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世界で最脆弱国の半数が最富裕国との所得格差拡大…「21世紀初の大幅な後退」

登録:2024-04-17 06:05 修正:2024-04-17 07:34
世界銀行、75カ国の最脆弱国に関する報告書を発表 
コロナ禍、ウクライナ戦争、気候変動を原因に挙げる
世界の最脆弱国に属するコンゴ民主共和国の北部山岳地域で、幼い少女が飲み水を背負って歩いている=マシシ/ロイター・聯合ニュース

 世界で75の最脆弱国のうち半数以上が最富裕国より所得増加が遅れ、富裕国と脆弱国の貧富の格差が広がっていると、世界銀行が明らかにした。世界銀行はこれを21世紀に入って初めて現れた「大幅な歴史的後退」だと規定した。

 世界銀行は15日(現地時間)、世界銀行の国際開発協会(IDA)借入国75カ国に関する報告書「大幅な後退:国際開発協会(IDA)借入国の見通し、リスク、政策」を発表し、新型コロナウイルス感染症の大流行、ウクライナ戦争、気候変動などがこれらの国々をさらに脆弱にしていると指摘した。

 75カ国のうち39カ国はサハラ以南のアフリカ諸国で、14カ国は東アジア、8カ国はラテンアメリカとカリブ海地域の国々だ。南アジアではインドを除き全ての国がIDA借入国だ。

 報告書は、所得増加が先進国より少なく、富裕国との所得格差がさらに広がる国が著しく増えているとして、懸念を示した。2020~24年の1人当たりの国内総生産(GDP)の増加率が富裕国(年1.2%)を下回ると予想された国は、75カ国の53.5%にあたる40カ国に達した。富裕国との格差が広がる脆弱国の割合は、1990~94年の全体の75.6%以来、徐々に減り続け、2005~09年は12.7%まで下がった。だが、その後再び増加に転じ、2010~14年には全体の29.6%、2015~19年には38%を記録した。2020~24年には1995~99年以来後初めて全体の半数以上の国で富裕国との所得格差がさらに広がると予想された。

 75の最脆弱国全体の2020~24年の成長率も富裕国とほぼ同じ水準と予想され、所得停滞または後退現象が脆弱国全般にわたってみられると、報告書は指摘した。このうち3分の1は1人当たりの年間所得が1315ドル(約20万円)未満だという。

 報告書の著者の一人である世界銀行のアイハン・コーゼ副チーフエコノミスト兼開発見通し局長は、ロイター通信のインタビューで「史上初めて格差縮小が現れていない。これらの国々(最脆弱国)はさらに脆弱になっている」と述べた。

 報告書は75カ国全体の経済成長率が1990~94年以後最も低くなると予想した。成長率は1990~94年の年平均2.3%以後、2005~09年は5.6%まで高まったが、その後再び下がり、2020~24年の成長率は年平均3.4%にとどまると見通した。

 昨年、75カ国の最脆弱国で極貧層は人口の26.5%に達しており、これは75カ国を除いた世界平均(人口の3.2%)の8倍を超える規模だ。報告書は「最脆弱国の人口の4人に1人が1日に2.15ドル(約330円)以下のお金でかろうじて暮らしている」と伝えた。

 世界銀行は、これら75カ国が人口に占める若年層の割合が世界で最も高く、世界の錫、銅、金の20%を生産しており、太陽熱発電に活用する日照量も豊富で、成長潜在力は限りなく高いとし、資金と政策的支援が重要だと強調した。

 インダーミット・ギル世界銀行グループ・チーフ・エコノミスト兼上級副総裁は「世界はIDA借入国に背を向ける余裕はない」とし、「こうした国々の繁栄は長期的な世界全体の繁栄の見通しにとって極めて大きな意味を持っている」と述べた。さらに「現在、世界の経済大国となった中国、インド、韓国の3カ国はいずれも、かつてIDA借入国だった。外国による支援があれば、今日のIDA借入国も同じように繁栄を実現できる可能性がある」と述べた。

 世界銀行は、今年末まで最富裕国にIDAに対する過去最大規模の支援を呼びかけている。世界銀行のアジェイ・バンガ総裁は、「貧しい国々が負債、不平等、気候変動などで大変厳しい時期を迎えている」とし、「いつにも増して大きな支援が必要だ」と強調した。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/1136798.html韓国語原文入力:2024-04-16 19:11
訳H.J

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