23日に開幕する東京五輪のすべての競技を無観客で行う案が浮上していると毎日新聞が7日に報じた。日本政府は一部でも観客を受け入れる案を推進してきたが、世論の悪化のために苦慮している。
毎日新聞はこの日、「新型コロナウイルスの感染拡大を懸念する世論を受けて、方針転換が必要との見方が政府・与党内で強まっている」と伝えた。日本政府は東京都や東京五輪・パラリンピック組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)・国際パラリンピック委員会(IPC)が参加する5者協議を、早ければ8日にも開き、最終判断する方針とも伝えた。しかし、無観客の場合でも、国際オリンピック委員会(IOC)の関係者らの入場を認めることも検討しているという。
同紙は、東京五輪の有観客開催を主張してきた閣僚の一人が「もう、有観客は厳しい」と述べたと伝えた。4日に実施された東京都議会議員選挙で自民党が事実上敗北したことを受けて、党幹部が「世論には政府の新型コロナ対策への不満がある。科学的には一部無観客で良かったが、もはや政治的に持たない」と指摘したとも伝えた。
「総選挙の前哨戦」と呼ばれる東京都議選で、自民党と連立与党の公明党は合計56席で、目標に掲げた過半数の議席(64議席)確保に失敗した。公明党の山口那津男代表は6日「感染防止の観点から無観客を視野に入れて決定してほしい。最も大事なことは、観客を入れる開催で感染拡大をもたらしてはならないということ」と話した。
東京都とIOCなどは、東京五輪の観客を競技場定員の50%、最大1万人まで受け入れることを先月21日決めた。海外からの観客は受け入れないことにした。ただし東京五輪の時に東京などに緊急事態に準ずる「まん延防止等重点措置」が適用されたり、緊急事態が宣言されるならば、「無観客」を念頭に置いて対応すると明らかにした。
だが、先月21日には800人台まで減った新型コロナの一日の感染者が、その後は1000人以上を記録し続け、東京五輪期間にもまん延防止等重点措置が継続適用されるとみられる。有観客開催の計画は少なくとも大幅な修正が避けられない状況だ。
ただし、規模を大幅に縮小しても少ない観客を受け入れる計画も依然として議論中であるとみられる。産経新聞は、野球など観客数の多い一部の競技について、完全な無観客は避け、上限5千人まで観客を受け入れる案が浮上していると7日に伝えた。
一方、「五輪の華」とも呼ばれるマラソン競技でも、路上で応援する人々の姿を見るのは難しいという見込みだ。東京五輪・パラリンピック組織委員会などが、8月8日に北海道の札幌市で開かれる予定のマラソン競技の際、新型コロナの感染拡散防止のため沿道での応援自粛を要請することにしたためだ。東京五輪のマラソン競技は、東京の夏は猛暑が懸念されるため、2019年に東京から800キロメートル北に位置する札幌で開くことに変更された。