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「21世紀のロシア皇帝」プーチン氏、5回目の大統領就任「ソ連の道たどる可能性も」

登録:2024-05-07 08:27 修正:2024-05-08 06:29
7日に就任式
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2023年6月27日、モスクワのクレムリンで国防省、国防軍、内務省、連邦保安局、連邦警備員たちの前で演説している/AP・聯合ニュース

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(71)が7日、政権5期目に突入する。プーチン大統領の単独終身政権体制にさらに一歩近づくなか、「強いロシアの復活」の一環であるウクライナ戦争に対する攻勢も大幅に強化されるという見通しが出ている。

 プーチン大統領は、クレムリンのアンドレエフスキーホールで7日に開かれる就任式で、チャイコフスキーの行進曲に合わせて入場する予定だ。続いて、憲法の写本に右手をのせ就任宣誓をし、新たな任期6年を始めることになる。

 プーチン大統領は、3月に行われたロシア大統領選で87%に達する圧倒的得票率によって大統領5期目を確定した。これに先立ち、2000年に初めて大統領に当選したのに続き、2004年、2012年、2018年の大統領選でも勝利をおさめた。2008年の大統領選では再選制限条項に阻まれ、ドミトリー・メドベージェフ大統領とプーチン首相の体制で4年を送ったが、当時も実権者はプーチン氏だった。2020年に改正された憲法で、プーチン大統領は2030年の大統領選挙にも出馬が可能になり、この際に勝利をおさめた場合、2036年まで政権を握ることができる。

 プーチン大統領の新任期の開始に最も神経を尖らせているのは、ロシアと3年目となる戦争を行っているウクライナと、ウクライナを支援する周辺の欧州諸国だ。米国シラキュース大学のブライアン・テイラー教授はAP通信に「ウクライナ戦争は現在のプーチンの政治プロジェクトの核心であり、この流れが変わるといういかなる暗示もみられない」としたうえで、「このような状況は、ロシアと周辺のすべてに影響を及ぼす」と指摘した。一時は二転三転した戦争は3年目に突入し、ロシア側に重心が移っている。プーチン大統領も2月の国政演説で「ウクライナでロシアの目標を達成し、国民主権と安全保障を守るために必要なすべての措置を取る」とし、「ロシア軍は膨大な戦闘経験を積み、様々な分野で確実に主導権を取り、攻勢を広げている」と主張した。

 ロシアがウクライナの領土の一部占領を維持したまま終わる場合、プーチン大統領がバルト海沿岸やポーランドなどで軍事的冒険主義をさらに拡大する可能性が懸念されている。ハーバード大学のスティーブン・ウォルト教授(国際関係学)は先月2日、米国の外交専門誌「フォーリン・ポリシー」への寄稿で、「プーチンには途方もない野望があり、ウクライナでの成功に続き、他の場所に新たな攻撃を試みる可能性がある」とし、「ただし彼の野望が、莫大な対価を支払ってまでロシアが現在得た以上に拡大することはないという可能性は残っている」と予想した。

 プーチン大統領は、5回目の大統領選でも国民の10人中9人に近い賛成票を得るなど、圧倒的な勝利をおさめ、終身政権体制を事実上固めたという評価も出ている。また、「プーチン単独体制」を固めるために、政権5期目の開始とともに、国防相の交替を含む大規模な政府改編を通じて、側近体制の強化に乗りだすだろうという見方もある。一方、単独終身政権体制から来る権力の弱点が、プーチン政権5期目の期間中に明確に表れるだろうという診断もある。巨大国家ロシアが、基本的なシステムによる統制すらなしに、プーチン大統領個人によって恣意的かつ一方的な手法で主要な政策決定が下される状況が続けば、結局は国家レベルでの亀裂が生じるのは避けられないだろうということだ。さらに、プーチン大統領の野心がウクライナ戦争以外の戦争を招き、ロシアに危機をもたらす可能性があるという分析もある。

 カーネギー・ロシアユーラシアセンターのマクシム・サモルコフ研究員は「ロシアの政治エリートは、プーチンの命令を履行することによりいっそう忠実になり、彼の偏執症的な世界観によりいっそう従順になった」としたうえで、「30年前のソ連がそうだったように、一晩のうちに崩壊するリスクに直面している」と予想した。さらに同研究員は「プーチンの気まぐれと妄想に引きずられ、モスクワは自滅的な失敗を犯す可能性が高い」と述べた。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1139381.html韓国語原文入力:2024-05-06 17:39
訳M.S

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