南北がさまざまな事案をめぐって対立している最中だが、関係改善のきっかけになる事業が進められている。南北の当局はこれらを糸口としてうまく生かし、新しい南北関係が成されることを期待したい。
金大中(キム・デジュン)元韓国大統領夫人の李姫鎬(イ・ヒホ)女史の北朝鮮訪問は、南北当局の対話の意思を占ういい機会だ。李女史は平壌に陸路で行って保育園と孤児院を訪問することが、21日の南北関係者の打ち合わせで合意された。実現すると、李女史は北の金正恩(キム・ジョンウン)国防委員会第1委員長に会う可能性も少なからずある。南北間の対話レベルを上げる自然な機会になりうるものだ。南北当局は李女史の北朝鮮訪問が成功裏に進められるように最大限協力すべきだろう。北朝鮮訪問の時期はまだ合意されていないが、政情をあまり意識する必要はない。早くて今年中、遅くとも来年初めを越さないほうがいいだろう。
長期の準備の末に実現される羅津(ナジン)・ハサン開発プロジェクトの試験運送事業は韓国、北朝鮮、ロシアの経済協力の開始という点から注目される。ロシアのシベリアで採掘された有煙炭4万500トン(400万ドル相当)が鉄路でウラジオストックとハサンを経て北朝鮮の羅津港24日に着き、中国籍の船に移されて29日夜に韓国・慶尚北道の浦項(ポハン)に到着する行程だ。このプロジェクトの主体は北朝鮮とロシアの合弁会社のナソン・コントゥランスで、政府は同社のロシアの株の半分程度を今後購入する計画を進めている。三か国全てにメリットがある新型の経済協力の枠組みといえよう。政府はこのプロジェクトの参加をめぐって「5・24措置」(2010年の韓国の哨戒艦沈没を巡る対北朝鮮制裁)の例外と語っていることからして5・24措置はすでに現実的でなくなっている。
現在南北関係は冷え込んだ状態から抜け出せずにいる。対北朝鮮のビラ散布問題などで高官級会談が失敗に終わって以降、北朝鮮の人権問題についても南北当局は神経戦を繰り広げている。延坪島(ヨンピョンド)の砲撃4周年(23日)の前にもそれぞれ大規模な軍事訓練を実施した。核問題を解決するための6か国協議再開も進展が見られない。早急に転機を見出さないと冷え込んだ朝鮮半島情勢は凍結しかねない状態だ。このような形は早期に改善されるべきであるゆえ、南北関係改善の努力が重要である。
北朝鮮は最近、ロシアとの関係強化に極めて積極的だ。金正恩体制下で北朝鮮と中国より北朝鮮とロシアの首脳会談の方が先に開かれるという見込みも出ている。しかし北朝鮮にとって持続的な支援国はロシアや中国ではなく韓国である。南北関係は他のものには替えられないことを北朝鮮は理解すべきだ。
韓国語原文入力:2014/11/23 18:29