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トランプ大統領の傲慢が引き金を引いた…「永遠の戦争」の亡霊を呼び起こすか

登録:2026-05-01 06:36 修正:2026-05-01 09:08
トランプの野望、帝国の本性 
絶え間ない弱小国への攻撃
先月6日(現地時間)、米ワシントンD.C.のホワイトハウスで開かれた米国・イスラエルとイラン戦争に関する会見で、ドナルド・トランプ米大統領が質問に答えながら射撃のポーズをとっている=ワシントンD.C./EPA・聯合ニュース
トランプの野望、帝国の本性//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領は、長引く中東戦争に疲労と挫折感を抱く国民に対し、もはや「永遠の戦争」はしないと約束して政権を握った。ところが、就任後1年3カ月の間に5回も外国を攻撃した。多くの人が昨年3月のイエメンのフーシ派反政府勢力、同年6月のイラン、今年1月のベネズエラ、そして現在進行中のイラン侵攻を思い浮かべるだろうが、昨年のクリスマスの夜に断行されたナイジェリアへの空爆は、記憶の彼方で薄れつつあるかもしれない。

 米軍は当時、ナイジェリア近海で数十発のミサイルを発射し、イスラム国(IS)と関連するテロ組織を攻撃したと発表した。キリスト教徒殺害に対する報復であり、トランプ大統領が1カ月前に警告していたというのが米国防総省の説明だった。トランプは昨年12月26日、メディアに対し「昨日こう言った。『クリスマスの当日に攻撃しろ、それがクリスマスプレゼントになるだろう』」と誇らしげに語った。しかし、空爆を受けた農村の住民たちは、収穫期の畑に突然落ちたミサイルに呆然とした。住民たちは現場を訪れたCNNに対し、「ここはキリスト教とイスラム教が平和に共存してきた地域なのに、なぜ攻撃したのか分からない」と訴えた。ニューヨーク・タイムズ紙は、匿名の米当局者2人の話として、トランプ大統領がキリスト教徒の死に対する報復を行ったと主張するための、一過性のイベントだと報じた。この空爆は、トランプ大統領が世界最強の軍事力をいかに場当たり的かつ軽率に用いているかを示す事例の一つに過ぎない。

■ナイジェリアからイランまで「場当たり的に」空爆

 2月28日から始まったイラン侵攻も同様だ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、17日前の同月11日、ホワイトハウスでトランプ大統領とそのごく少数の側近に対し、イランの最高指導者の殺害、イラン軍への壊滅的な打撃、民衆蜂起による政権交代が可能だという華麗なプレゼンテーションを行った。トランプ大統領が「良いかもしれない」と反応した瞬間から、「戦争の時計」が回り始めた。ホワイトハウスの参謀たちと情報機関はネタニヤフ首相の主張を検討した末、標的の殺害とイラン軍の破壊は達成できるが、民衆蜂起と政権交代は事実上不可能だという結論を下した。ところが、トランプ大統領は、耳障りの良い言葉しか聞く耳を持たなかったという。内部議論に参加した関係者への広範なインタビューに基づくニューヨーク・タイムズの報道によると、結局、トランプ大統領の「戦争内閣」で懐疑的だった人物たちでさえ、「戦争は短く決定的なものになる」という大統領の強い確信と彼の「直感」に従った。トランプが戦争初期にイラン国民に蜂起を促し、政権交代を公言したのも、こうした文脈によるものだ。

 ところが、戦争の目標が不明確で、事前の準備不足のうえ、明確な出口戦略さえ欠如した作戦であるという事実がすぐに明らかになった。イランは近隣のアラブ諸国のエネルギー施設まで攻撃し、激しく抵抗した。米国はイランの抗戦能力を過小評価し、4〜6週間以内に戦争を終わらせられるという慢心に陥っていた。政権交代が空想に過ぎないことが明白になると、戦争の目標が次々と変わった。当初から目標はイランの核・ミサイルおよび海軍戦力の無力化だったと主張し、「勝利」を宣言することさえあった。だが、イランがホルムズ海峡の封鎖で世界経済を人質にとると、ホワイトハウスは慌てふためき始めた。大規模な人的被害が避けられない地上軍の投入など、戦線の拡大はひとまず保留し、ホルムズ海峡の逆封鎖へと戦術を切り替えざるを得なかった。

 トランプ大統領が引き起こした一連の戦争は、米国が国際法を無視し、軍事力を過去よりもはるかに軽率かつ大胆に運用している現実を示している。米国にとって少しでも利益になりそうなものがあればいつでも他国を攻撃するのは、世界最強国だからこそなせる業だ。弱小国や中堅国であれば、国家や政権の存亡が危ぶまれ、容易に戦争を決断することはできないが、米国はたとえ戦争が失敗に終わっても耐えられる「耐久力」を備えている。世界最強の経済力と蓄積された富、潜在的な敵国から遠く離れた地理的位置のおかげだ。国内政治的な必要性に応じて戦争を手段として選ぶことも珍しくない。トランプ大統領は、どの大統領も成し遂げられなかったイランの政権交代という「大業」を通じて、支持率を引き上げようとしたのかもしれない。

