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[社説]「裁判介入」も無罪、「司法壟断断罪」立ち消えの危機

登録:2020-02-15 02:34 修正:2020-02-15 08:00
100以上の市民社会団体で構成された「ヤン・スンテ司法壟断対応時局会議」と国会議員パク・ジュミン、ユン・ソハ、キム・ジョンフンの各氏などが、昨年3月に国会で司法壟断加担裁判官弾劾訴追を求める記者会見を開いている=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 司法壟断事件で起訴された判事に14日、再び無罪が言い渡された。7つの法廷で14人の元・現職の判事に対する一審裁判が進められてきたが、3つの法廷で5人の無罪が出たことになる。今回は裁判にあからさまに介入した刑事首席部長判事に初めて無罪が言い渡された。裁判所は「憲法違反ではあるが、刑法上職権乱用罪ではない」としているが、このような有様ではヤン・スンテ最高裁による司法壟断行為に、果たして応分の断罪ができるのかさえ疑問だ。司法に対する国民の信頼が、再び危機に陥るのではないか心配だ。

 ソウル中央地裁刑事25部(ソン・イングォン裁判長)はこの日、日本の産経新聞のソウル支局特派員の名誉毀損事件などの判決に介入し、職権乱用の容疑で起訴されたソウル高裁部長判事のイム・ソングン被告に無罪を言い渡した。イム部長判事は2015年、ソウル中央地裁の刑事首席部長判事だった当時、上告裁判所の導入のために大統領府の協力が必要だった裁判所事務総局のイム・ジョンホン次長(当時)から大統領府の意を伝え聞き、産経新聞特派員裁判に介入して、判決文の要約を修正させた。

 裁判所は、イム部長判事による民弁の弁護士とプロ野球選手の事件の判決への介入も事実認定した。そして「裁判に介入し、裁判官の独立を侵害する違憲的行為」と規定した。しかし、「司法行政権者は裁判に関してはそもそも監督権限がなく、職権乱用罪は成立しない」と判断した。簡単に言えば、憲法違反だが刑法違反ではないということだ。この論理どおりなら、憲法違反で国会で弾劾することはできるが、刑事処罰は不可能だという意味だ。法理上はもっともらしいが、国民の法観念とはかなりかけ離れた結論と言わざるを得ない。特に、ヤン・スンテ前最高裁長官やイム・ジョンホン元裁判所事務総局次長の事件もこの事件と似た構造を持っていることから、ややもすると司法壟断に対する断罪そのものが立ち消えになってしまうのではないかと憂慮せざるを得ない。

 「司法壟断」は、司法行政権者が政治権力と癒着して裁判に介入し、判事を査察した前代未聞の憲法蹂躙事件だ。しかし、法的に誰も断罪できなければ、司法府の信頼回復の機会は永遠になくなるかもしれない。「誰が見ても明白に間違いを犯している事件が、刑事裁判の結果によって左右される状況自体が問題だ」として「傍観する最高裁」を批判したイ・タンヒ元判事の指摘を最高裁首脳部は肝に銘じてほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/928318.html韓国語原文入力:2020-02-14 18:09
訳D.K

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