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5日午後、慶尚北道漆谷の多富洞戦跡記念館で開かれた故ペク・ソニョプ将軍の銅像の除幕式。パク・ミンシク報勲部長官、ペク・ソニョプ将軍の長女のペク・ナムヒさん、イ・チョル慶尚北道知事、イ・ジョンソプ国防部長官らが除幕している/聯合ニュース

　「朝鮮戦争で大韓民国を救った護国の星」、「百尺竿頭（韓国語では非常に困難で危機的な状況のこと）の危機から祖国を救った最高の戦争英雄」…。

　これらは、今月5日に慶尚北道漆谷郡（チルゴックン）の多富洞（タブドン）戦跡記念館で行われたペク・ソニョプ将軍像の除幕式で述べられた故人に対する賞賛だ。

　李明博（イ・ミョンバク）政権時代にも同じことを言っていた人たちがいた。当時、彼らは2010年の朝鮮戦争60年記念行事の一つとして、ペク・ソニョプ将軍の名誉元帥（5星将軍）への推戴を試みた。2009年3月には国防部もペク・ソニョプ名誉元帥の推戴を検討中だと明かした。

　当時、国防部の担当記者だった私は「日本の傀儡国である満州国の元将校のペク将軍を名誉元帥に推戴することは、国軍の建軍理念を傷つける」という記事を書いた。しかし国防部は内部文書で「一部メディアが否定的な意見を提起しているが、朝鮮戦争参戦勇士の代表として軍内外から尊敬されるペク・ソニョプ将軍の名誉元帥推戴を通じて参戦勇士の名誉を高めるとともに、国民の安保意識を鼓吹する観点から積極的に推進することが必要だ」として推し進めた。

　順調に進みそうだったペク・ソニョプ名誉元帥推戴は、意外な「暗礁」に乗り上げた。朝鮮戦争に参戦した軍の長老たちが反対したのだ。2010年4月の国会国防委で当時のキム・テヨン国防部長官は、名誉元帥推戴について「軍関係者のコンセンサス形成が不十分だ」とし「一部の（軍）長老たちがペク将軍の朝鮮戦争での功罪などを理由に反対している」と述べた。

　国防部は当初、「軍生活中に長老たちに生じたペク将軍に対する個人的な感情」として、反対意見を重視していなかった。だが、ベトナム戦争で駐ベトナム韓国軍司令官を務めたチェ・ミョンシン将軍のような、軍内で信望の厚い長老までもが反対に同調したことで、国防部ももはや「一部の個人的感情」として無視することはできなくなった。

　当時の軍の長老たちの反発は激しかった。ある人物はキム・テヨン長官を訪ねて「ペク・ソニョプ名誉元帥推戴をやめよ」と直言した。名誉元帥推戴は建軍理念を傷つけるとして憲法訴願を行うという人物も現れた。反対する軍の長老たちの数十通にも及ぶ自筆の手紙が「李明博の大統領府」に届いた。その中には「ペク将軍の卑劣な過去を暴露する」という手紙もあったという。

　ようやく国防部は、反対する予備役の将軍たちに直に会って意見を聞いた。反対理由は大きく2つだった。

　第1に、ペク将軍は1人で国を救ったのかという反論だった。「多富洞戦闘」はペク将軍が師団長だった陸軍第1師団が北朝鮮軍3個師団を撃破し、洛東江（ナクトンガン）防衛線を死守した象徴的な戦闘だといわれる。だが、多富洞戦闘は240キロにおよぶ洛東江防衛戦闘の全てではなく一部だった。多富洞戦闘には韓米8個師団が参加し、陸軍第1師団は8個師団の一つに過ぎなかった。ペク将軍の功績は誇張されたものだ。ある長老は「北朝鮮軍の南侵の際、開城（ケソン）と38度線を警戒する第1師団長だったペク・ソニョプ将軍はまともに応戦もできず、ほぼすべての装備を捨てて敗走し、ソウル早期陥落の原因を提供した」と述べ、「朝鮮戦争の英雄」という評に異議を唱えた。

　第2に、間島（カンド）特設隊で抗日運動を討伐したペク将軍の親日行為だった。日帝の手先が韓国軍初の名誉元帥となれば、抗日独立運動をルーツとする国軍の正統性が傷つき、まかり間違えば北朝鮮に6・25南侵を「日帝残滓（ざんし）掃討戦争」と正当化する口実を与えることになるという懸念だった。独立有功者団体である光復会にまで反対されたことで、国防部は「対立助長とペク将軍の名誉失墜の懸念」を理由に名誉元帥推戴計画を撤回した。

　尹錫悦（ユン・ソクヨル）政権は、この古い「ペク・ソニョプ論争」を再び持ち出している。パク・ミンシク国家報勲部長官は24日、国立顕忠院のウェブサイトからペク将軍の「親日記述」を削除し、「最大の国難である朝鮮戦争を克服した最高の英雄であるペク将軍の名誉を守る」と主張した。13年前にペク・ソニョプ名誉元帥推戴に反対した軍の長老たちは多くが故人となっているため、顔色をうかがうことなく虎の威を借る狐となるのか。「ペク・ソニョプ論争」のむなしい再論は、故人の名誉を傷つけるものなのか守るものなのかわからない。

//ハンギョレ新聞社

クォン・ヒョクチョル｜統一外交チーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )