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「トランプ氏、バイデン氏に10ポイント差で優勢」…朝鮮半島安保にも陰り

登録:2023-09-26 09:30 修正:2023-09-26 14:22
ワシントンポスト・ABCが実施の仮想対決で、52%対42%
ドナルド・トランプ前米大統領が15日、ワシントンで開かれた行事で演説している=ワシントン/AP・聯合ニュース

 「米国の前大統領が来年の選挙で勝つ可能性が高まり、世界中の首都がやきもきしている」(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 「外国の指導者たちは、2期目のトランプ政権は1期目よりも極端で混乱するとみている」(フォーリン・アフェアーズ)

 2024年11月に行われる米大統領選挙で再び政権奪還を狙うドナルド・トランプ前大統領が、日ごとに並みならぬ上昇傾向を示し、韓国など米国の同盟国は深い憂いに陥っている。ワシントン・ポスト紙と米放送局ABCが1006人を対象に実施し、24日発表した大統領選挙仮想対決で、トランプ氏はジョー・バイデン大統領を52%対42%で追い抜いた。8月以降に出た他の仮想対決の結果では、トランプ氏は2ポイント以内で抜きつ抜かれつの状況だったが、今回は誤差範囲(±3.5%)を大きく上回り、10ポイント差でリードした。ただし、米NBCが1千人を対象に調査し、同日公開した調査によると、両人はそれぞれ46%で依然として伯仲している。

 トランプ氏は、本選前の第1次関門である共和党予備選挙では確実な優位を固めている。13日に発表されたクイニピアック大学の調査によると、共和党支持層では62%の支持率を確保し、2位のロン・デサンティス氏(フロリダ州知事)を50ポイントも引き離した。来年1月に始まる共和党予備選挙で異変が起きる可能性を完全に排除することはできないが、その可能性は低いと思われる。

 このような流れのせいで、世界中が「トランプ2.0」時代が自国にどのような影響を及ぼすのかに神経を尖らせざるを得なくなった。トランプ氏の当選が現実となれば、バイデン大統領が就任後2年9カ月かけて積み上げてきた「外交遺産」が、一夜にして「リセット」される可能性もあるためだ。バイデン大統領は、ロシアの「脅威」と中国の「挑戦」に対抗するために民主主義という同じ信念を持つ同盟国を結束させ糾合してきた。しかし、トランプ前大統領は政権期間(2017年1月~2021年1月)に「米国第一主義」を掲げ、ときには同盟国を敵視したり、より多くの経済的負担を負わせるよう脅してきた。

 トランプ氏の一方主義が再び世界の注目を集めたのは、17日に放映されたNBCのインタビューを通じてだった。バイデン大統領のように台湾を防衛するために米軍を送ると言うかとの質問に対し、トランプ氏は「私はそうは言わない」「そう言えばただで与えることになるから」と答えた。ロシアのプーチン大統領に会い、24時間以内にウクライナ戦争を終結させるという主張も再び持ち出した。

 トランプ氏はこの問題を具体的にどう扱うかは明らかにしなかったが、プーチン大統領や中国の習近平国家主席に対して「天才的」、「優れている」と評価してきた彼が政権を獲得すれば、今後の国際秩序の行方に大きな影響を及ぼすことになる台湾海峡(中国)やウクライナ戦争(ロシア)に対する政策が、根本から逆転する可能性があることを推察させる。バイデン大統領はこれまで、欧州では北大西洋条約機構(NATO)を強化してロシアに対抗し、東アジアでは韓米日3カ国同盟、オーカス(AUKUS)、クアッド(QUAD)などを通じて中国を幾重にも包囲してきた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は就任後、米国のこのような基調に積極的に呼応してきた。政権初期から北朝鮮強硬政策を展開し、3月には摩擦をかかえた歴史の懸案に対して一方的な譲歩案で韓日関係を改善し、8月にはキャンプデービッド首脳会談を通じて韓米日3カ国同盟へと向かう第一歩を踏み出した。しかし、トランプ政権が戻ってきた場合、このすべての政策を可能にしていた基本前提が崩れる恐れがある。

 米国の朝鮮半島政策も急変するものとみられる。まず、韓国に対する圧迫が強まると予想できる。在任中、韓国の防衛費分担金の5倍引き上げを要求したトランプ氏が、また大幅な引き上げを主張することは確実視される。政権交代がなされれば、任期初年度の2025年に進められるものとみられる防衛費交渉が韓国にとっては険しい山場となる。米国の保守シンクタンクのヘリテージ財団が、共和党の政権交代に備え保守系の専門家たちを集めて7月に発行した政策提案報告書で、「米国の国防戦略では費用分担を中心的な部分にしなければならない」と明らかにしたことも、これを予告している。

 この過程で、在韓米軍の撤退・削減を交渉カードとして使う可能性もおおいにある。トランプ政権時代に米国の安保政策を担当したジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安保担当)は回顧録で、トランプ前大統領が就任中、韓国と日本から分担金をさらに徴収するためには「米軍撤退で脅さなければならない」と述べたと書いている。マーク・エスパー前国防長官も、マイク・ポンペオ前国務長官が「在韓米軍撤退は2期目の任期の優先課題にしよう」と説得しトランプ氏を引き止めたという事実を明らかにしたことがある。トランプ氏は、韓米合同演習は金の無駄遣いであり、韓国に戦略資産の展開費用を課すべきだという立場を示してきた。このような流れの中で、尹錫悦政権が最大の外交成果として掲げてきた韓国に対する米国の拡大抑止公約を強化した4月の「ワシントン宣言」も死文化する可能性がある。

 北朝鮮との対話再開の可否も重要な問題だ。トランプ氏は3回にわたる朝米首脳会談を成果として掲げてきたが、「ハノイ・ノーディール」以後、北朝鮮の対米政策が大きく変わったため、対話が再開されるかは明らかではない。米国平和研究所のフランク・オム上級研究員は、「トランプは金正恩(キム・ジョンウン)と再会し、途絶えた対話を続けようとするだろう」と述べつつも「金正恩は尹錫悦政権を相手にしようとせず、すべての朝米対話から韓国を排除するだろう」と指摘した。さらに「最近の韓米日安保協力の制度化の努力も直接的な脅威を受けるもの」との見通しを示した。

 結局、トランプ氏が再び政権に就いた場合、韓米日3カ国協力、北朝鮮への制裁の強化、大規模な韓米合同演習、戦略資産の随時展開を通じた北朝鮮圧迫など、バイデン・尹錫悦政権が組んだ安保構図が廃棄される可能性が非常に高い。最悪の場合、安保問題の最重要相手である米国と北朝鮮の双方から背を向けられ、これまで経験したことのない厳しい試練を迎える可能性もある。

 専門家たちは、「トランプ2.0」時代が現実化すれば、トランプ主義の威力は政権1期目よりも強力になりうると警告する。タフツ大学のダニエル・ドレズナー教授は、「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿で「5年前とは異なり、トランプは正統の共和党指導部よりはるかにトランプ主義に従う議員の支援を受けるだろう」と述べた。政治・行政の経験が全くない状態だった政権1期目とは異なり、トランプ氏は4年間の大統領経験によって、極端な政策に反対する官僚を圧倒するのに役に立つ経験を積んだという分析も出ている。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1109970.html韓国語原文入力:2023-09-26 07:50
訳C.M

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