が浮かんだ。
ホ・ジェヒョン記者 catalunia@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/523845.html 訳J.S