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[社説]大きな課題を残した韓日首脳の韓国人被爆者慰霊碑の参拝

登録:2023-05-23 05:26 修正:2023-05-23 08:48
尹錫悦大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史、日本の岸田文雄首相と岸田祐子夫人が21日、広島平和記念公園内にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑に献花をしている/聯合ニュース

 日本が敗北した1945年、強制徴用されたり仕事を求め日本に滞在していた朝鮮人は240万人にのぼる。第二総軍司令部があり日本南部の兵たん基地だった広島にも14万人が住んでいた。その年の8月6日朝、米軍が広島に原子爆弾を投下した。1972年の韓国原爆被害者協会の集計によると、朝鮮人5万人が被爆し、うち約3万人が死亡した。1967年に韓国で発足した韓国原爆被害者協会は、日本政府に治療と被害の補償を要求し、1970年には民団広島本部の主導のもと、慰霊碑を建てた。碑石にはこのように刻まれている。「五千年の民族の歴史において、ここに眠る英霊が体験したことほど悲しくも痛ましいことはありませんでした。韓民族が国なき悲しみを骨の髄まで味わったのは太平洋戦争を通してであり、その頂点はまさに被爆の悲劇でした」

 日本の岸田文雄首相が21日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とともに慰霊碑を参拝した。両国首脳そろっての参拝は史上初のことだ。日本は慰霊碑を冷遇してきた。当初は広島平和記念公園内に建てることも拒否した。そのため外部に建てたものを、1999年に内部に移すことができた。日本の首相のなかでは、金大中(キム・デジュン)・小渕宣言(日韓パートナーシップ宣言)で有名な小渕恵三元首相が、1999年に慰霊碑の公園内への移転の話を聞き献花したのが唯一だ。韓国政府も慰霊碑を無視してきた。韓国大統領の参拝も初めてだ。岸田首相が7日の訪韓時に両国首脳の共同参拝を提案したという。たとえ献花と10秒間の黙祷で終わった短い行事だったとしても、今回の共同参拝は、韓国人被爆者の悲しみと痛みを慰め、在日同胞の心にも少しはぬくもりを感じさせたことだろう。

 毎年8月6日に広島で開かれる慰霊祭に、これまで日本の要人はほとんど参加しなかった。岸田首相の今回の決断は長く記憶されるだろう。だが、今回の参拝によって、韓日両国がシャトル外交を回復する過程で、日本の植民地支配に対する公式の謝罪もなしに「強制徴用賠償」を曖昧にしてしまったことまで覆すことはできない。大統領室は「広島原爆犠牲者のなかには、強制徴用による韓国人被害者も含まれている」とあえて意味づけした。だが、今回の参拝を迂回的な謝罪として受け入れるには無理がある。日本は、原爆投下を絶対悪として日本が被害にあったものとみなす。韓国人がともに受けた被害を慰めるといいながら、植民地支配がその原因になったことに対して明確な責任意識がないのであれば、真の謝罪とは言えない。岸田首相の発言は相変わらず禅問答のようだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1092664.html韓国語原文入力:2023-05-22 02:38
訳M.S

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