2020年初めから全世界に広がった新型コロナウイルスは韓国経済と社会のあちこちに深い傷を残し、今なお拡散し続けている。経済を再び安定的な成長軌道に乗せることも重要だが、新型コロナの大流行で大きな打撃を受けた人々と、それがむしろ機会になった人々との格差も、解決すべき重要課題であることは言うまでもない。3月9日の大統領選挙で当選すれば、今後5年間の国政運営の責任を負うことになる与野党の候補たちに、この問題の具体的な解決策を聞きたい。
国民の力のチュ・ギョンホ議員が国税庁から入手し、15日に発表した統合所得(税引き前所得)1000分位資料によると、2020年上位1%所得者の1人あたり年平均所得は4億3099万ウォン(約4160万円)で、コロナ禍以前の2019年と比べて2511万ウォン(6%)増えた。また、上位10%所得者の年平均所得は1億3673万ウォン(約1320万円)で、447万ウォン(3%)増えた。一方、下位10%所得者の1人あたりの年平均所得は、207万ウォン(約20万円)から196万ウォン(約18万9千円)へと10万8千ウォン(-5%)減少した。下位10%階層の平均所得は、2016年の178万ウォン(約約17万2千円)から2017年の186万ウォン(約18万円)、2018年の200万ウォン(約19万3千円)、2019年の207万ウォンに増え続けてきたが、2020年には減少したということだ。新型コロナによる衝撃以外、説明がつかない。
昨年は韓国経済が4%成長し、国内総生産規模はコロナ禍以前の水準を上回った。しかし回復過程でいわゆる「K字型回復」がより明確になった。富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる現象がより顕著になったのだ。デジタル技術の活用度によって産業間格差が現れ、雇用も製造業などで良い働き口が減り、社会福祉・サービス業種を中心に高齢者の短時間雇用が多く増えた。政府が一時的に支援した災害支援金などの公的移転所得がなければ、所得格差による二極化はさらに深刻になっただろう。そのような中、不動産と株式などの価格が急騰し、資産格差も大きく悪化した。
「コロナ二極化」は韓国だけでなく、全世界のほとんどの国が経験している問題だ。まず、対面サービス業種の自営業者など、被害を集中的に受けた人を救済しなければならない。また、コロナ禍以前より高いレベルのセーフティネットを拡充し、積極的な再分配政策を実施しなければならない。これは社会的に不安心理が広がり、葛藤が増幅することを防ぐ道でもある。大統領選挙後、国民的合意に基づいた政策推進のためにも、与野党の候補にはこの問題に対する具体的な解決策を持って討論に臨んでほしい。