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ガザ住民を避難場所に追い込むイスラエル…「10人中9人は飢えている」

登録:2023-12-11 06:40 修正:2023-12-11 06:47
今月8日(現地時間)、イスラエル軍が廃墟と化したパレスチナガザ地区の建物の残骸の間で作戦を展開している/EPA・聯合ニュース

 イスラエル国防軍(IDF)とハマスの戦争が南部を含むガザ地区全域を網羅する地上戦に拡大してから10日ほどが経ち、民間人の苦痛が極限まで達している。無差別空爆の余波で、ガザ地区住民の大半が通信装備を利用できないにもかかわらず、イスラエル軍は難民密集地域を無差別攻撃し「退避を求める」という一方的な通告を続けている。

 CNNは9日(現地時間)、「イスラエル軍がガザ地区南部最大の都市のハンユニスの住民に、避難関連施設のほとんどないアル・マワシ地域とイスラエル軍が公開した特定区域5カ所に避難するよう指示した」と伝えた。イスラエル軍が住民の避難場所に指定したのは地中海と接するアルマワシとガザ地区内に数字で表示された行政区域5カ所。アル・マワシは最大20平方キロメートルの小さな海辺の村で、ソウルの汝矣島(ヨイド)の7倍程度の面積に過ぎず、大規模の避難民を収容できるテントなどの基盤施設が整っていない。

 残りの5カ所は地図上の行政区域で、「47、55、104、105、106」と書かれたところだが、どの地域なのか不明だ。イスラエル軍のホームページに掲載されたガザ地区の地図に数字で区画が分かれており、位置を確認することはできるが、他の情報は全く公開されていない。CNNは「イスラエル軍のいう避難所がどんなところなのか不明で、ガザ地区の多くの地域で通信やインターネット使用が不可能なため、どれほど多くの人がこの指針を知っているのかも分からない」と批判した。

 ガザ地区の住民たちの暮らしは疲弊化している。カール・スコウ国連世界食糧計画(WFP)副事務局長はBBCとのインタビューで、「ガザ地区住民たちのために必要な救援物資のごく一部だけが搬入されており、10世帯のうち9世帯は毎日食事を取ることができない状態だ」と訴えた。スコウ副事務局長は現在のガザ地区の状況を「恐怖、混乱、絶望」という言葉で表現した。また「食料倉庫は混乱し、飢えた数千人が必死に配給所を回っている」とし、「陳列台ががらんとしたスーパーマーケットと、多くの人でいっぱいの避難所、破裂しそうな難民キャンプのトイレを目撃することができた」と明らかにした。

 連日大規模な地上戦が繰り広げられているハンユニスの医療施設は限界に達している。ガザ地区で機能している医療施設はナセル病院1カ所だけだが、ここに到着する死亡者と負傷者の数も「統制可能な水準」を超えている。ニューヨーク・タイムズによると、国連はガザ地区に5万人余りの妊婦がいて、毎日180人が出産しているとみている。現在、ハンユニス内外に100万人余りの難民が集まっているものと推定される。

 同病院のアフメド・モグラビ博士はBBCに「私たちは一日に一食しか食べられない」とし、「食べ物が不十分で、残ったものは米しかない。このような状況を信じられるか」と惨憺たる気持ちを打ち明けた。国際児童保護団体「セーブ・ザ・チルドレン」はこの日、ガザ地区に栄養失調などの影響で「死を避けるための緊急治療」を要する5歳未満の子どもが7千人を超えたと報告した。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1119789.html韓国語原文入力:2023-12-10 22:21
訳H.J

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