本文に移動

[社説]旅客船惨事にそっくりな遠洋漁船沈没

登録:2014-12-04 07:02 修正:2014-12-04 07:19

 韓国人11人を含む60人の船員が乗った思潮産業所属の遠洋漁船501オリョン号が1日午後にロシア近隣ベーリング海で沈没し、3日現在亡くなった人と行方不明者が計53人に達している。捜索作業を続けているものの事故海域の波が高く水温も低いために極めて悲観的な状況という。このままでは韓国遠洋漁業史上最悪の事故になる見込みだ。不明者と死亡者の家族のもどかしさと悲みははかり知れない。

 正確な原因はまだ明らかになっていないが、情況的にはセウォル号の惨事を思い起させるさまざまな過ちが分かりつつある。韓国海洋水産部は、同船は気象悪化によって大量の海水が魚の倉庫に一気に入り込んで傾きを始めたと明かした。思潮産業も突然の気象悪化を恨んでいるらしい。しかし理由は他にもあるようだ。事故海域は当時高さ4メートル以上の波と秒速20メートル以上の風で操業自体が極めて危険だった。付近にいた4隻の韓国漁船はすでに漁港に向けて避難していたという。それなのに501オリョン号だけが操業をしていたのだから、不安定な状態で船が傾いた可能性がある。行方不明船員の家族は 本社から追加の漁獲割当がきたために悪天候の中で無理に操業を強行して事故がおきたと見ている。

 船舶の老朽化が何らかの原因だったかも知れない。501オリョン号は建造から36年たった船である。船体が古いために倉庫の排水施設が故障したり、船底に穴や亀裂ができて水が入り込んだりした可能性がある。このような欠陥は前もって点検さていたのか気になる。同船に限らず、韓国の会社の遠洋漁船の中で30年以上たった船は38.6%で、21年以上の船まで合わせると91%という。老朽船舶による事故を防ごうとするならば船の使用年数を制限したり船の使用年数にともなう点検を強化するなどの対策を検討する必要がある。

 セウォル号や501オリョン号のように外国から古い船を持ってきて無理な運航や操業を強行して利益をあげようとするやり方は根本的に改めるべきだ。

 船に異常が見つかってから沈没するまで、3、4時間かかったという。そのような“ゴールデンタイム”に適時退避命令が下されたり、マニュアルに従って脱出を準備していたりすれば被害を最小限にできたろう。救助は適時始められたのか、政府が救助の状況をきちんと把握していたのかも疑問である。このような点を始めとして、いかなる誤りがあったかを一つ一つ糾明すべきだ。これを契機に遠洋漁船の安全対策も総合的に点検しなければならない。同じような誤りをいつまでも繰り返すわけにはいかないではないか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014/12/03 18:30 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/667333.html 訳T.W(1186字)

関連記事