ウクライナ人がソーシャルメディアで「ロシアの戦車」に立ち向かっている。ツイッターやフェイスブック、ティクトクなどのソーシャルメディアに、リアルタイムで戦争の惨状を伝える動画を投稿し、外部の支援を訴える宣伝戦を展開する一方、互いに抗戦意志を高め激励するなど、オンライン戦争を繰り広げている。
ロシアは長い間、ソーシャルメディアやオンラインメディアを通じた宣伝戦に長けた国として広く知られてきた。しかし、ウクライナ人たちは今回のロシアの侵略に対抗し、自発的なオンライン戦でロシアを圧倒していると、ニューヨーク・タイムズなど海外メディアが1日(現地時間)付で報じた。
ウクライナ人たちは、進撃してくるロシアの戦車が通る道を塞いで町を守り、火炎瓶を作ってロシア軍の車両を燃やすなどの動画を相次いで投稿している。これらの動画の中には、ロシアの戦車の燃料切れで身動きが取れなくなった状況をあざ笑う姿や、トラクターのドライバーがロシア軍の軍用車両を牽引していく場面もあった。
戦争の残酷性と犯罪性を告発する動画もあった。28日、ハリコフ(現地読みハルキウ)にクラスター爆弾と疑われる爆弾が落ちた時、市民らは直ちにその場面をソーシャルメディアに投稿し、ロシア軍の違法クラスター爆弾の使用を知らせた。
互いに抗戦の意志を激励するメッセージも溢れている。ウクライナのロックスター、アンドリー・クリヴニウクとミスウクライナ出身のアナスタシア・レナは、銃を持っている写真を投稿した。またグラフィックデザイナーのソロミア・シャライスカは、ロシアの侵略に対抗するウクライナを「ダビデとゴリアテ」のイメージで表現し、オンラインにアップして10万以上の「いいね」を集めた。
2010年「アラブの春」で若いデモ隊が怒りの声を組織する情報の自由な疎通道具として注目されたソーシャルメディアが、今度はロシアの侵略に立ち向かうウクライナ人たちに効果的な抵抗手段になっているわけだ。欧州で長い間中立国だったスウェーデンやフィンランド、スイスまでもが、ロシア制裁やウクライナへの支援に参加したのは、ソーシャルメディアを通じたウクライナ人たちの積極的広報が一役買ったという見方もある。
このようなソーシャルメディア戦の先頭に立っているのは、他でもなくウォロディミル・ゼレンスキー大統領だ。彼は1日に何度もソーシャルメディアに動画を投稿し、抗戦の意志を示しながら、外部の支援を要請している。一時逃避説が流れた時は、すぐにキエフ(現地読みキーウ)を背景に「私はここに残っている」と明らかにする動画を投稿し、ロシア制裁をめぐり悩む米国や欧州連合(EU)などに対しては「強力な制裁」を強く訴えた。彼のツイッターアカウントのフォロワーは毎日数十万人ずつ増えており、1日現在430万人を超えている。