中国軍が日本の自衛隊の戦闘機にレーダーを照射したという問題と関連し、中日両国は互いに責任があると非難している。中国軍は沖縄付近の海域で2日間、艦載機の発進訓練を約100回も行うなど、台湾有事の際の自衛隊介入の可能性を示唆した高市早苗首相の発言後に高まった両国の対立が軍事部門にまで広がっている。
日本の木原稔官房長官は8日午前の定例会見で、「今回の事件は極めて遺憾であり、中国側には強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れた」と述べた。
中国外務省は前日の7日夜の報道官声明で「日本の戦闘機が中国の正常な軍事活動に頻繁に接近し、偵察し妨害した」とし、「日本がいわゆる『レーダー照射』問題を誇張し、事実を歪曲するとともに、責任を転嫁して緊張を高め、国際社会を誤導することには全く別の意図がある」と主張した。
これに先立ち、小泉進次郎防衛相は週末の7日午前2時4分頃、緊急記者会見を開き、6日午後4時32分~4時35分の間、そして夕方6時37分~7時8分の間に、それぞれ沖縄本島南東部の公海上で中国空母「遼寧」から発進したJ-15戦闘機が航空自衛隊F15戦闘機にレーダーを照射したと発表した。
朝日新聞は、名前を明らかにしていない防衛省幹部の話として、中国が「火器管制」(射撃統制)用レーダーを使った可能性が高いと述べたと報じた。レーダーは特定の物体を確認するための「探索用」と戦闘状況でミサイルなどを撃つための火器管制用に分けられるが、火器管制用レーダー照射は軍事衝突につながりかねない危険な行為と認識される。
遼寧の空母打撃群は、沖縄の海の北東から南を経て西まで島の半分を渡るように通過し、公海上で最近訓練を行ってきた。防衛省統合幕僚監部(合同参謀本部に相当)が7日に発表した資料によると、6日と7日、遼寧空母打撃群は沖縄県本島と本島から約360キロメートル離れた南大東島間の海域を通過し、2日間ヘリコプターを含め艦載機を100回余り出撃させる訓練を行ったという。この海域で中国の空母艦載機の離着陸訓練が捉えられたのは今回が初めて。
日本は2013年2月5日にも、中国の海軍艦艇が日本の自衛隊護衛艦に火器管制用とみられるレーダーを照射したと発表した。当時は1月30日に起こったことを6日後に公表していたが、今回は発生から10時間も経たないうちに発表した。
日本の迅速な発表、そして中国の空母打撃群が日本の島々の間を通り過ぎる特異な機動をしながら艦載機の発進訓練を行った背景には、このところ深まっている中日間の対立がある。先月、高市首相が台湾の有事が日本の集団的自衛権行使の要件である存立危機に該当する可能性があると発言した後、中国は日本への渡航自粛などを呼びかけ、実力行使に入った。 ただし、茂木敏充外相など日本当局者らは口をそろえて「冷静かつ毅然とした対応をする」とし、両国間の緊張の急激な悪化は望まない意向を示している。