広島朝鮮人被爆者協会と韓国原爆被害者対策特別委員会などを含め、広島の7つの被爆者団体が17日、「日本原水爆被害者団体協議会」(被団協)のノーベル平和賞受賞を歓迎する共同声明を発表した。
朝鮮半島出身の被爆者団体と日本の被爆者団体は声明で、「被爆者たちが『核兵器をなくせ』、『再びヒバクシャを作るな』と訴え続けてきたことについて、(ノルウェーのノーベル委員会が)『肉体的苦痛とつらい記憶を平和の取り組みに生かしたすべての被爆者をたたえたい』と授賞理由でのべられたことを、すべての被爆者とともに喜びたい」と述べた。
さらに「廃墟から立ち上がった人々が励まし合い、助け合う輪が各地に生まれ、広島県被団協、そして全国組織の日本被団協が結成されたのは、被爆から11年たってから」だとし、「生きるのが精一杯の日々の中、手弁当で活動にまい進した先人たちのことが思い起こされる」と振り返った。
団体らは、被爆者が社会の偏見や差別にもめげず、被爆者支援とともに核兵器廃絶運動に力を入れてきた国内外の多くの団体や個人の努力が、被団協のノーベル平和賞受賞につながったとし、ともに喜んだ。 また「日が当たらない被爆者を表に押し出して活動を支援し、世界へ広げてきた原水爆禁止運動と、数々の草の根の運動のおかげであることを忘れてはならない」と訴えた。
特に、2017年に国連総会で採択され、4年後に発効した現在の核兵器禁止条約(TPNW)が、このような草の根の団体から始まった運動の結晶であり、今回のノーベル平和賞を受けた理由だと説明した。団体らは「(被爆者団体が受賞した)もう一つの理由は、ロシアやイスラエルが核兵器で脅しながら戦争を続け、世界が核戦争の危険を打開できずにいること」だとし、「『戦争を止めよ』『核兵器を使うな』という被爆体験に基づく訴え、人類への警鐘にする願いが込められている」と強調した。
さらに、日本で石破茂首相が「核共有」などを主張していることに対する懸念も示した。団体らは「核保有国は核兵器禁止条約を無視し続けて、『唯一の戦争被爆国』(日本)も核抑止論に追従している」とし、「石破茂新首相は『核共有』まで口にして、非核3原則を揺るがす姿勢を見せている」と指摘した。さらに、「日本が平和外交力を強め、(核兵器禁止)条約に参加し、核保有国を(核廃棄に向けて)誘導する役割を果たさなければ、国際的な栄誉と期待を裏切ることになる」とし、「私たちは残り時間がわずかになったが、命ある限り訴え続ける」として声明を結んだ。