23日(現地時間)、アラブ首長国連邦(UAE)で米国、ウクライナ、ロシアの3者協議が開かれた。ウクライナ戦争終結の核心である領土問題が議論されるとみられる。ロシアは協議前からウクライナの東部ドンバス(ドネツク・ルハンスク州)からのウクライナ軍撤退を要求しており、議論に進展があるかは不透明だ。
ロイターとAFPによると、ゼレンスキー大統領は22日、メッセンジャーによる記者団との対話で「ドンバス問題が(ウクライナ戦争終結の)核心だ。23日と24日に3国当事者がこの問題をどう考えるかを話し合う」と述べた。続けて「神の意思があれば(今回の協議が)終戦につながるだろう」としつつも「(期待とは)異なる展開もあり得る。これも一つの段階だ」と語った。
23日夜、UAEのアブダビで米国、ウクライナ、ロシアの代表団が集まり、ウクライナ戦争終結の条件を調整する。これまでウクライナとロシアの交渉団がトルコのイスタンブールなどで協議したことはあったが、米国を交えた3者対面は今回が初めて。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナの代表団としてルステム・ウメロフ国家安全保障・国防会議書記とキリーロ・ブダノフ前国防省情報総局長が参加すると述べた。米国の代表団としては、ドナルド・トランプ大統領の特使であるスティーブ・ウィトコフ氏とトランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏が参加。ロシアからの参加者はイゴーリ・コスチュコフ総参謀部情報総局(GRU)局長など全員が軍当局者。
これに先立ち、ゼレンスキー大統領は21日にスイスのダボスでトランプ大統領と会談し、終戦案を協議した。ウクライナが終戦のための重要条件として要求する「戦後安全保障」案がこの会談で合意された。ゼレンスキー大統領は会談後、記者団に「この戦争を終結させるための文書はほぼ完成した」と明らかにした。トランプ大統領も会談後に「(対話は)順調に進んだ」とし、「戦争を終わらせなければならない」と述べた。
米国とウクライナとの首脳会談後、ウィトコフ特使とクシュナー氏はロシアのモスクワに移動し、ウラジーミル・プーチン大統領と約3時間30分にわたり協議した。ウィトコフ特使がプーチン大統領と協議するのは今回で7回目となる。米国がウクライナとロシアの両国を行き来しながら終戦条件を調整しているかたちだ。
しかし、この3者協議で双方が意見の隔たりを埋められるかは未知数だ。ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は協議の前に「ウクライナ軍はドンバスから撤退しなければならないというのがロシアの立場」だとし「彼らはそこから退くべきだ」と主張した。続いて「これは非常に重要な条件だ」と強調した。ウクライナは防衛しているドンバス地域から軍を撤退させ、領有権を放棄せよという要求だ。
一方、ウクライナはこれを事実上の「降伏要求」とみなし、受け入れない姿勢を示していた。ウクライナはドネツク州の要塞化された大都市であるクラマトルスクやスラビャンスクなどを含め、この地域の領土の5分の1ほどを守っている。この先は要塞地帯が少ない平野で、ロシアが再び侵攻すればウクライナは防ぐのが難しい。
ウクライナは、現在の戦線を基準に国境線を引くことを主張している。この協議でもロシアが同じ主張を繰り返した場合、双方は従来の立場の違いを確認することで終わる可能性が高い。ロイター通信は「ゼレンスキー大統領は、ロシアが(2022年の戦争勃発以降)4年にわたる消耗的な戦争を経ても占領できなかった領土を放棄できないという立場を堅持してきた」と報じた。