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「韓国の所得、日本抜く『歴史的事件』…英国抜いたアイルランドは祭りも」(2)

登録:2022-06-30 03:07 修正:2022-07-01 07:51
ソウル大学経済学科のイ・グン碩座教授(元国民経済諮問会議副議長)が23日午前、ソウル大学の研究室で本紙のインタビューに応じている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

(1の続き)

-韓国は2017年に1人当たりの国民所得が3万ドルを超えましたが、米国に比べればまだかなり低い。追撃はどの程度進んでいるのでしょうか。

 物価水準を考慮した購買力平価(PPP)を用いて1人当たりの国民所得を比較してみれば分かります。この基準によると、韓国は2018~19年ごろに米国の70%を超えました。英国、フランス、イタリアと似た水準です。韓国は西欧列強になったのです。ドイツは米国の90%で、韓国の先を行っています。日本については韓国が2020年ごろに追い越しました。韓国が72%ほどで、日本は最近70%以下に落ちました。歴史的な大事件です。植民地にされた国が植民地支配を行った国を超えた3つ目の例です。19世紀には米国が英国を、そして数年前にはアイルランドが英国を超えました。アイルランドは英国を超えたとして祭りもしています。日本もこのことに非常に気を使っています。

-しかし日本は、依然として源泉となる技術力や素部装産業の競争力が韓国よりはるかに高い。

 素部装産業はサイクルの長い産業なので追撃が難しく、追撃には長い時間がかかります。サイクルの短い産業は速い追撃が可能で、サイクルが長ければ長いほど追撃が遅れるという追撃の法則が当てはまっているのです。日本の強みは蓄積された知識、熟練、職人気質ですが、これはアナログ技術なのです。アナログ技術が支配し続けていたら、韓国は日本を越えられなかったはずです。デジタル革命というのは、ひとつのチップを入れれば同じ性能が出せるのです。日本の蓄積された熟練が急に必要なくなる瞬間が来たのです。デジタル革命がなかったら、サムスンはソニーを越えられなかったはずです。デジタル革命による破壊的革新が追撃と追い越しを加速したのです。日本は自らの強みであるアナログ技術に執着し、デジタルへの乗り換えが10年遅れました。韓国は先にデジタルに行ってしまったのです。このような機会を後発国が先取りして活用すれば、その時から追い越しが始まるのです。

-その時期が2000年代初めごろですね。

 データ技術が本格化したのは2000年代からだから、その時から韓国は日本を越えるための足場を確保し、1人当たりの所得は20年後に超えました。米国に出願した特許数で見ると、すでに1990年代末にはサムスンがソニーを上回っており、売上高や企業価値は2005~6年ごろに超えています。まず技術力で追い越し、次に市場での追撃が発生します。そして企業レベルの追撃がまず起こり、国家レベルでは後に起こります。

-韓国は今や中国に追い上げられる立場になりましたが、中国はどのくらい追い上げてきていますか。

 韓日間で起きたように、サイクルの短い携帯電話やディスプレイのようなものは、中国は韓国とほぼ対等になりました。自動車だとか素部装は時間がかかるでしょう。ですが自動車は、中国はガソリンエンジン車をすっ飛ばして電気自動車で追い越しつつあります。ガソリン車はどうせ負けているのだから諦めて、電気自動車へと飛躍してしまったのです。これも後発者の重要な戦略です。電気自動車が出現していなければ、中国はずっとガソリン車で追いかけてくるしかなかったでしょう。また中国のアリババ、テンセント、バイドゥのようなデジタルプラットフォーム企業が韓国を追い越しつつあります。伝統製造業では韓国をまだ追撃している一方、新興のデジタル産業では韓国を追い越して米国とやり合っている状況というわけです。

-中国が経済力で米国をいつ追い越すかは世界的に見ても大きな関心事です。どのように展望されますか。

 1人当たりの国民所得と経済規模の2つの指標で見ることができます。1人当たりの所得(PPPによる)は、中国は米国の30%に達しています。この指標が40%になると高所得国、先進国だそうです。韓国は1990年代半ばに40%に達し、経済協力開発機構(OECD)に加盟しました。中国は、私の試算では、これまでの発展のすう勢を単純に延長すれば、2030年代半ばに40%台に達すると見られます。経済規模(名目GDPによる)は、過去5年のすう勢を延長すれば、2030年代半ばごろに米国と同水準になります。ですが、中国が急速に追い越すというよりは、米国と経済規模が似たような状態で20~30年は行くと思います。そして2050年ごろには再び米国の経済規模が中国より大きくなると思います。なぜなら、中国は高齢化が激しい一方、米国は移民の流入で人口構成が相対的に若いからです。私は、世界経済は今後かなりの期間にわたってG2時代となると思います。ですが、このように両国が対立を続ければ、それは世界経済にとって災いです。今すでに世界経済が不況、恐慌のようになっているのは、まさに米中が対立を続けているから、そこからあらゆる問題が起きているのだと思います。韓国のような通商で生きる国にとっては、とてもよろしくない環境です。(3に続く)

パク・ヒョン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1048887.html韓国語原文入力:2022-06-29 05:00
訳D.K

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