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[コラム]一般人の保有資産額が平均よりはるかに少ない理由

登録:2021-07-29 06:45 修正:2021-07-29 07:39
//ハンギョレ新聞社

 2013年3月末、公職者倫理委員会が国会議員の財産現況を公開した。国会議員296人の財産は平均で94億9000万ウォン(約9億700万円)にもなった。全員がそのような億万長者だったのではない。セヌリ党のチョン・モンジュン議員(1兆9249億ウォン、約1840億円)とコ・ヒソン議員(1984億ウォン、約190億円)の財産が平均値を大幅に引き上げた。2人を除いた294人の財産を計算すると、平均値は4分の1にもならない23億3000万ウォン(2億2300万円)だ。「平均の罠」だ。

 22日、韓国銀行と統計庁が発表した「2020年国民貸借対照表」によると、昨年末の韓国の1世帯あたりの純資産は平均で5億1000万ウォン(約4870万円)だと集計された。家計と非営利団体の全体の純資産(1京423兆ウォン、約996兆円)を推計世帯数(2035万)で割った金額だ。住宅価格の上昇にともない、前年より11.9%増加した。「購買力平価為替レート」で換算すると59万4000ドルで、50万ドルである日本より多い。非営利団体が含まれているため、家計の平均より少し多くなっているとしても、1人世帯まで含め計算した1世帯あたりの純資産が5億ウォンを越えるということは、全員がそのような金持ちなのだろうか。

 階層別に資産現況を分けてよくみると、ここにも平均の罠があることをわかる。統計庁が金融監督院および韓国銀行と共同で全国2万の標本世帯を対象に調査する「家計金融福祉調査」という階層別の純資産分布をみてみる。2020年3月末時点での1世帯あたりの純資産は3億6287万ウォン(約3470万円)だった。大きさ順に一列に並べた場合、中央に来る人(中央値)の純資産は2億218万ウォン(約1930万円)にとどまった。平均値と中央値の差が大きいのは、少数の金持ちが平均値を引き上げるからだ。

1世帯当たりの純資産保有額の区間別世帯分布。1行目は純資産額(単位は億ウォン)、2行目は2019年と2020年の世帯分布割合(単位は%)、3行目は両年の差(単位はポイント)=統計庁2020年家計金融福祉調査//ハンギョレ新聞社

 全世帯の3分の1(32.2%)は、純資産の保有額が1億ウォン(約956万円)未満だ。半数近く(49.6%)は純資産が2億ウォン(約1910万円)に達しなかった。3億ウォン(約2870万円)未満を合わせれば62.3%になる。一般人の財産はこの程度だ。純資産が10億ウォン(約9560万円)以上になる世帯は7.2%に過ぎなかった。

 上位10%(8億3372万ウォン(約7970万円)以上)の純資産の占有率は、2018年の42.3%から2019年の43.3%、2020年の43.7%と毎年大きくなっている。家計資産の増加は「居住住宅」の価格上昇が先導している。ソウルのマンションの中央値が9億ウォン(約8600万円)を超えるほどなので、財産が全世帯のなかの中間くらいにいる人でさえ「雷乞食(『成金』の反対語で、急激に貧しくなった人のこと)」だと自嘲している。

チョン・ナムグ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1005363.html韓国語原文入力:2021-07-28 02:06
訳M.S

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