中国が9日、戦略鉱物であるレアアース(希土類)の輸出規制を大幅に強化した。レアアースは電気自動車(EV)やバッテリー、半導体など韓国の主力となる輸出製品の生産に欠かせない原材料であり、国内企業の被害も懸念される。韓国政府は国内企業のレアアース輸入に支障が生じないように中国に要請する一方、調達先の多角化と国内の自主生産基盤の構築にも拍車をかけなければならない。
中国商務省は今回の発表で、輸出規制の適用対象となるレアアース品目を拡大し、レアアースの加工技術まで輸出規制対象に加えた。米国がレアアースの自主生産に向けた投資拡大に乗り出したことを受け、関連技術の移転を防ぐためとみられる。また、外国企業に対して中国産のレアアースが0.1%以上含まれた製品にも輸出規制を適用する。さらに、外国の軍需企業は輸出対象から原則的に排除した。軍需用でなくても、14ナノメートル以下のシステム半導体や256層以上のメモリー半導体、そして軍事用途に使われる人工知能(AI)の研究・開発用のレアアースの輸出申請は個別審査することにした点も注目を集めている。このような措置は、米国が対中国半導体輸出規制を行いながら、米国製の技術が少しでも含まれた製品まで対象に入れたことをほぼそのまま取り入れたものだ。中国は世界のレアアース採掘の70%とレアアース加工能力の90%を占めている。
今回の措置は、今月末に予定されている米中首脳会談を控え、交渉で優位を占めるために圧力を高めようとしている側面が強い。現在、米中は米国の高率関税適用を2回猶予し、詰めの交渉を行っている。問題は、米中の板挟みになった韓国企業に被害が及ぶ恐れがあるという点だ。韓国はレアアースをほぼ全量輸入に依存しており、対中依存度が50%に達する。もし中国がレアアースの輸出を止めたら、韓国の主力産業も動揺しかねない。中国は2年前からレアアースの輸出規制を段階的に拡大してきたが、幸いにもこれまで韓国への輸出は正常に許可してきた。昨年7月には中国と「韓中輸出規制対話」のチャンネルを設け、これらの議論を続けている。政府は中国との対話チャンネルを維持しながら、国内企業が被害に遭わないように継続的に要請しなければならない。
米中覇権競争が激化し、各国は戦略鉱物の対外依存度を下げるのに尽力している。米国は、バイデン政権時代から米国内のレアアース生産企業に対する政府支援を拡大している。トランプ政権は関連企業の株式まで確保し、政府の介入を強化した。日本はすでに2010年に中国と尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領土紛争を経験してから、レアアースの対中国依存度を下げるために取り組んできた。米中覇権競争が今後数十年間続く可能性が高いだけに、韓国も調達先を中国以外の国々へと多角化し、国内の生産基盤を構築することにも積極的に取り組まなければならない。