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[寄稿]東アジアの未来は過去の歴史の結び目をほどくことから

登録:2019-07-19 08:48 修正:2019-07-19 12:21
日本の安倍晋三首相=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本の「輸出規制」で始まった韓日間の対立が連日紙面を飾っている。安倍政府が日本企業の高純度フッ化水素など3品目の韓国への輸出を規制して始まった貿易摩擦は、経済分野にだけ留まらず拡散されている。

 ハンギョレも材料・部品の対日依存度と日本のホワイト国(からの排除の可能性)などを報道し、部品の依存性の現実を報道した。また、日本の商品の不買運動と日本旅行の予約キャンセルのムードなどの現実も報じた。「輸出規制」をめぐるする韓日間の対立に対する日本と英米圏のメディア記事も報道し、外国でこの問題をどのように認識しているかも伝えた。相対的に、中国や台湾など東アジア諸国の反応は多く取り上げられなかった。

 今回の事態に対する理解はもっと歴史的なアプローチを必要とする。帝国主義と冷戦の遺産の中で行われている東アジアの変化と関連があるためだ。

 東アジアは帝国主義と冷戦の遺産が残っている唯一の地域だ。日本は「脱亜入欧」を掲げ、追撃の発展に成功した。西欧帝国主義をまねて領土拡張を図り、朝鮮を植民地にした。人類歴史上、最も残酷な戦争だった第2次大戦をひき起こし、朝鮮の若い男性と女性を死地に追いやった。

 戦争は日本の敗北で終わったが、日本の保守政治勢力は過去の歴史に対する反省の代わりに、過去の栄光を懐かしがっている。反省は自虐だと批判し、歴史歪曲を通じて帝国主義時代を賛美している。

 こうした日本は冷戦の産物だった。第2次世界大戦直後、当時のドイツ・イタリア・日本に対抗して共に戦った米国とソ連が互いに対立する冷戦体制が作られた。1947年にソ連駐在米国大使館の外交官だったジョージ・ケナンは、X(エックス)というペンネームで「フォーリン・アフェアーズ」に寄稿した文章で、民主主義を脅かすスターリンの膨張主義に対応してソ連を遮断する戦略の必要性を力説した。ハリー・トルーマンが彼の見解を受け入れ、ソ連、中国と協力して北東アジアの平和体制を構築するというルーズベルトの案を破棄し、ソ連と中国を包囲するトルーマン・ドクトリンを宣言した。

 冷戦体制の登場で、日本で連合軍司令部が試みた脱軍国主義民主化改革も中断された。連合軍司令部は戦犯処刑を最小化し、日本軍国主義勢力を復活させ、ソ連に対応する「逆コース」と呼ばれる政策を推進した。日本は戦犯国家ではなく、ソ連と中国の膨張を防ぐ米国のアジアのパートナーに変貌した。

 さらに、日本は1950年の朝鮮戦争で超好景気を享受した。米国が地理的に近い日本で戦争物資を調達したことで、朝鮮戦争の3年間で日本は米国から計25億ドルの収入を上げた。当時日本の首相の吉田茂は、朝鮮戦争を“天の恩恵”と言った。植民地で苦難を負った朝鮮半島は戦争で焦土化されたが、日本は超好景気の戦争特需を得た。

 冷戦体制で、米国は1965年の韓日協定を通じて韓日国交正常化を図り、共産圏に対抗するようにした。朴正煕(パク・チョンヒ)政権は大学生らの大規模な反対デモにもかかわらず、戒厳令を宣布して韓日基本条約を性急に調印した。日本の朝鮮侵略と奪略がちゃんと清算されていない状態から韓日関係が始まったのだ。

 20世紀末、東アジア経済は大きく変わった。1995年から日本が長期不況を置かれる間に、中国は2009年に日本を追い越し、G2国家として急浮上し、韓国も世界11位の経済大国に成長した。現在、国内総生産(GDP)規模は、中国、日本、韓国の順で8:3:1ほどに狭まった。日本の保守勢力には受け入れがたく、また恐ろしくもある現実だ。

シン・グァンヨン中央大学社会学科教授//ハンギョレ新聞社

 東アジアは電子製品の生産で国際分業体制が最も発達した地域だ。東アジアの企業らは、日本、韓国、シンガポール、中国、マレーシア、ベトナム、タイなど多数の国々の企業で生産された部品を利用して付加価値の高い完成品を作る。グローバル水準でも生産ネットワークが統合されている。政治的目的でこのようなネットワークを遮断することは、韓国だけでなく世界各国企業と消費者に損害を与える市場かく乱行為である。

 東アジアの未来は過去の歴史の結び目を解くことから始めなければならない。欧州とドイツの歴史が示すように、加害国の持続的な謝罪とともに、さまざまな国が共栄や共存の未来を一緒に模索するようになるとき、新しい東アジアを夢見ることができる。

シン・グァンヨン中央大学社会学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/902407.html韓国語原文入力:2019-07-18 19:09
訳M.C

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