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[寄稿]日本企業の韓国子会社の労働者、雇用に対する責任を問う

登録:2024-02-20 01:26 修正:2024-02-20 08:19
パク・チョンヘ|金属労組亀尾支部韓国オプティカルハイテック支会首席副支会長
ソ・ヒョンスク組織第2部長と筆者(右)が工場撤去を阻止するために高空籠城をおこなっている=筆者提供//ハンギョレ新聞社

 27歳だった2011年2月28日、私は友人の推薦で初めて工場で働くことになった。日本企業の日東電工の100%子会社で、LCDの中核となる部品である偏光板を作る韓国オプティカルハイテックという会社だった。亀尾(クミ)国家産業団地内の工場で防じん服、防じん靴にフードまでかぶり、真っ暗な暗幕で蛍光灯一つを頼りに薄いフィルムを検査し、不良品を見つけ出す検査員として懸命に働いた。

 朝8時から夜8時まで、昼食と休憩時間を除いて1日10時間働いた。1時間当たり900枚を検査できないと、休み時間をも割いて数量をこなさせなければならなかった。3組2交代で4日働いて2日休みを取らなければならないのに、忙しいからほぼ5日勤務して1日休む構造だった。腕や脚、肩、腰とすべてが痛み、有給休暇も思い通り使うことはできなかった。それでもきちんと出る月給をためる楽しさがあった。安定した人生を望んでいた私にとっては、大変ではあるがありがたいことだった。

 顧客のLGディスプレイの構造調整に伴い、我が社も苦しくなった。2019年と2020年の2回の希望退職で、500人あまりいた社員は57人に減った。そして57人は会社を生き延びさせるために2年間懸命に働いた。会社は黒字を出し、成果給まで懐に入った。2022年、会社は希望退職した社員まで呼び戻し、100人を超える社員を採用した。希望退職していた人の中には、勤めていた職場を辞めて戻ってきた人もいた。熟練した人たちだから会社は早々に安定した。力を合わせてわずか数カ月で成し遂げたものだった。

 ところが2022年10月、工場で火災が発生し、工場棟が全焼した。待ってほしいと言っていた会社は、1カ月後にショートメッセージで工場の清算を通知してきた。その1カ月の間に、日本の本社は別の100%国内子会社である韓国日東オプティカル(平沢(ピョンテク))での代替生産を準備し、その後、新規に30人の人材を採用してもいる。両社(事業所)は納品先が異なるだけで、同じ設備と原材料で同じ製品を生産する。

 たった1通のショートメッセージで清算を通知したり、希望退職を募ったりといった態度に、私はとても腹が立った。「火事が起きたから慰労金をやる、出て行け。こっちは今、お前たちに最大限の人情をかけてやってるんだ。受け取ってどこへなりと去れ」

 会社の消耗品のような待遇に、闘争が開始された。1年以上の闘争で多くのことを知った。韓国オプティカルハイテックは外国投資企業として2003年に亀尾国家産業団地に入居した際に、土地の50年間無償貸与、法人税や取得税の減免などのあらゆる恩恵を享受し、18年間で7兆7000億ウォンを売り上げた。原材料や商品の購入費などでそのうち6兆ウォン以上が本社へと流れ、それとは別にロイヤリティーと配当として2000億ウォンほどが本社に支払われた。そのような会社が、闘争している労働者が工場撤去を妨害していると言って賃貸住宅を仮差し押さえしたり、工場の電気や水の供給を断ったり、撤去すると言って毎日のようにやって来て脅したりしている。

 雇用に関しては扉を開いておき、対話で解決しようと複数回にわたって呼びかけたが、会社は一方的な清算通知からこれまで、あらゆる対話を拒否している。このような状況に対し、他にも責任を取るべき者はいないのだろうか。亀尾市は、労働者が高空籠城を開始するやいなや工場撤去を承認し、雇用労働部は交渉を通じて事態を解決させるどころか傍観的な態度ばかり示している。裁判所は2023年8月に会社が申し立てた仮差し押さえを十分な立証もなしに直ちに受け入れた。さらに工場撤去妨害禁止の仮処分申し立てを受け入れ、労組事務所の撤去も認めた。会社は火災保険金1300億ウォンもすべて持ち逃げしようとしているが、誰も彼らに責任を問わずにいる。

 労働者は権利もなく尊重される価値もないのだろうか。1月8日、私は支会のソ・ヒョンスク組織第2部長と共に、工場撤去を阻止するために屋上にのぼった。工場の再建、雇用の継承を勝ち取ろうと叫んだ。再建が難しければ平沢工場で雇用を引き継げ、というのが私たちの要求だ。全身で工場撤去を拒否し、雇用の継承が実現するその日まで、屋上からは下りないと私は誓った。政府は特恵を享受しておいて逃げ出す外国投資企業の食い逃げ問題に知らぬふりをしている。誰かが必ず外国投資企業の労働者雇用などの責任問題を問わなければならない。

 高空籠城の開始から1カ月が過ぎた。裁判所が予告した2月16日の強制執行を阻止するために、全国から1千人あまりの労働者が集まった。私たちの声は亀尾市を越えて全国へと広がった。強制執行は阻止したが、彼らはまたやって来るだろう。だが、私たちは平凡な労働者の生活に戻るために工場を守り、私たち自身も守るつもりだ。

//ハンギョレ新聞社

パク・チョンヘ|金属労組亀尾支部韓国オプティカルハイテック支会首席副支会長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1128837.html韓国語原文入力:2024-02-19 09:00
訳D.K

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