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米国、コロナ禍以降「アジア嫌悪犯罪」急増…1年間で約4千件

登録:2021-03-18 01:53 修正:2021-03-20 07:26
トランプなどの政治家による扇動発言に触発され 
ニューヨーク警察、アジア系居住地に警察力を急派
3つのアジアマッサージ店が狙われた連続銃撃事件の発生地、米ジョージア州アトランタで、検死官たちが被害を受けた「ゴールド・スパ」から遺体を運び出している=アトランタ/EPA・聯合ニュース

 米国ジョージア州アトランタで16日に発生した連続銃撃事件で、4人の韓国系住民を含む8人が死亡した中、現地ではコロナ禍発生後に急増したアジア系を狙った嫌悪犯罪である可能性が高いという分析が出ている。

 米国でアジア系に対する人種差別および嫌悪犯罪を研究する非営利団体「ストップAAPI(アジア・太平洋諸島系)ヘイト」(Stop AAPI Hate)がこの日発表した報告書によると、新型コロナウイルス拡散の開始からの1年間の、米国におけるアジア系住民を狙った憎悪関連事件は4000件以上にのぼる。報告書は、コロナ禍でアジア系住民に対する暴力などの嫌悪犯罪が急増したと分析する。

 同団体には、昨年3月19日から今年2月28日までの、アジア系を狙った3795件の嫌悪事件が報告されている。このうち68.1%は言語による暴力で、20.5%がいじめ、11.1%が物理的暴力だった。寄せられた事件の45%に当たる1691件がアジア系人口の多いカリフォルニアで発生しており、ニューヨークでも14%に当たる517件が報告されている。事件が発生した場所は「事業所」が35.4%で最も多く、続いて路上(25.3%)、オンライン(10.8%)、公園(9.8%)、公共交通機関(9.2%)の順だった。報告書は「我々のセンターに寄せられた嫌悪事件の数は、実際に発生した事件の一部」とし「それだけでもアジア系住民がどれほど差別に脆弱なのかを示している」と指摘した。

 コロナ禍発生以降、米国全域でアジア系に対する攻撃が複数回報道されている。今月9日には、ニューヨーク州で83歳の韓国系女性が理由もなく暴行を受けてもいる。バイデン大統領は11日の演説で、アジア系に対する嫌悪と差別を止めるよう訴えているが、それから1週間も経たないうちにアトランタで連続銃撃事件が発生したことになる。

 ニューヨーク警察は、アトランタ連続銃撃事件が発生した直後に声明を出し、アジア系住民の居住地にニューヨーク警察局重大対応チームの警察力が派遣されたことを明らかにした。ワシントン州のシアトル警察も、アジア系米国人コミュニティーへのパトロールを強化することを明らかにしている。

 「アジア・太平洋系(AAPI)に対する憎悪をやめろ」は特に、昨年10月に発表した報告書で、ドナルド・トランプ前大統領を「コロナ拡散に関して、アジア系住民に対する差別的発言を行う政治家の中で、最も大きな伝播者」と規定している。

 民主党の複数の議員も、トランプ前大統領やこれに同調する共和党関係者の人種主義的な扇動発言が状況を悪化させたと指摘している。民主党のアジア・太平洋系党員会の会長を務めるジュディ・チュー下院議員は2月、「アジア系住民に対する攻撃は偶然ではない」とし、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼び、中国を発源地として攻撃したトランプ前大統領などの政治家の扇動的発言に責任があると述べた。ナンシー・ペロシ下院議長も「白人優越主義がアジア系住民に対する攻撃の増加に影響を与えた」と指摘している。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/987179.html韓国語原文入力:2021-03-17 17:07
訳D.K

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