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[社説] 納得できない旅客船沈没後7時間の大統領

登録:2014-08-15 18:51 修正:2014-08-16 06:30

  大統領府が朴槿恵(パク・クネ)大統領のセウォル号事故当日の行動の一部を公開したが、すでに分かっていることばかりで、新しく発表された内容はほとんどない。報告が上げられた具体的な時間の内訳を追加したにすぎない。大統領府の‘小出し公開’で、これまでの疑問は消え去らずに新たな疑惑が生まれてきただけだ。

 その形式からして問題だ。セウォル号国政調査特別委のセヌリ党幹事であるチョ・ウォンジン議員が、大統領府の答弁書だとして発表したが、苦しい説明という印象は拭いきれない。そのために、何かはっきりできない部分があるのではないかという疑問がわくのだ。真相究明のリード役となるべき与党の特別委幹事が、大統領府のスポークスマンを自任していることも、セヌリ党が‘大統領府の下請け政党’であることを認める形だ。

 朴大統領はその日合計21回の文書と有線電話で報告を受けたが、中央災害対策本部(中対本)を訪ねるまでの7時間には18回の報告を受けたという。しかし、大統領は面会して報告を受けることはなく、会議さえ招集しなかった。救助に最善を尽くせと儀礼的な指示を二度出しただけだ。‘追加で190人救助’の報道が誤報であることが確認された後にも何の指示も出さなかったのはいくら考えても理解し難い。

 大統領が報告を受けてどのような対応をとったかについて、大統領府は相変らず沈黙している。大統領が誰と会っていかなることを相談し、状況をどのように判断してどんな指示を与えたのかはいまだ霧の中だ。それぞれの報告をどこで受けたのか、はたして大統領が報告書を読んだかも知るすべはない。多数の報告が寄せられたのに、大統領の対応は無かったのだから、報告書が誤っていたか、大統領が職務を放棄していたかのどちらかになるではないか。

 朴大統領は中対本を訪ねて、「犠牲者はみな救命胴衣を着用しているのに、発見が難しいとはどういうことか」と、状況からかけ離れた質問を行った。基本的状況さえ把握できずにいたわけだから、報告書をまともに読んでいたのならありえない質問だった。

 ベールに包まれた‘疑問の7時間’は数百人の子供たちが救助を待ちながら亡くなっていった時だ。それほど貴重な‘ゴールデンタイム’に大統領は状況さえ把握できずに、どこで何をしていたのかと問うことはあまりに当然のことだ。遺族たちがきちんとしたセウォル号特別法を求めてハンストをするわけも、あの7時間に大統領と政府、国家はいったい何をしていたのかについて真相を明らかにしろということなのだ。7時間についてはすでに国会の熱い争点になっている。日本の『産経新聞』の報道で外交問題にもなったし、法廷攻防にも飛び火している。隠し続けるならば大統領府は大きな痛手を負うことになりかねない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/651189.html 韓国語原文入力:2014/08/14 18:38
訳T.W(1255字)

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