高市早苗首相の「台湾有事の際、自衛隊介入の可能性」発言に対抗し、中国が全方位から経済報復に乗り出し、日本政府の緊張感が高まっている。高市首相が「発言撤回」要求を拒否しており、事態が長期化すれば日本経済に相当な打撃を与えるとの観測も出ている。
日本政府のナンバー2である木原稔官房長官は20日、高市首相の発言に触発された中国の日本産水産物輸入中断に関連する質問に対し、「逐一について政府としてコメントすることは控える」、「予断は控える」、「両国が共有した認識を履行しなければならない」といった言葉で、正面からの答弁を避けた。中国政府が7日、高市首相の「台湾有事」発言を理由に経済的報復措置を本格化しているが、日本政府次元の特別な対応策は明らかにできずにいる。
中国側は高市首相の発言に責任を問う趣旨で、日本の弱点を厳しく狙う「戦狼外交」を展開している。最も代表的なのが日本政府が死活をかけて2年3カ月ぶりに辛うじて再開させた日本産水産物の輸入を再中断したことだ。
対中国輸出の道が閉ざされる前の2022年、日本の水産物の年間輸出規模は3878億円だった。このうち中国の割合が全体の20%(871億円)に達した。特に、日本が輸出水産物の象徴のように考えるホタテ貝は、中国への輸出額だけで489億円に達するほど規模が大きかった。今回、中日葛藤が拡散すると、中国が水産物輸入再開中断の初の「ターゲット」として狙ったのがホタテ貝だ。農漁村の支持基盤が強い執権自民党の立場で、中国の措置で政治的内傷まで憂慮しなければならない状況だ。
今回の事態の序盤、中国人訪日観光客・留学生遮断措置も日本だけが一方的に打撃を受ける措置だった。日本の毎日新聞は、これまでに中国が取った措置に対して「日本に打撃を与えながらも中国が受ける影響は最小に抑制するカードを周到に選んだ」と解説した。
日本政府の高位関係者は、中国側が明らかにした公式輸入中断理由が「福島汚染水モニタリング強化」という点を挙げ「あくまでも技術的問題で発生した事態を悪化させたくない」として熱心に状況を縮小しようとしている。しかし、中国外交部は高市首相の発言を特定し、「日本が誤った発言を撤回し、行動で正すべきだ」と本音を露わにしている。日本の立場でさらに大きな憂慮は、中国政府が経済圧迫を超える新たなカードを持ち出すこともありうるという点だ。
日本政府の緊張感は高まっている。日本政府のある関係者は「中国の態度は(尖閣諸島紛争があった)2012年の時より確実に強硬だ」とし「経済的打撃がさらに深刻なカードを取り出しかねない」と見通した。また別の日本政府関係者は「1、2カ月以内に解決される雰囲気ではなく、場合によっては1年を超えることもありうる」との雰囲気を伝えた。