米国のトランプ政権は、ホルムズ海峡の開放を前提としたイランの「まず終戦、後に核交渉」提案の検討を開始したが、受け入れる可能性は高くなさそうだ。米国とイランは、中心争点となっている核プログラムとホルムズ海峡の管理をめぐって接点を見出せないまま、にらみ合いを続ける見通しだ。
トランプ大統領は27日(現地時間)午前、ホワイトハウスの国家安全保障参謀陣の会議でイランによる新たな提案を議論し、不満だとの考えを示した。CNN、ブルームバーグ通信などが伝えた。イランの提案は、ホルムズ海峡の開放を最優先にして終戦し、核問題は後日議論しようというのが骨子。会議後、ホワイトハウスのレビット報道官は、近々トランプ大統領が検討結果を発表するだろうと述べるにとどめつつも、「イランに対する大統領のレッドラインは明確だ」と語った。イランの核プログラム終了を交渉の最優先課題として掲げてきたトランプ政権の立場を再確認したものと解釈される。ルビオ国務長官もこの日のフォックスニュースのインタビューで、「いかなる協定であろうと、イランの核兵器開発を阻止しうる合意でなければならない」と強調した。
イラン側が提示した交渉案は、3段階からなるという。第1段階では米国とイスラエルが攻撃を停止し、再発防止を保証する。第2段階では米海軍による海上封鎖の解除とホルムズ海峡の管理権の問題を解決する。核問題は最終段階で議論する。一方トランプ大統領は、ホルムズ海峡の「逆封鎖」をてこにしてイランを経済的に締め付けることで核プログラムの全面放棄宣言を引き出すとの立場であるため、両国が合意点を見出すのは容易ではない。CNNは「米政府の関係者は、イランの核問題を解決せずにホルムズ海峡を開放すれば、米国の交渉力の軸を失う結果を招くとみている」と伝えた。
まず米国が海上封鎖と経済制裁を解除するか、イランが核プログラムの終了を宣言するかをめぐって、どちらも譲らず綱引きになっているかたちだ。両国とも、世界のエネルギーの主要輸送ルートであるホルムズ海峡の封鎖を交渉の人質にしている。
具体的には、ホルムズ海峡が開放された際の「管理権」をめぐっても意見が対立している。イランは米国の圧力を緩和するために「海峡開放」カードを切ったが、その代価として合法的な統制権を認めさせようという構想だ。イランのメディアやロイター通信などの報道を総合すると、イランは地理的にホルムズ海峡を共同管轄するオマーンを説得し、通過する船舶に通行料を課すなどの新たな管理体制の構築を進めている。ルビオ国務長官は「イランの許可を得て通行料を支払う方式になったら、それは真の海峡開放ではない」と批判した。
米国とイランによる終戦条件をかけた外交戦も激しい。イランのアラグチ外相は25日にオマーンを訪れてホルムズ海峡問題を議論したのに続き、27日にはロシアのプーチン大統領と会談し、イラン支持宣言を引き出した。一方、米国のウォルツ国連大使はこの日、米ニューヨークの国連本部で行われたホルムズ海峡に関する安全保障理事会(安保理)で、国際社会が「海洋自由連合」を結成し、イランの通行料徴取に共同で対処すべきだと訴えた。同氏は「世界の大半の国に米国よりも大きな経済的負担がかかっており、ホルムズ海峡においてイランの人質劇のような策略によって代償を支払っている」と述べ、同盟諸国にホルムズ海峡の開放に向けて共に取り組んでいくよう求めた。ベッセント財務長官はイランの航空便も制裁対象にすると述べて、イランに対して経済制裁をちらつかせて圧力を強めた。