ロシアのプーチン大統領がロシア帝国の門を開いたピョートル1世の功績に触れ、現代のロシア人もロシア領土を取り戻すべきだという趣旨の発言をした。ロシアのウクライナ侵攻を正当化するような発言だ。
ロシア大統領府が公開した内容によると、プーチン大統領は9日、モスクワで開かれた「若い経済人および科学者との対話」で、ピョートル1世がバルト海の地域主導権をめぐってスウェーデンと行った大北方戦争に触れ、「ピョートル大帝が(スウェーデンで)何かを奪ったわけではなく、取り戻したのだ」と述べた。「彼が新しい首都(サンクトペテルブルク)を作る時、欧州のどの国もこの地域をロシアの領土と認めず、スウェーデンの領土と見なしていた」とし、「しかしスラブ族は、そこ(サンクトペテルブルク)で太古の時代から暮らしていた」と語った。「彼は(ロシアの領土を)取り戻し、(ロシアを)強化した」と強調した。
「ピョートル大帝」とも呼ばれるピョートル1世は、モスクワからサンクトペテルブルクに首都を移し、急進的西欧化政策を推進してロシアの発展を図った人物。黒海の主要港を掌握してロシア帝国海軍の土台を築き、ロシアを欧州の列強の位置に押し上げた。しかし、ピョートル1世が施行した強制労働と強制移住で多くの人々が犠牲になったという否定的な評価もある。
さらにプーチン大統領は「(ロシアの領土を)取り戻し強化することは明らかに我々の責務でもある。このような基本的価値を我々の存在の基礎とするという原則に基づいて事を進めていけば、目標の達成に成功するだろう」と述べた。
ロシアのウクライナ侵攻には直接言及しなかったが、ピョートル1世の領土拡大とウクライナ戦争を結び付け、正当化しようとするような内容だ。プーチン大統領は同日、ピョートル1世生誕350周年を記念して開かれた展示会も視察した。
プーチン大統領の最近の演説と発言を見ると、彼がロシアの歴史に対する保守的解釈に関心が高いことが分かる。プーチン大統領は昨年7月、ロシア大統領府のホームページに掲載した文で、1千年前の歴史にさかのぼり、ロシアとウクライナの歴史的同質性を主張した。2月21日のある演説ではロシアとウクライナの間の長い歴史に言及し、ウクライナが事実上「ロシアの一部」だと主張した。それから3日後、ロシア軍はウクライナに侵攻した。