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[社説]大韓航空前会長の死去と関連グループの将来

登録:2019-04-09 08:13 修正:2019-04-09 09:11
8日に死亡したチョ・ヤンホ韓進グループ会長の一家。長男のチョ・ウォンテ大韓航空社長、長女のチョ・ヒョナ前大韓航空副社長、次女のチョ・ヒョンミン前大韓航空専務//ハンギョレ新聞社

 韓進(ハンジン)グループのチョ・ヤンホ会長が8日、米国ロサンゼルスの病院で持病の肺疾患で死亡した。故人の冥福を祈る。

 同グループの創業者の故チョ・ジュンフン会長の長男である故人は、1999年に父親を継いで最高経営者にのぼりつめ、大韓航空を世界的な水準の航空会社に育てるのに寄与した。また、国際航空運送協会で中心的な役割を果たし、韓国内航空業界の利害を代弁した。故人は2009年に平昌(ピョンチャン)五輪の誘致委員会の委員長を引き受け、誘致を成功させるなど体育界発展にも格別な貢献をした。

しかし、故人の晩年は汚辱で汚された。2009年のグローバル金融危機で世界の海運業が長期沈滞に陥り、韓進海運が経営難に直面し、故人は2014年に会長職をひきうけて経営正常化に乗り出したが失敗した。業界で国内1位、世界7位だった同社は、2016年に裁判所の管理下に入り翌年清算された。

本当の危機は外部でなく内部から起きた。長女である大韓航空のチョ・ヒョナ前副社長が、2014年に「ナッツリターン」騒動で国民的非難を受けたのに続き、昨年には次女のチョ・ヒョンミン前大韓航空専務が「水かけパワハラ」騒動で社会的怒りを買った。この過程で夫人であるイルウ財団のイ・ミョンヒ前理事長が職員にパワハラ暴行を日常的に行っていた事実が暴露され、大韓航空を利用した密輸や外国人コンパニオン不法雇用疑惑も発覚した。故人も270億ウォン台の横領・背任疑惑で裁判ざたとなった。先月27日の大韓航空株主総会では、国民年金や外国年金基金、少数株主が「企業価値を傷つけて株主権を侵害した」として反対し、取締役再任が否決された。国内の財閥オーナーでは初めての事だった。

それなのに大韓航空は、関係者を通じて「チョ会長は肺疾患があり、米国で治療を受けている間、大韓航空の株主総会の結果による執行役員の剥奪に対する衝撃やストレスで病状が急激に悪化したと理解している」とマスコミに訴えた。外国で手術を受けなければならないほど病が重かったとすれば、当然取締役陣をはじめとする近親者は取締役再任の試みを止めるべきだった。今ごろになってこのような話をするのは、意図が疑わしい。

一部の政治家たちはいっそうひどい。自由韓国党のホン・ジュンピョ前代表はフェイスブックに「年金社会主義を追求した文在寅(ムン・ジェイン)政権の初めての被害者が今日永眠した」という文を載せ、同党のキム・スンヒ議員は「文政権は就任時から韓進グループ一家の道徳的問題を話題にし、行き過ぎた経営権介入を試みた。その結果、チョ会長を社内取締役から解任するに至った」とし、「チョ会長には大きなストレスであり、死に追い込んだ要因ではないかという思いがする」という文を載せた。とんでもない主張であり、故人を政争の具に利用しようとする破廉恥なことだ。取締役再任否決は故人が自ら招いたことであり、国民年金や外国年金基金、少数株主の反対は当然の決定だった。

故人の突然の他界で、後継者問題が関心事になっている。同社内外では故人の長男であるチョ・ウォンテ大韓航空社長が経営権を継承すると予想されている。韓進グループの危機が、資質や能力が低いのにオーナー一族という理由だけで経営を受け持ってきた家族経営体制から始まったという点からすれば、憂慮せざるをえない。今や韓進グループに必要なことは大々的な経営刷新だ。社内外から信望を受ける専門の経営者に責任を任せ、オーナーリスクを解消し、企業を正常化する時だと思われる。故人の遺族と役職員は賢明な判断を下すべきだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/889227.html 韓国語原文入力:2019/04/08 18:19
訳T.W

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