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独裁者鑑別テスト…尹錫悦大統領の点数は?【コラム】

登録:2025-01-15 06:17 修正:2025-01-15 11:43
//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は12・3内乱事態を起こしたことで、自身の独裁者気質を満天下に明確に表わした。ところで、これまで潜伏していたその独裁者気質が昨年12月3日、突然正体を現したのだろうか。それ以前に感知できる兆候はなかったのだろうか。

 米国の政治学者スティーブン・レビツキーとダニエル・ジブラットは著書『民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道』で、潜在的な独裁者を鑑別できる4つの警告シグナルを提示する。両研究者はこの「リトマステスト」で一つでも引っ掛かるなら、国民は指導者を注意深く観察しなければならないと警告する。

 一つ目は「民主主義のルールに対する拒否」だ。細部基準は「軍事クーデターや暴動、集団抵抗など憲法を越えた方法を支持したことがあるか」などだ。尹大統領は何度も独裁政権を称賛したことがある。「全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領は政治はうまかった」(2021年10月19日)とし、「権威主義独裁政権は国民経済を確実に発展させ、韓国の産業化基盤を作った」(2021年12月29日)とも述べた。

 二つ目は「政治的ライバルに対する否定」だ。「政治的ライバルを(国家)転覆勢力や憲法秩序の破壊者だと非難したことがあるか」などが基準だ。尹大統領は野党、前政権、自身に対する批判勢力などを数回にわたり「反国家勢力」と呼び非難した。「敵対的反国家勢力とは協力できない」(2022年10月19日)、「共産全体主義勢力は常に民主主義活動家、人権活動家、進歩主義行動家を装い、虚偽の扇動と、人の道に背く卑しい工作を日常的に行ってきた」(2023年8月15日)などの発言が代表的な事例だ。

 三つ目は「暴力に対する助長や黙認」だ。「過去に起きた深刻な政治暴力行為を称賛したことがあるか」などを見れば分かる。ハン・ドンス前最高検察庁監察部長は、尹大統領が「もし陸軍士官学校に入っていたら、クーデターを起こしただろう、その時代に戻りたい」(2020年3月19日)と話したことがあると証言した。(2023年10月30日)

 四つ目は「マスコミおよび政治的ライバルの基本権を抑圧しようとする傾向」だ。尹錫悦政権は批判的なメディアに対して終始敵対的だった。代表的に「バイデン-台無しにすれば(ナルリミョン)」事件(2022年9月)が挙げられる。尹大統領が「国会でこの××が承認してくれなかったら、バイデンは恥をさらすことになるだろう」と述べたと、「MBC」(文化放送)が報道したことを受け、大統領室は同放送を海外歴訪専用機の搭乗から排除し、外交部は訂正報道訴訟を起こした。

 尹大統領は、4つの警告シグナルにすべて該当していたことが分かる。しかし、その兆候は十分にけん制されず、結局、非常戒厳と内乱という民主主義を蹂躙(じゅうりん)する事態につながってしまった。

アン・ソンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1177835.html韓国語原文入力:2025-01-14 18:38
訳H.J

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