昨年から続く円安で日本を訪れる外国人が大幅に増え、日本人と外国人観光客の間で消費の二極化現象が起きている。観光客が多く訪れる地域を中心に飲食店の食事代をはじめとする物価が上がる中で、日本社会では外国人観光客向けの価格と日本人向けの価格を別々に設定する「二重価格」の導入が必要だという声もあがっている。
21日(現地時間)、ブルームバーグは「日本を訪れる外国人観光客が急増し、観光地と近隣の飲食店のメニュー価格が上がっている」と報じた。日本政府観光局(JNTO)は同日、1月の訪日客数が前年同月に比べて79.5%増の268万8100人を記録したと発表した。JNTOの資料によると、昨年日本を訪れた外国人の支出総額は5兆3千億円に達した。コロナ禍前の2019年に比べて10%増えた金額だ。外国人1人当たりが支出した金額も2019年より34%増えた21万2000円だった。
ブルームバーグはこれと関連し、外国人観光客の財布を狙う日本の主要観光地の風景について報じた。報道によると、日本最大の水産市場である東京豊洲市場に、今月初めにオープンした「豊洲千客万来」のある飲食店では最近、1人前6980円の海鮮丼が外国人観光客に人気だという。豊洲市場の他のレストランでは、1人前1万8000円の丼ものまで飛ぶように売れているという。ブルームバーグは「それほど高級な材料ではなくても、似たようなメニューを他の地域では1000~1500円で食べることができる」と指摘した。
ブルームバーグは、日本北部の北海道のあるスキー場のフードトラックでも、現地の人々を驚かせるほど高い価格の食べ物が販売されると報じた。うな丼と焼き鳥丼をそれぞれ3500円と2000円で販売しているフードトラックの社長は同紙に「顧客の95%が海外からの観光客」だとし、「最低でもこのくらいで売らないと元が取れない」と語った。
このような現象が続いているため、日本人の間では「インバウン丼」という新造語まで流行しているという。外国人観光客の訪問を意味する英語の「インバウンド」(inbound)とどんぶりを意味する日本語単語「丼」を合わせたものだ。外国人観光客を狙った高価丼を出す店と高価でも喜んで財布のひもを緩める観光客の姿を反映した言葉だ。
最初から外国人観光客をターゲットにした高価メニューを販売すべきという助言も出てきた。外国人観光客向けにレストランの予約・決済サービスを提供する「テイクミー」の董路氏はブルームバーグに、「日本を訪れる観光客が求めるのは自国では経験できない『非日常』」だとし、「これは日本の飲食品小売業者にとって、需要が減る心配なく価格を最大50%まで引き上げられるチャンスになっている」と語った。彼は最近、大阪のあるレストランに2万円を超える外国人観光客向けのコースメニューを新たに作るよう助言したという。
観光客が物価を引き上げる現象が続いていることを受け、日本人向けと外国人向けの価格を別々に設定する、いわゆる「二重価格」を導入すべきという主張まで出ている。航空・旅行分野のアナリストである鳥海高太郎氏は最近、日本の民間放送「TBS」に出演し、「バンコク最古の寺院、ワット・ポーの入場料が、タイ人は無料だが、外国人観光客には300バーツ(約1250円)であるように、日本でも宿泊料や遊園地の入場料などを決める際、定価を外国人料金とし、証明書などを提示することで『日本人割』という形にして、結果的に二重価格にすれば、日本人からしたら割安感もあるし、外国人からすると特に多く取られている実感もないので、やりやすいだろう」と主張した。
日本を訪れる外国人観光客の中で最も多い割合を占めるのは断然韓国人だ。JNTOの資料によると、先月日本を訪れた訪問客(268万8100人)のうち、韓国人が31.4%(85万7000人)で最も多かった。台湾人(49万2300人)と中国人(41万5900人)がそれぞれ2、3位と続いた。先月日本を訪れた韓国人の数は、昨年同期より51.6%、コロナ禍以前の2019年1月より10%増え、月間基準で過去最大値を記録した。