世界1位の人口大国である中国に続き、2位の人口大国インドも石炭不足による電力危機に直面している。コロナ禍が落ち着きを見せ始めたことで電力需要が急増した一方で、主力エネルギー源の役割を果たすべき石炭の供給が追いついていないためと分析される。
「インディア・トゥデイ」やロイター通信などの報道によると、先月29日現在、インドの135の石炭火力発電所のうち16の発電所で石炭の在庫が底をついている。石炭の在庫が1週間分も残っていない発電所が80%以上あり、半数以上は3日分未満しか在庫がない。インドは総発電量の70%以上を石炭に依存しており、電力不足が起こりうるとの懸念が出ている。
インドは1年に7億トン以上の石炭を生産する世界第2位の石炭生産国であり、かつ毎年2億~3億トンの石炭を輸入する世界第3位の石炭輸入国でもある。石炭への依存度の高いエネルギー消費大国で、どうしてこのような需給の不均衡が生じたのだろうか。
最大の原因は、コロナ禍が落ち着きはじめ、エネルギー需要が急増したことだと分析される。インドは昨年、コロナ禍で1日の感染確認数が数万人台に達し、全国的な封鎖令が下された。夜間通行禁止などによって市民の活動が制限され、多くの市場や工場なども稼働が中止された。電力使用が急減し、石炭発電所なども発電量を減らした。昨年、インドの国内総生産(GDP)は8%減少し、エネルギー需要は前年より5%減少した。
今年も昨年と同様の状況が予測されたが、状況は異なった。コロナ禍はさらに悪化したにもかかわらず、インド政府は工場などの稼働を中断させずに維持した。中国や米国などのグローバル経済も蘇った。今年1~8月のインドの電力需要は昨年より13.2%増加したが、インドの石炭供給の80%を担う国営企業「石炭インディア」は国内需要の変動に追いつけずにいる。
インドだけでなく中国、日本、欧州、米国などでも、コロナ禍2年目の今年は石炭需要が拡大した。しかし供給はこれを支えられておらず、石炭の国際価格が高騰している。今年1月には1トン当たり80ドル台で取引されていた石炭は、今年6月には100ドルに値上がりし、最近では228ドルにまで跳ね上がっている。9カ月間で3倍近くになったわけだ。暴騰した石炭価格に耐え切れず、今年のインドは石炭の輸入量を前年度より10%ほど減らさざるを得なかった。
インドに先立ち、先月下旬に全国的な電力供給中断を経験した中国も状況は似ている。石炭価格が高騰するとともに石炭の在庫が減少したため、石炭火力発電所は稼動を縮小した。これに伴い広東省、浙江省、江蘇省など一部の地方で電力不足が発生し、工場の稼動が中断した。中国の石炭不足は、相次ぐ炭鉱事故を防ぐための習近平指導部の安全対策強化、主要な石炭供給国であるオーストラリアとの関係悪化による輸入減少など「政治的要因」が一定程度影響しているとみられる。さらに中国の場合は、習主席が最重要課題の一つとして推進している炭素排出量削減政策により、各地方政府に炭素削減目標が割り当てられており、これを守れなかった地方政府が故意に電力生産量を減らしたことが電力不足の深刻化を招いている。