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[ルポ]「アジア系・黒人・白人が連帯し、人種差別や憎悪終わらせるべき」

登録:2021-03-23 07:33 修正:2021-03-23 10:50
[ホワイトハウス近くで行われたアトランタ銃撃糾弾デモ現場] 
韓中などアジア系と白人・黒人千人以上参加 
「今回の銃撃は女性嫌悪・性差別・人種主義が混ざっている」 
「少数人種、別々に声をあげると白人優越主義が勝ってしまう」
今月16日(現地時間)、米国ワシントンのホワイトハウス周辺のマクファーソン広場で、アジア系女性6人を含む8人の死者を出したジョージア州アトランタでの銃撃事件に抗議する集会が開かれ、市民の発言に参加者たちが耳を傾けている=ファン・ジュンボム特派員//ハンギョレ新聞社

 在米韓国人4人を含むアジア系6人をはじめ、8人の死者を出した米ジョージア州アトランタ銃撃事件を糾弾し、アジア系に対するヘイトを止めるよう求めるデモが21日(現地時間)、ワシントンで開かれた。16日の事件発生後、アトランタやニューヨークなどの大都市で抗議の波が続く中、首都ワシントンでも事件発生後初の週末を迎え、大規模な集会が開かれたのだ。

 同日午後、ホワイトハウスから北に2ブロック離れたマクファーソン広場は、韓国系をはじめ中国系やベトナム系などアジア系はもちろん、黒人や白人など多様な市民約1000人で埋め尽くされた。ここは昨年5月の黒人ジョージ・フロイド氏死亡事件をきっかけに名付けられたホワイトハウスの裏側にある「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)広場」から1ブロックの距離にある。マクファーソン広場で会った市民たちは「アトランタ銃撃事件は明白なヘイトクライム(憎悪犯罪)」だとし、「これをなくすために人種を越えた連帯で立ち向かわなければならない」と口をそろえた。

韓国系米国人のシム・インボさんが今月21日(現地時間)、ワシントンのマクファーソン広場で開かれた集会に息子とともに参加し、ハンギョレの取材に応じている=ファン・ジュンボム特派員//ハンギョレ新聞社

 白人の夫、息子とともに韓国系のシム・インボさん(48)は「アトランタでの銃撃犯はオーナーと従業員が主にアジア系の風俗店をターゲットにしていた。これは絶対的にアジア系への憎悪(ヘイト)と人種主義を反映したもの」だと話した。2歳の時に米国に来たというシムさんは「アジア系だけでなく黒人、白人までここに来たことは非常に鼓舞的」だとし、「アジア系米国人に対する暴力事件がある度に散発的な集会があったが、今回のようにあらゆるコミュニティーが集まった大規模なデモは初めて」だと語った。彼女は「息子が学校でアジア系や韓国系米国人の歴史について教えないことに疑問を持っている」とし、「このような集会に参加し、自分の目で見て声をあげるのはとても重要だ」と話した。

 ワシントン近隣のメリーランド州ボルチモアにある私立女子高校に通っている中国系のシ・ジンジンさん(17)は、今回の犯行動機でロバート・アーロン・ロング容疑者(21)の性依存症に重点を置いている捜査当局について「警察組織自体がヘイトクライムの大きな発端となっており、別に驚くべきことではない」と述べた。シさんは「アジア系女性はメディアによってフェティシズムの対象になっており、私たちの体と姿は性的対象化されてきた」とし、「アトランタ事件では女性へのヘイトや性差別、人種主義が交差している。それを否定するのは無知なことだ」と声に力を込めた。

今月21日(現地時間)、ワシントンのマクファーソン広場で開かれた集会で、黒人男性のブライアン・アレクサンダーさん(35)が「アジア太平洋系へのヘイトを止めろ」と書いたプラカードを持って写真撮影に応じた=ファン・ジュンボム特派員//ハンギョレ新聞社

 「アジア太平洋系へのヘイトを止めろ」(Stop AAPI Hate)というプラカードを持っていた黒人男性ブライアン・アレクサンダーさん(35)は「アジア系と黒人に対する人種主義は似ているが、特にアジア系の兄弟・姉妹にはショックが大きいと思い、彼らに対する私の支持を示すために集会に出た」と話した。アレクサンダーさんは「少数人種が別々に声を出せば、白人優越主義が勝ってしまう。そのため、力を結集しなければならない」と述べた。彼はアトランタ事件について「銃撃犯が白人であり、犠牲者は大半がアジア系女性だ。また反アジア系人種主義に油を注いだパンデミック(伝染病大流行)の渦中に起きた」とし、「ヘイトクライムと呼べる情況証拠が十分揃っている」と語った。

今月16日(現地時間)、米国ワシントンのマクファーソン広場でアジア系女性6人を含む8人の命を奪ったジョージア州アトランタでの銃撃事件に抗議する集会が開かれ、中国系のアリソン・チュさんの発言に参加者らが耳を傾けている=ファン・ジュンボム特派員//ハンギョレ新聞社

 メリーランド大学で米国学博士課程在学中の中国系アリソン・チュさんは発言台に立ち、「アジア系、黒人、ラティーノ、ユダヤ系など米国内の少数人種だけでなく、共に戦う意志のある白人と連帯して白人優越主義に立ち向かわなければならない」と強調した。彼女は「そうしてこそ、この残酷な歴史の中で何をしていたのか、後日孫たちが尋ねてきたとき、私たちが戦って勝ったと言えるだろう」と叫んだ。チュさんは記者に「ドナルド・トランプ元大統領が(新型コロナウイルスを)『中国ウイルス』と言ってから、アトランタ事件のようなことが増えている」とし、「しかし今回のことをきっかけにアジア系嫌悪が減る変化の希望を見出している」と語った。

 米政界のアジア系議員らも同日、放送に出演してアトランタ銃撃事件をアジア系に対するヘイトクライムとして徹底的に捜査することを求めた。タイ系のタミー・ダックワース民主党上院議員はCBSのインタビューで「今回の事件および類似犯罪が人種的に動機づけられたものかどうかについて、もっと深く捜査してほしい」と述べた。

 この日の集会は、参加市民が自分の経験と意見を述べる形で2時間ほど行われた。集会の後、参加者らは銅鑼や太鼓を打ち鳴らしながら、ホワイトハウスの裏側にあるブラック・ライブズ・マター広場までの約200メートルを行進した。集会場所の横を運行する車も徐行し、クラクションを鳴らして支持を表明した。同日、アトランタとニューヨークでも同様の集会が開かれた。

 一方、ロング容疑者が通っていたジョージア州ミルトンのクラップアップル教会は同日「キリストの中で新しい命を得た信者と見なすことができない」とし、彼を信徒名簿から除外した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/987707.html韓国語原文入力:2021-03-23 02:47
訳H.J

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