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【社説】法の論理から外れた“イ・ソッキ事件判決”

登録:2014-02-19 20:27 修正:2014-02-19 21:52

 裁判所がイ・ソッキ議員らに対する内乱陰謀等の事件で有罪判決と共に懲役12~4年の重刑を言い渡した。 “RO” が内乱陰謀の主体だという公訴事実をほとんど認めた。 RO 自体が、国家情報院と情報提供者の推測で作りあげた小説だと主張してきたイ議員と弁護人団側の主張は一つも受け入れられなかった。

 裁判部の有罪判決が、法理的な面でも、またこれまでの事件の展開過程に照らしてみても、どれほど説得力を持つことができるか疑問だ。国家情報院の大統領選介入事件の渦中に起こったこの事件を見守ってきた国民としては、公安当局と政権の局面回避用“スケープゴートづくり”に裁判所が付添役をしたのではないかという疑問も持って当然だ。

 内乱陰謀および扇動罪についての有罪判断は、まず法理的に無理な側面がある。裁判部はROが主体思想を受け入れた秘密地下革命組織であって、自由民主主義体制を転覆させようとする国憲紊乱の目的の下に内乱水準の謀議をしたという検察の主張を受け入れた。 マスコミに既に公開されたように、これらの会で録音された速記録に「油槽タンク爆破」や「鉄塔破壊」または「後方攪乱」など、荒唐無稽と思われるほどの表現が多数登場するのは事実である。また情報提供者イ某氏をはじめとする3人の対話の入っている別の録音記録には、思想学習を実施し、北の3代世襲を容認するような表現も登場する。

 しかし、だからといって、彼らに内乱陰謀や扇動罪を適用できるのかは別の問題だ。刑法87条には内乱罪について「国土の僭竊(せんせつ・侵奪)または国憲紊乱を目的として暴動する罪」と規定している。一地方の平穏を害するほどの“暴動”でなければならないだけでなく、一般的抽象的合意を超える具体的謀議もなければならない。判決文で「陰謀が計画の細部にまで至ってはいなかった」と明らかにしたように、彼らが果たしてどの程度の具体的な内乱計画を立てたのか、実際にそのような実行能力があったのかは疑問だ。 「おもちゃの銃」云々し、子供の泣き声まで聞こえる会合が内乱陰謀のための組織の集まりだというのが適当な判断かどうか、にわかには同意し難い。

 2010年に情報提供を受け、昨年7月までも国家保安法違反事件と規定して傍受令状を受けてきた国情院が、突然8月に内乱陰謀事件に変えたことは、この事件の政治的性格を垣間見せる。大統領選挙に介入した 国憲紊乱の犯罪行為に対する反発から時局宣言とろうそくデモが続き、国家情報院自体が危機に追い込まれたため、事件を過大包装して発表したのではないかということだ。録音記録を事前にマスコミに流し、世論裁判を試みたことから見ても、このような政治的意図は読み取れる。この事件より前の、南北首脳会談対話録を不法に公開したことも同じ脈絡だった。 政府が法務部を通じて統合進歩党に対する政党解散審判を憲法裁判所に請求するなど、この事件を前後して、政権レベルの“従北攻勢”が猛威を振るったというのはこの事件の政治性を物語っている。

 結局、このような政治的事件において、裁判所が厳格な法原則を守れずに、公安当局の世論作りに振り回されたのではないのか、残念だ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/624528.html 韓国語原文入力:2014/02/17 19:01
訳A.K(1425字)

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