 米テキサス大学オースティン校のロバート・カプラン教授は、「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿で、「米国は事実上、帝国として世界に存在しており、誤って始まった戦争は帝国主義の歴史に深く根ざした現象だ」と指摘する。カプラン教授は「帝国主義の核心は、国家の必須利益がかかっていなくても、潜在的な利益となり得る地域に介入することにある」とし、「『二度とこのような戦争はない』と宣言しながらも、周期的に中規模の戦争に巻き込まれる現実は、米国の現代的な帝国性を反映している」と強調する。

■「愚かな」戦争を選ぶ理由とは

 米国はベトナム戦争以降、アフガニスタンとイラクで長期にわたる戦争を行った。戦争開始の度に「短期間で終わる」と断言したが、ベトナム戦争とアフガニスタン戦争はそれぞれ20年、イラク戦争は8年も続いた。米国でこれらの戦争が「永遠(forever)の戦争」と呼ばれる理由だ。歴代大統領がこのように消耗的な戦争の泥沼に陥ったのには、様々な要因が働いた。彼らは誤った戦争であることが明らかになったにもかかわらず、米国の力を過信し、威信の失墜を恐れて早期終結に踏み切れなかった。戦争失敗の責任を認めようとせず、もう少し押し進めれば望みをかなえられるという幻想から抜け出せなかったからだ。これは現在進行中のイランとの戦争でも繰り返されている現象だ。

 米国の戦争史家バーバラ・タックマンは著書『愚行の世界史―トロイアからベトナムまで』で、歴代大統領が愚かな決定を下した理由を4つにまとめた。第一に「国家の安全保障が危うい」「重大な利益がかかっている」という虚構的な観念を人為的に作り出し、自らこれに囚われて過剰反応してしまうということだ。ベトナムが共産化されれば、ドミノ倒しのように連鎖的に広がり、米国までもが危うくなるという幻想もその一例だ。第二に、米国は全能であるという過信、第三に、融通の利かない独善、第四に、理性的な思考の代わりにレバレッジ操作にのみ執着する姿勢だ。

 イラン戦争の場合、これに加え、トランプ大統領個人の傲慢さと絶対権力への野心が働いた可能性が高い。トランプ大統領は自分だけが国を救えるという誇大妄想に陥っているだけでなく、さらには神の啓示を受けたという錯覚に陥っているかのような状況さえ見受けられる。キリストの姿を模した合成写真をソーシャルメディアに投稿し、教皇まで公然と無視する振る舞いがその一端だ。英国の歴史学者リチャード・オウヴァリー氏は、第2次トランプ政権発足直前の2024年に出版した著書『なぜ戦争するのか(原題:Why War?)』で、「傲慢による戦争は、強力な個人がコスト(代償)を顧みず、自身の地位と名声を高めるために仕掛けるものであり、歴史上めったにない」とし、代表的な人物としてナポレオン・ボナパルトとアドルフ・ヒトラーを挙げた。最近の事例としては、サダム・フセインとウラジーミル・プーチン大統領を挙げた。オウヴァリー氏は「野心的な指導者にとって、戦争を通じた権力追求がいかに魅力的であっても、あまりにも頻繁に自己破滅へと帰結してきた」と警告する。トランプ大統領もまた、この部類に属する可能性は少なくない。

■第二次世界大戦以来最大の軍備増強に拍車

 ベトナム戦争の失敗から導き出された教訓がいわゆる「パウエル・ドクトリン」だ。米国が戦争に踏み切るには、圧倒的な戦力、明確な出口戦略、重大な国益、明確な目標、幅広い国内外の支持など、8つの条件をすべて揃えなければならないという原則だ。これを最も忠実に適用した事例が、コリン・パウエル統合参謀本部議長が指揮した1990〜91年の湾岸戦争(第一次イラク戦争)だった。米国は圧倒的な戦力でイラク軍をクウェートから撃退し、7カ月後に撤退した。イラン侵攻は、圧倒的な戦力を除けば、ほぼすべての面でパウエル・ドクトリンに真っ向から反する。しかも、その圧倒的な戦力さえも、イランによるホルムズ海峡封鎖というテコに引っかかり、思うように使えない状況だ。トランプ大統領は「長期戦にはならない」と断言しているが、状況がそう展開するかは不透明だ。トランプ大統領が自身の誤りを認めない限り、戦争終結は難しいが、それはほぼ不可能に近い。「永遠の戦争」という亡霊が再び米国を支配するかもしれない。

 トランプ大統領は先月、来年度の国防予算として1兆5000億ドル(約234兆7200億円)を計上するよう議会に要請した。今年より40%以上増額された規模であり、第二次世界大戦期を除けば最大規模の軍備増強となる。具体的な内訳は公開されていないが、米本土のミサイル防衛網「ゴールデンドーム」や「黄金艦隊」など、トランプ大統領の公約が含まれるとみられる。一部の専門家は、パランティア、アンドゥリル、スペースXなどシリコンバレーの新興防衛企業に新たな仕事を与えようとする意図が反映されたとみている。いずれにせよ、トランプ大統領が自ら公言してきた通り、「夢の軍隊」を作り、軍事冒険主義を継続する意志を明確にしている。「戦争国家」に向けたトランプ大統領の疾走は、米国内では民主主義を蝕み、対外的には領土と資源の拡大を追求することで、世界秩序をさらに深い混乱へと突き落としている。

パク・ヒョン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1256378.html韓国語原文入力:2026-04-29 15:06
訳H.J

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