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【社説】韓日出入国の簡素化、協力強化のためのきっかけにすべき

登録:2025-05-17 00:34 修正:2025-05-17 07:39
16日午前、釜山市東区の釜山市民会館展示室1、2階で開かれている「韓日国交正常化60年記念・韓日生け花交流展」で、観覧客が作品を鑑賞している/聯合ニュース

 韓日国交正常化60年を迎える6月から、両国政府が毎年1千万人を超える人的交流を促進するため、相手国の国民に対する出入国手続きを簡素化するモデル事業を実施することにした。両国間には依然として「歴史問題」などの少なからぬ難題が残っているが、第2次ドナルド・トランプ政権発足以来、米国が主導してきた自由主義的国際秩序が事実上解体される状況で、「価値を共有する最も近い隣人」である日本と安定的な友好関係を保つことは、韓国にとって非常に重要な外交課題になっている。来月3日に選出される新大統領は、「歴史を直視する」という韓国の基本原則をしっかり維持する一方、両国の協力を強化できる実用的でバランスの取れた対日外交を推進するため、最善を尽くさなければならない。

 日本経済新聞は16日付で、「日韓両政府が6月はじめから1カ月ほど、空港に両国民が入国するための専用レーンを実験的に設置する」とし、「日韓国交正常化60年の節目に合わせて導入する」と報じた。韓国外交部当局者も「専用入国審査レーンを新たに作る方向で韓日間で最後の交渉が行われており、今月中に発表できると思われる」とし、報道内容が事実であることを確認した。専用レーンが設けられるのは、利用客の多い金浦(ソウル)~羽田(東京)路線と金海(釜山)〜福岡路線だ。

 韓日間の人的交流は2018年に初めて1千万人を超えた後、コロナ禍などを経て落ち込んだが、2023年(約927万人)から再び増え、昨年は1204万人を記録した。この過程で、大きく悪化していた国民感情も目に見えて改善された。「韓国に対して親近感を感じる」という日本人は2019年に26.7%で底を打った後、昨年56.3%(日本内閣府調査)に増えており、「日本に対して良い印象を持っている」という韓国人も2020年の12.3%から昨年は41.7%(韓国東アジア研究院調査)へと大幅に増えた。

 両国関係は大きく改善されたが、「第三者弁済案」など、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の対日「屈辱外交」の残滓が完全に解消されたわけではない。日本も「子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてならない」という安倍談話(2015)の束縛からなかなか抜け出す気配を見せていない。このような敏感な問題を誤って扱った場合、トランプ政権の暴走に立ち向かい「自由貿易秩序」を守るために韓日がしっかりと連帯するどころか、対立だけが増幅されかねない。経済と暮らしの問題の解決という実利を追求しながらも、原則を失わないきめ細やかでバランスの取れた対日外交がいつにも増して求められる。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1197887.html韓国語原文入力:2025-05-16 18:42
訳H.J

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