登録 : 2016.03.22 07:00 修正 : 2016.03.22 08:06

 「冗長な演説などを通しての合法的議事進行妨害」がフィリバスターについての辞書の説明だ。従って、先月23日から今月2日まで丸8日間、192時間の間、国会本会議で休まず行なわれた野党議員のテロ防止法反対討論はフィリバスターではない。野党議員は議事進行を「妨害」したのではなく、国会法(106条の2)による議事進行の一つである「時間制限を受けない討論(「無制限討論」)をしただけだ。

 フィリバスターに慣れたアメリカ議会では、議員が電話帳や聖書を読み上げながら発言時間を引き延ばしたりする。討論よりも議事進行妨害が強調された行動である。しかし今回韓国の国会で展開された議員の無制限討論はテロ防止法の表決遅延を越えて、この法に対する実質的な反対討論が進行されたという点で、アメリカ議会のフィリバスターとは根本的に異なる。

 野党議員の無制限討論は、国会と政治に対する一般の認識を搖るがした。これまで大半のマスコミの報道と論評が描いてきた国会と政治の姿は「反対ばかりする野党」「仕事をしない国会議員」「忌まわしい政治」だった。別にインターネットを検索して、政治家たちがどんな争点を巡ってどのように対立しているのかを自分でよく見るということをしない大多数の国民は、マスコミが描いて見せてくれる歪んだ政治の姿に慣れていくしかなかった。 テロ防止法案も、「朝中東」と呼ばれる三つの新聞と総合編成チャンネル(大手紙系ケーブルテレビ)、そして地上波放送を含めたマスコミの大部分がこの法案の問題点を報道しないため、人々は野党がどうしてこれを極力反対するのか分からなかった。 しかし国会放送、インターネット放送、SNSなどを通して議員の無制限討論に直接接した人々は、マスコミが説明してくれなかったテロ防止法の実体に気付き始めた。 マスコミが政治を伝達する過程で真実をどれほど歪曲しているかが露わになったわけだ。

 テロ防止法の実体を知った国民がこの法の危険性を自覚することにより、世論が搖れ始めた。去年11月27日、リアルメーターが全国の成人500人を対象に実施した調査では、テロ防止法賛成が64.5%で反対意見(22%)の3倍に近かった。しかし無制限討論を経て国会の議決まで終わった今月の2日~3日に韓国ギャロップが全国の成人1010人を対象に行なった調査では、51%がこの法に対して「一般人まで査察する恐れがあるので反対」し、39%が「テロ予防に必要なので賛成」と回答、反対が賛成を12%も超えた。

 大半のマスコミは野党議員の無制限討論が進行される間、これを「フィリバスター」と名付け、討論を通して明らかになったテロ防止法の問題点は報道しなかった。 これらのマスコミは討論の内容よりは「フィリバスター」の時間の最長記録を誰が破ったのかを巡って競馬中継をするように報道しながら、フィリバスターという方法が正しいか正しくないかの論争に熱をあげた。

ソン・ハンピョ元ハンギョレ論説主幹//ハンギョレ新聞社
 その間に彼らの「顧客」である読者と視聴者は既にインターネットやSNSなどを通して問題の実体に近付いていた。 もしマスコミが問題を先に立って提起し、これに対する活発な社会的討論を導いたなら、テロ防止法が今回のように修正なしで議決されるのも困難であったろうし、野党議員の無制限討論も必要なかったであろう。不道徳で怠惰なマスコミによって触発された野党議員の無制限討論は、政治がマスコミを越えて国民に直接近づく道を開いた。

ソン・ハンピョ元ハンギョレ論説主幹(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-07 19:57

http://www.hani.co.kr/arti/society/media/733763.html 訳A.K

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