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【おい、韓国社会! 】ストライキと給食

登録:2012-11-14 16:09 修正:2012-11-15 00:40
ユン・ジヨン <公益弁護士グループ 共感>所属弁護士

 家に帰ってきた娘が母親に不満を言う。 “デモで車が渋滞して大変だったのよ。”母親は娘にけんつくを食わせる。 “かわいそうな看護師達がストライキもできないと言うの? ここはアメリカじゃないのよ。” フランス映画 <ニューヨークから来た男、パリから来た女> の一場面だ。 ストライキをすれば不便なことは当然で、ストに対して不平を言うのは浅薄な資本主義国家アメリカでくらいなものだという意味だ。 ある講演でハ・ジョンガン先生が紹介したこの場面がふと思い浮かんだ。 学校非正規職労働者のストライキを見ながらだった。

 学校非正規職労働者が去る金曜日、一日ストライキを打った。 ストライキに参加した学校非正規職労働者は調理士、清掃員、行政補助員など全国3443の学校で計1万5897人に達する。 これに対する言論の報道は見なくても分かる。 “学校給食中断”“給食大乱、生徒たちパン・のりまき持って登校”、さらには“パンだけではお腹がすいて”というタイトルの記事も目に付く。 教育科学技術部も“子供たちの教育活動に支障を与えるストライキはいかなる場合にも正当化され得ない”として厳正に対応する方針だ。 世論も同様だ。 子供たちのご飯を道具にいたずらするなとか、能力がなくて非正規職になったのだから我慢して働くべきで、それ以上欲張るべきではないとか言う。 教科部、言論、そしてむやみに非難する人々にひとこと言いたい。

 学校非正規職労働者のストライキを不法に追い込む教科部の態度は稚拙なことこの上ない。 教師とは違い学校非正規職労働者はストライキができる。 また、彼らはストライキに先立ち調整と組合員賛否投票など必要なすべての手続きを踏んでいる。 にもかかわらず教科部は、子供たちの教育に支障を与えるストライキは正当化され得ないという極めて曖昧な話でストライキを糊塗している。 言論も同じだ。 学校非正規職労働者のストライキの理由を説明する代わりに、ストライキがもたらす不便さについてだけ露骨に報道する。

こうしたことは昨日今日のことではない。大衆交通のストライキに対しては‘交通大乱’、貨物労働者のストライキに対しては‘物流大乱’という表現を固有名詞のように使ってきた。 また、教科部と言論の小細工に乗せられる人々はどうなのか。 子供たちのご飯が大事なだけで、そのご飯を炊く労働者の大切さをこの機会に悟ることはできないのか。 ご飯を炊き、掃除をし、業務を補助する人々をぞんざいに扱う学校で、生徒たちは何を学ぶことができようか。 能力がなくて非正規職労働者になるのではない。 例えば学校非正規職調理士も技能職公務員である調理士、いわゆる正規職調理士のように、国家技術資格である調理士資格を取らなければならない。 公務員総定員制度が導入され、政府が正規職調理士を採らなかっただけだ。

 学校非正規職労働者がストライキをした主な理由には‘教育長直接雇用’と‘号俸制実施’がある。 元来、学校非正規職は教育長が選抜していた。 今でも学校非正規職の労働条件は教育長が決めている。 そのために今回のストライキに先立ち雇用労働部もやはり、団体交渉の主体は学校長ではなく教育長であることを明確にしている。 状況がこうである以上、労組法上の使用者と解釈される教育長に責任を問うのは当然のことではないか。 また‘号俸制実施’はどうなのか。 同じ業務を遂行する正規職労働者は‘号俸制’の適用を受けている。 それで勤務年数が増えるにつれて賃金も上がる。 しかし学校非正規職労働者はそうではない。 1年働いた料理補助員と10年働いた料理補助員の賃金にはほとんど差がない。

不便さを理由にストライキを非難してはいけない。 能力や努力が足りなくて非正規職労働者になるわけでもない。 非正規職を理由に差別することは法でも禁止されている。 他人に向かって放った矢はいつかは自分自身に帰ってくるという事を、肝に銘じなければならない。

ユン・ジヨン <公益弁護士グループ 共感>所属弁護士

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/560177.html 韓国語原文入力:등록 : 2012/11/12 19:23
訳A.K(1782字)

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