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[社説]「誓い」を裏付ける「刷新策」が見えないイ・ジェヨンの謝罪

登録:2020-05-07 05:57 修正:2020-05-07 14:59
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が5月6日午後、ソウル瑞草区のサムスン電子社屋で国民に向け謝罪をしている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が6日、経営権継承と無労組経営について国民に謝罪し、今後は法を守ると約束した。しかし、謝罪の真正さを裏付けることができる具体的な措置はなく、抽象的かつ宣言的な誓いに留まる限界を示した。サムスンが経営権継承と無労組経営による長い「黒歴史」を断絶できる最後の機会という覚悟で、より強力な刷新の意志を示さなければならないとの国民の期待を満たすには不十分に見える。

サムソン電子のイ・ジェヨン副会長の贈賄裁判進行状況//ハンギョレ新聞社

 イ副会長は記者会見で経営権継承に関連して「私とサムスンをめぐり提起された多くの議論は、根本的にこの問題から始まった」とし、「これ以上議論が生じないようにする」と明らかにした。また無労組経営について「サムスンの労使文化が時代の変化に対応できなかった」とし、「これ以上、サムスンから無労組経営という言葉が出ないようにする」と述べた。メディアや市民社会とのコミュニケーションと遵法監視に対する誓いも明らかにした。

 サムスンは過去3年半の間、経営権継承および無労組経営に関連して、各種捜査と裁判を受けてきた。サムスン物産・第一毛織の不正合併疑惑、国政壟断勢力に対する贈賄、サムスンバイオロジクス会計詐欺疑惑、労働組合破壊事件が相次ぎ、グローバル企業という地位の面目を失った。そのような点でグループのトップが直接国民の前で謝罪したのは、それなりに意味があると言える。

 しかし、イ副会長の発表からは、具体的な責任認定、再発防止対策、被害者救済のような謝罪の真正さを示すのに必要な最小限の措置が見いだせない。「法を破ることは決してしない」という水準の宣言的かつ抽象的な誓いが繰り返された。「私の子供たちには会社の経営権を譲らないつもり」との約束は一歩前進したと見ることができるが、10~20年後のことなので、今すぐ実感するには限界がある。参与連帯などは一斉に「口だけの謝罪」と指摘した。

 経営権継承の場合、裁判や捜査が進行中なので控え目な側面もあったはずだ。しかし、強引な合併で数兆ウォンの利益を得たイ副会長が、悔しい思いをさせられたサムスン物産の一般株主や国民年金の被害救済を無視したことは名分がない。サムスンが過去の過ちを骨身に染みるほど反省し、完全に生まれ変わる機会を下さいと訴えるのを期待した国民が見るには物足りなさが残らざるを得ない。サムスン遵法監視委員会が謝罪を勧告して提示した「国民が納得できる水準」という条件を満たしたのかも疑問だ。

 サムスンは、2005年の安全企画部Xファイル事件、2008年の裏金疑惑事件など、大型不正が起こるたびにトップまたはナンバー2が「失望させて申し訳ない」と国民に謝罪して再発防止を約束した。しかし、時間が少し経てばうやむやになり、類似の事件が再発して指弾を受けた。イ副会長は今からでも謝罪の真正さを裏付ける具体的な刷新措置を出さなければならない。そうしなければ、破棄差戻し審で実刑を免れるための「抑止春香(望まないことをやむを得ず行う)式行為」に留まったとの批判は避けがたいだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/943890.html韓国語原文入力:2020-05-07 02:41
訳M.S

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