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[社説]年末期限を控えた朝米、このまま時間を無駄にするのか

登録:2019-11-11 06:00 修正:2019-11-11 07:38
北朝鮮外務省のキム・ミョンギル巡回大使が2019年10月5日(現地時間)、ストックホルム郊外の北朝鮮大使館の前で、同日開かれた朝米実務協議が「決裂した」という声明を発表した。右端が当時代表団の一員だったクォン・ジョングン外務省巡回大使=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が朝米非核化交渉の期限として提示した年末が近づいている。しかし、両国の間にこれといった交渉の動きは見られない。7~9日にロシアのモスクワで開かれた「不拡散会議2019」に韓国を含め、北朝鮮と米国の政府代表が出席して注目を集めたが、朝米間の実質的な接触は実現しなかった。朝米が交渉のきっかけをつかめず、時間だけが過ぎていく残念な状況が続いている。

 膠着の長期化による苦しい立場を反映するかのように、北朝鮮はモスクワ会議で米国に圧力をかける発言を並べた。北朝鮮のチョ・チョルス外務省米国局長は、「機会の窓が毎日少しずつ閉まりつつある」と述べ、年末の時限を再び取り上げた。そして、「対話と交渉を通じて問題を解決するという立場には変わりないが、重要なのは実を結ばなければならないということだ」とし、「対話のための対話は意味がない」と述べた。米国側の誠意ある対応がない限り、交渉は進展しないという従来の方針に変わりがないことを明らかにしたのだ。

 北朝鮮は先月初め、スウェーデンのストックホルムで開かれた朝米実務者協議で決裂を宣言してから、キム・ゲグァン外務省顧問や金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長、クォン・ジョングン外務省巡回大使の名前で相次いで談話を発表し、米国の敵対視政策を非難すると共に、「新しい計算法」を繰り返し強調した。半月の間に3回も談話を出したことからも、北朝鮮の焦りがじみ出ている。しかし、米国はこれまで目立った反応を示していない。ワシントンの政界を巻き込んだ大統領弾劾問題で、ドナルド・トランプ大統領とマイク・ポンペオ国務長官が頭を悩ませているため、朝米交渉に集中できない様子が明らかだ。

 北朝鮮が期限と定めた年末までは約50日しか残っていない。北朝鮮としては、「年末の時限」が最高指導者の公言であるため、発言を翻すのも容易ではない。だからといって、ただ時間が過ぎるのを放っておくわけにはいかない。朝米が場外で神経戦ばかり繰り広げている場合ではない。両国いずれも、時間は自分の味方ではないという事実を認識しなければならない。このまま新年を迎えると、誰も望まないことが起きるかもしれない。

 韓国政府も韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)問題と韓米防衛費分担金交渉問題の解決に追われる状況だが、朝米交渉に手をこまねいていてはならない。非核化交渉が解決しない限り、南北関係の進展も望めない。朝米の膠着状況を打開するために、“促進者”として政府の創造的対応が切に求められる。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/916470.html韓国語原文入力:2019-11-11 02:10
訳H.J

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