新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散で、東京と大阪を含む全国の7つの広域地方自治体を対象に日本政府が初めて緊急事態を宣言してから、東京にはしばらく活気がなかった。「政府の自粛要請で店を閉める」という案内文を張り、シャッターを下ろした飲食店が立ち並んでいた。主な営業時間が夜の居酒屋は、以前はやっていなかった弁当を昼食時間に販売する程度で、夜は閉店した。
先月16日に日本政府が緊急事態宣言を全国に拡大してから、雰囲気はさらに沈んだ。COVID-19感染の疑いのある人も病院で診療を受けられない事態が続出した。感染が疑われる患者が必要な時に病院に入院できず、死亡する例まで出た。最近亡くなった28歳の力士が、感染の疑いがあるにもかかわらず入院する病院を見つけられず、4日間宿所に留まらなければならなかったのも、先月初めのことだった。松井一郎大阪市長は先月14日の記者会見で、「(防護服が不足し)ゴミ袋をかぶって医療現場の人たちが治療をしている状況」とし、「使用していないレインコートがある人、レインコートの在庫がある人、ぜひご連絡ください。しっかり購入もさせていただきます」とまで述べた。
ところが、最近は東京でも夜9時以降も営業する居酒屋が少しずつ増えている。東京都は居酒屋での酒の販売は夜7時まで、そして営業自体は夜8時までにしてほしいと要請したが、強制ではない。一時は店頭から消えていたマスクも再び目につきはじめた。先月は、もともとはマスクとあまり関係がなかった喫茶店のような所でもマスク販売を開始していたが、最近は薬局での販売も増えている。日本は日常の回復に向けて一歩ずつ進んでいる。日本の各自治体が発表するCOVID-19の1日当たりの新たな感染者数は、先月11日には720人にまで跳ね上がっていたが、20日には39人にまで減っている。14日には全国47都道府県のうち39県で緊急事態宣言が解除され、21日には関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)が解除された。東京を含む首都圏と北海道だけが緊急事態宣言が維持されている。
安倍晋三首相は、日本政府のCOVID-19対応が素晴らしかったという趣旨の発言も行っている。今月14日、39県の緊急事態宣言を解除した際、安倍首相は「我が国の人口当たりの感染者数や死亡者数は、G7(主要7カ国)、主要先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込むことができている。これは数字上明らかな客観的事実です」と述べた。
いわゆる社会的な「自粛」への協調要請に日本の市民が社会的、経済的犠牲を甘受して協力したことは事実であり、そのため感染がある程度抑制されたことも事実である。安倍政権がこのような成果を強調したい気持ちは分かるが、他と比較して大きな成果をあげたと強調するかのような姿勢には多少違和感を感じる。日本の対応が世界的に注目を集めているといった日本のメディアの報道も目立つ。このような自画自賛は、日本だけでなく世界のあちこちで見られる。苦痛に耐え抜いた国民にある程度自信を与えることは必要かもしれないが、すべての国を一律に並べて比較することは、そもそも不可能に思える。
COVID-19の世界的な大流行はまだ終わっていない。COVID-19への対応は、誰かが勝って誰かが負けるゲームではなく、すべての国が同一の環境にあるわけでもないと思う。COVID-19関連で会った日本の専門家たちは、被害を最小限に抑えるためには、世界的な協力と情報交換が必要だと述べた。まったくその通りだ。
チョ・ギウォン|東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )